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約1400万人が暮らす首都、東京都。
7月4日(日)にある東京都議会議員選挙では、東京の有権者の代表である127人が選ばれる。
選挙には行ったほうがいい気がするけれど、何を考えて候補者を選べばいいのか、選挙に行くことにどんな意味があるのかわからない、というメンズノンノ読者も少なくないのでは?
そこで今回は、ノンノモデル貴島明日香さんとメンズノンノモデル中田圭祐が、これまで数々の選挙の取材をしているライターの宮原ジェフリーさんに、東京都議会議員選挙のあれこれを聞いてみました。
舞台は選挙で選ばれる都議会議員が議案の審査等を行う東京都議会議事堂!
テレビで見ることはあっても実際に足を踏み入れる機会はめったにない場所だが……?
Part1
7月4日(日)に、
東京都議会議員選挙があります!
貴島
すごく雰囲気のある場所ですね。ここは何をする場所なんですか?
宮原
ここは東京都議会議事堂といって、都議会議員が集まって東京都の予算の使い道や条例などのルールを議論して決める場所です。
中田
すごい数の椅子が並んでるんですね。
宮原
都議会議員の席は全部で127あります。今度の選挙では次の4年間、この席に座る私たちの代表を選ぶんです。今私たちが立っている、議場よりも高いところにある席は傍聴席といって、一般の人もここに来て議論や採決を見学することができるんですよ。
中田
誰でも来られるんですか?
宮原
手続きをすれば誰でも入れます! インターネットで中継もやってますし、後から動画で見ることもできます。また、ここで話された内容は文字になって議事録に記録されるんです。
貴島
議事録って量も多いし、文字ばかりでどんな話をしているのかチェックするのは結構大変ですね……
宮原
そこで、議会での議論をわかりやすくまとめた「都議会だより」というのが発行されてるんです。これは駅や図書館、新聞の折り込みで配られているし、これもインターネットで公開されているのでスマホでチェックすることもできるんですよ。
中田
これならどんなテーマで議論しているかや、どの都議会議員がどんな質問をしているかが見やすいし、興味がある内容は議事録でもっと詳しく見てもいいですね。
Part2
友達と政治の話って、する?
宮原
おふたりは、友達と政治の話をする機会はありますか?
貴島
選挙が近づくと、インスタグラムのハッシュタグとかで「#選挙に行こう」みたいなのが拡散されているのを目にすることはありますが、友達との話題になることはほとんどないですね。実は私、正直に言うと選挙には一度も行ったことがなくて……。
中田
僕は1回だけ、友達が何人かインスタのストーリーズで東京都知事選挙のことを投稿してて、やべぇ俺も行っとかなきゃ!と思って去年初めて投票所に行きました。
宮原
SNSを中心に、若い人が政治的な発信をする機会というのが、私たちの世代に比べて増えてきた印象ですね。だけど、前回の都議選の投票率は全体は51%だったのに対して、10代は39%、20代の投票率が26%しかなかったので、ふたりのように、今まではあまり選挙に行っていなかった若者の方が多い、というのが残念な現状です。
でも、誰しもが政治に無関係でいられるわけじゃないんですよ。それはファッションの仕事も同じです。
中田
ファッションが政治と関係ある? 政治家が着てる服のことですか?
貴島
自分のイメージカラーを印象的に着こなしている女性の政治家、いますよね。
宮原
そう。何を着るか、によって見る相手にどのようなメッセージが伝わるかが変わってきます。例えば、東京都政には直接は関係ないですが、「エシカルファッション」という言葉、聞いたことないですか?
