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MUSIC
ヨアソビ
YOASOBI
[写真右から]ヴォーカルのikura、コンポーザーのAyaseからなる「小説を音楽にするユニット」。2019年11月に「夜に駆ける」を発表。ストリーミング再生回数は2億回を突破。配信のみで年間チャート1位を獲得するという快挙を成し遂げた。また1月6日から放送開始されたTVアニメのオープニングテーマ曲「怪物」も話題だ。
「手もとに残したいと思える、宝物のような初CD作品」
小説『タナトスの誘惑』(星野舞夜著)をモチーフに、運命の出会いをした主人公が、導かれるがまま夜の街を駆け抜け、新しい光のある風景へと飛び込む様子を、スピード感がありながらも、美しいメロディで描写したYOASOBIの楽曲「夜に駆ける」。一昨年末に配信されて以降、話題が拡散し続け、時代を駆け抜けた1曲になった。
「この楽曲のおかげで、怒涛(どとう)の1年を過ごすことができました」と語るのはAyase。大きなヒットを生んだ要因は、リスナーが深掘りしたくなる部分が多かったからではないかと分析する。
「小説やミュージックビデオなど、この自粛を強いられた時間をうまく活用できる要素が多くあったことが、功を奏したのかなと思います」(Ayase)
これまで配信で楽曲を次々と発表してきた彼らが、初のCD作品であるEP『THE BOOK』を完成させた。楽曲ごとのイメージを表現したというバインダー型のビジュアルブック仕様の完全生産限定盤。彼らの軌跡だけでなく、映像やデジタルだけでは知ることのできなかった魅力を発見できるはず。
「ただ楽曲を集めただけの内容ならば、サブスクリプションなどで聴けばいいと思いますが、手もとに残しておきたいと思える、宝物のような作品に仕上がりました」(ikura)
EPは終わりを意味する「Epilogue」からスタート、最後に始まりを示す「Prologue」で締めくくるという、ユニークな全9曲の構成になっている。
「冒頭にEPのリード曲である『アンコール』を収録すると決めていたので、その流れをつくるためには、先にエピローグを入れておかないといけないと思ったんです。また最後のインスト曲は次の作品へと続いていくものでして。ここから、また新しいYOASOBIが始まることを感じてほしくて、構成したものです」(Ayase)
本作のリード曲である「アンコール」は彼らにとって初のバラードナンバー。終末が迫った世界でありながらも、心のどこかで未来に希望を持っている様子を繊細に描いている印象だ。
「これまでは、原作小説などの主人公になりきって歌っていたんですけど、今回の楽曲は原作のキャラクター設定に、初めて親近感を持てたというか。たとえ世界が明日滅びることがわかっていたとしても、私は歌い続けたいという思い、未来への願いを表現できた気がしています」(ikura)
この作品をきっかけに、彼らの時代を駆け抜けるスピードはさらに速まっていきそうな予感がする。
「今年もいろんなタイプの音楽に挑戦していきたい。次のステージをどんどん見せていけたら」(Ayase)
「小説を音楽にするという私たちらしいモチーフを、今後も最大限に生かした作品を届けていけたら。そのためにいろんな表現の引き出しを増やす1年にしたいですね」(ikura)
20歳のとき、何にハマってた(る)?
ラウド系バンドのアルバムと
インスタントカメラ
「ブリング・ミー・ザ・ホライズンの『センピターナル』。音はもちろん、デザインを含めて独自の世界を持ちながら、新しいことに挑戦する姿がうかがえ、今も刺激を受けています」(Ayase)、「現在20歳の私は、インスタントカメラで写真を撮るのが好きです。スマホなどで撮ったものよりも、その瞬間の空気を感じられるというか。大切な時間を写しているような気がするんです」(ikura)。
『THE BOOK』
(ソニー・ミュージックエンタテインメント) 発売中
[右/ikuraさん]ドレス¥48,000・中に着たトップス¥19,000/ミントデザインズ ピアス(ラブ バイ イー・エム)¥10,000/e.m.表参道店
[左/Ayaseさん]ジャケット¥49,000・シャツ¥28,000(ともにマインコデックス)/ソスウ
Photos:Kyouhei Yamamoto Hair & Make-up:YOUCA Stylist:Daisuke Fujimoto[tas] Interview & Text:Takahisa Matsunaga
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