貴島
初めて聞きました。
中田
僕も知らないです。
宮原
倫理的なファッション、道徳的に正しいファッションのことです。
例えば、環境に優しい素材を使っていたり、服を作っている労働者に安全な環境できちんと賃金を払って作られていることが、服を選ぶチェックポイントになってきているんです。逆に、エシカルに問題があることが指摘されているブランドの服を知らずに着ていて、モデルが批判されてしまう、といったことも起きているんです。
中田
自分は普通に仕事を続けているつもりで、訳もわからないまま叩かれちゃう、なんてこともあり得るんですね。普段から関心持ってニュース見ないとなぁ。
貴島
今まであんまり考えたことがありませんでしたが、大事なことですね。
知っておきたい都議会のこと
東京都議会議員選挙では42の選挙区から全部で127人を選ぶ。
これも多いように感じられるけど、東京都の人口は約1400万人、予算規模は年間で15.2兆円。同じくらいの人口のジンバブエには国会議員が350人(上院80人、下院270人)。同じくらいの予算規模のスウェーデンには国会議員が349人いるので、都議会議員が必ずしも多い、というわけではない。
Part3
投票に行く“意味”って何だと思う?
中田
「選挙に行くべきだ」っていくら言われても、自分が政治について知らないまま、なんとなくで候補者を選ぶくらいなら、ちゃんと勉強して色々わかってる人が投票して決めてもらった方がいい気がするんですけど…。
貴島
あと、自分1人が投票に行っても何かが変わるようには思えないので、そういう意味でも投票に行くモチベーションはなかなか上がらないんですよね。
宮原
確かに、国会の話だったらテレビや新聞で報じられていて身近に感じられるけれども、東京都政となるとピンとこないことも多いかもしれませんね。
東京都では税金で集められた予算をどのように使うかをまとめた「東京都予算案まるわかりブック」などを発行してわかりやすく説明していますよ。
中田
とはいえ、自分の生活に直接に関係がある項目があまりなくてリアリティが持てないな……。
貴島
よく若者の投票率が低いと、投票に行く高齢者ばかりに有利な政策になってしまうから、若い人こそ選挙に行こう、ってことが言われますけど本当にそうなんですか?
宮原
そういう意見、よく耳にするんですが、私はちょっと違う視点からの考え方を提案したいんですね。
本会議場のほかに、議案の審査が行われる委員会室も見学させていただいた。
宮原
もちろん今でも若い人が投票に行く割合は高齢者の方のそれより圧倒的に少ないんですが、もし、若い人も高齢者も100%投票に行ったとしても、高齢者の方が絶対的に人口が多いので若い人は多数決で敵わないんですよ。
中田
確かに。僕たちは少子化世代ですもんね。
宮原
だから、大事なことは自分たちの目の前の損得から一歩踏み出して考えて欲しい、ってことなんです。
貴島
一歩踏み出す?
宮原
例えば、お2人は今すぐに子育てについての政策は関係ないかもしれないけれども、遠くない将来、考えなくてはならないタイミングが来るかもしれない。
貴島
それに備えて、今からより子育てがしやすい環境ってどんなものか、立候補している人の政策をチェックしてみる必要があるんですね。
宮原
それだけじゃなくて、ピンと来ない、関わりが低いと思いがちな分野についても目を向けて欲しいんです。
中田
具体的にはどんなことですか?
宮原
例えば東京都政だったら、街づくり、環境などの問題があります。そういった地域の振興策について、候補者の政策に目を向けて欲しいんですね。
中田
自分が住んでいる街に関わることですからね。
女性議員はどれくらいいる?
東京都議会議員127人のうち、女性の数は37人。割合にすると29.1%が女性。
男性議員の方が圧倒的に多いけど、実は47都道府県でもっとも女性の割合が多いのが東京都議会なのだ。
前回の選挙で都議会議員になった人の平均年齢は49.2歳*。これも全国的にみるとかなり若いのだけれど、20代で当選した人はたったの5人。30代は22人と、全体の割合から考えると若い人はあまり多くない印象だ。
*当選時点での年齢。
Part4
誰に投票すればいいのかわからない!
貴島
選挙にいった方がいいのは理解できたんですけど、『都議会だより』や過去の議事録でわかるのはこれまで都議会議員だった人の情報だけだし、新しく立候補する人もいると思うんですけど、どうやって情報を集めて選んだらいいんですか?
宮原
選挙が近づくといろんな情報が入ってくると思うんですね。特にSNSなどから流れてくる真偽不明の怪しげなものも含めて。なので、まず大きく情報を2種類に分けてみましょう。
一つは候補者本人から発信される情報。これは候補者本人のSNSや、街頭演説、動画やビラなどがそれにあたります。
もう一つは、報道機関が発信する情報。新聞やテレビ、ラジオや雑誌、Webメディアの記事や番組などのことです。どういう違いがあるかわかりますか?
貴島
候補者本人からの発信ではいいことしか言わなそうですよね。
宮原
そう。一方でメディアはそれぞれの立場があったり、あるいは公平に報じようとするので、候補者や政治団体の悪い部分についても触れています。そのことを頭に入れて情報に接することが大事です。
あと、「この人には投票しないだろうな」と決めてる人だったとしても、自分の選挙区の立候補者の政策は必ずチェックしてくださいね。
中田
それはどうして?
宮原
政策を比較してみることで初めてわかることがあるんです。候補者が「何を言っているか」については当然本人が発信する情報を見ればわかるんだけど、「何を言っていないか」については、他の人と比較してみて初めて気づくことが多い。
中田
なるほど。でも、それぞれのSNSやウェブサイトを全部チェックして、情報を選び取るって、毎日忙しくしている人にはなかなか難しいですよね。僕は前回の知事選の時は、投票所に行く途中にあったポスターの掲示板を見て、いちばん目が輝いていた人に決めたんですね (笑)。時間がない人でも、整理された情報で過不足なく選び取れるツールがあったらいいんですけど。
宮原
本当は有権者の責任として、しっかりと時間をかけて候補者の政策をチェックして欲しいところなんだけど、よくわからないまま投票日直前を迎えてしまった、という人におすすめなのが選挙公報です。選挙が始まってから配られる新聞サイズの印刷物で、立候補者全員が同じ大きさのスペースを与えられていて、それぞれが自分の政策をコンパクトにまとめてPRしているので比較もしやすくておすすめです。
中田
選挙公報はどこで手に入るんですか?
宮原
駅や区市町村の関連施設などで配られたり、ポストに投函されたりするほか、都議選特設サイトからPDFでダウンロードもできます。
Part5
僕らが投票することで、
何が変わるんですか?
貴島
でも、私たちの1票や2票で結果を動かすってことは難しいですよね?
宮原
正直なところ、その通りです。貴島さん、中田さんそれぞれの1票で大きな変革を起こすことは難しい。たまにすごく競り合った選挙で1票差とか、同数になってくじ引きで当選者を決める場合もあるので、1票が大きな意味を持つ場合もあるのですが、本当は、仲間を集めて当選させたい人を押し上げる、といったような多くの人を巻き込んだ運動が民主主義にとっては重要です。
とはいえ、立場的に自分が運動の中心になったりそれに関わることが難しい人も多いと思うので、一番共感できる人に乗っかってみることを意識してみるといいんじゃないでしょうか。
中田
いくら選挙期間中に素晴らしいことをたくさん言っていても、言った通りに政策を実現させてくれるかどうかの保証はないですよね?
宮原
その通り! だから、今回のこの座談会は「選挙に行こう」っていうのが一つの目的だけど、投票に行って終わり、じゃないことをぜひ意識してもらいたいんです。
貴島
選挙が終わったあと? 私たちにどんなことができるんですか?
宮原
自分の選挙区から選ばれた議員のことをチェックして欲しいんです。選挙中に言っていたことをちゃんと実行しているか、を特に。
貴島
じゃあ、選挙の時の公約をちゃんと覚えていないといけないですね。
宮原
そう。だからできれば選挙公報は紙で保管しておくか、PDFでダウンロードしておくといいですね。東京都の場合、過去の選挙の公報がWeb上に保管されているので、振り返りやすいですね。あと、選挙期間中にフォローしておいたSNSのアカウントですが、当選した候補者についてはそのままフォローしておくといいと思います。
貴島
そうか。私たちの代表がきちんと私たちの代弁をしているかをチェックするのも有権者の責任なんですね。
貴島
ところで、新型コロナウイルスの流行がいまだに続いていて、出歩くのを控えている人も多いと思うんですが、投票所は大丈夫なんですか?
宮原
やっぱり多くの人が出入りする投票所なので、感染対策は徹底してやっています。
手指の消毒液が設置されてますし、スタッフは全員マスクを着用していて、定期的に換気しているだけでなく、投票に使う記載台や鉛筆も定期的に消毒しているんですよ。
貴島
もっと便利に、スマホで投票できるようになったら手軽なのにな……。
宮原
そういう声もけっこう聞くんですが、もう少し工夫をしないとWeb投票は危険じゃないかな、と僕は思ってるんです。
中田
便利になると危険なんですか?
宮原
今の選挙制度だと、投票所まで連れてこられたとしても、実際に自分が誰の名前を書いて投票したか、まではチェックされないですよね。これを「投票の秘密保持」といいます。
だけど、スマホやパソコンで簡単に投票ができるようになってしまったら、お世話になっている人や、立場が上の人に呼び出されて、目の前で投票するように促されたら……。
貴島
Noって言いづらいかな。
宮原
だから、今のところは現行の選挙制度が一番公平なのかな、と思ってます。
中田
なるほど。投票するだけならそんなに時間もかからないし、マスクをして選挙に行ってみようと思います!
7月4日は東京都議会議員選挙へ行こう!
東京都議会議員選挙は6月25日告示、7月4日投開票です。住んでいる場所の選挙区をチェックして投票に足を運ぼう。
期日前投票は、実はとても便利にできる!
7月4日に投票所へ行けない!という人は、告示日の翌日、6月26日から期日前投票が可能。駅ビルや駅周辺、ショッピングセンターなど、買い物などのついでに立ち寄りやすい場所にも期日前投票所が設置されているので、自分の都合に合わせやすい! 期日前投票所のリストは、東京都議会議員選挙特設サイトで見ることができる。
中田圭祐
1995年、神奈川県生まれ。MEN’S NON-NO専属モデル。MEN’S NON-NO WEBでは自身が仲間のメンズノンノモデルを撮影するシリーズ「中田撮」も絶好調!
貴島明日香さん
1996年、兵庫県生まれ。non-no専属モデル。朝の情報番組「ZIP!」(日本テレビ系)のお天気キャスターとしてもおなじみ。youtubeやSNSのフォロワー数は計80万人越え。
宮原ジェフリーさん
1983年、東京都生まれ。選挙ライター、キュレーター。著書に『沖縄〈泡沫候補〉バトルロイヤル』(ボーダーインク)。ポッドキャスト「#Sekaiのびんづめ」で情報発信中。
[貴島さん]ブラウス(スプレンディーナ)¥12,100/ユニバーサルランゲージ たまプラーザ テラス店 スカート¥2,999/アース ミュージック&エコロジー 新宿ミロード イヤリング¥1,700/アメリカンホリック プレスルーム ネックレス¥1,700/アメリカンホリック プレスルーム 靴¥7,590/RANDA
[中田]ブルゾン(サニースポーツ)¥27,500/セル ストア カットソー(イオリ)¥15,400・パンツ(ネプラ)¥22,000・靴(ヴィジョン ストリート ウェア)¥4,950/すべてティーニー ランチ
[宮原さん]ブルゾン¥151,800/チンクワンタ Tシャツ¥9,900/ファクトタム ラボ ストア パンツ(ニート)¥41,800/にしのや スニーカー(ワイルドシングス)¥13,200/ティーニー ランチ
Model:Asuka Kijima[non-no model] Keisuke Nakata[MEN’S NON-NO model] Photos:Taichi Chiba Stylist:Marino Tanaka(for Asuka Kijima) Izumi Makabe Hair&Make-up:Mami Numata(for Asuka Kijima) Kosuke Abe Text:Jeffrey Miyahara
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