▼ WPの本文 ▼
古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でもどの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第4回はラッパーKoLukeとしても活動し、ストリートファッションにも造詣の深い岸本ルークが、原宿のペンギントリッパーでエイプ、ステューシーのニューヴィンテージを掘る!
90年代の裏原宿やステューシーに
紐づけたストリート古着が充実!
ヒップホップが好きな岸本ルークが、「90年代のエイプやオールドステューシーが見たい!」と指名した原宿のペンギントリッパー。オンラインでスタートし、5年前に原宿の裏通りに店を構えた。店長のアベヒロユキさんが、有名なステューシーのコレクターだったことから、徐々にステューシーや裏原宿に特化した商品構成にシフト。今や地方のセレクトショップからポップアップ・ストアのオファーが絶えない有名店となった。
「もともと父がエイプ(ア ベイシング エイプ)、ステューシー、シュプリームのマニアで、物心ついたころから家に裏原宿系の服がありました。そんな環境もあって自然とファッションに興味を持つようになったから、きょうは当時の古着がいろいろ見られそうでワクワクしています」とルーク。ペンギントリッパーはエイプとステューシーの品ぞろえに定評があり、マニアからも注目されている古着店なのだ。
コンパクトな店内ながら充実の商品群
入口を入ってすぐのところに雑貨類のショーケースとTシャツの棚があるほかは、壁面のラックいっぱいにぎっしりと古着が並ぶ。「ステューシーは1980年のスタートですが、オールドから最近のものまで幅広くそろえています。エイプも1990年代から2000年代初頭のものを中心に。そのほか、当時のスタイルに合うもの、関連のあるものをセレクトしています」と店長のアベさん。
単体で飾られているアイテムはほとんどがコレクターズアテイム。Tシャツと並んで人気のバーシティジャケット(スタジャン)は探している人も多く、すぐに売れてしまうアイテムのひとつだとか。スティーシーの人気モチーフ、ラスタライオンの刺しゅうが両胸に入ったバーシティジャケットは2012年のベドウイン&ザ・ハートブレイカーズとのコラボ、ステューシー&ザ・ハートブレイカーズのカプセルコレクションからの一点だ。
ショーケースの中にもステッカーやノベルティ類が並び、ストリートブランドならではのカルチャーが感じられる。KUBRICK(キューブリック)のフィギュアも裏原宿カルチャーには欠かせないアイテム。
ふとしたところに飾られたグッズも興味深く、スタイリッシュなお宝ばかりで、掘りがいがある。
コレクターならでは商品知識に感動!
まずはルークお目当ての90年代のエイプをチェック。「NIGO®さんがデザインをしていた頃のエイプが好きです。このラック全部エイプですか! いろんな迷彩がありますね」(ルーク)。エイプの顔を入れ込んだベイプカモで有名だが、初期は別バージョンの迷彩も多い。「初期はミリタリーをアレンジした服が多くて、迷彩にもバリエーションがあります。エイプはノーウエアがオープンした1993年にスタートしていますが、1990年代から2000年代初期までのものはもともとの生産数も少なく、出るとすぐに売れてしまいます」(アベ)。
念願のエイプの
スペシャルなアウターを試着!
1990年代の迷彩ナイロンジャケット¥25,080
とりあえず、ルークが気になったエイプのアウターを試着。全身ほぼエイプでコーディネートしてきたルークの私服に羽織ってもらった。まずはデザートカモタイプのスイングトップ。「自分が生まれる前のデザインを見てみたかったのと、エイプはやっぱり迷彩がいいですね!」(ルーク)。「袖がファスナーで取り外せて半袖ジャケットとしても着られる2WAYで、当時のエイプによく見られるデザインです。服づくりに対するこだわりを感じますね」(アベ)。
エイプ×ポストオーバーオールズのフリースダッフルコート¥21,780
続いては1990年代のエイプの珍しいボアフリースのダッフルコート。「ポストオーバーオールズとのコラボでポーラーフリースを使用しているので3社のタグがついています。フリースでダッフルというのは当時相当珍しかったと思います」(アベ)。フリースというよりもボア風の素材感が今っぽい。アメリカを拠点にものづくりをしていた時代のポストオーバーオールズとのコラボという点でも価値が高い。
2000年ごろのコーチジャケット¥21,780
今の時代にもマッチするコーチジャケットも裏原宿ファッションの定番。胸のメカっぽいエイプも初期のモチーフだ。「プリントだけでなくワッペンを複数あしらうデザインも1990~2000年代初期の特徴ですね」(アベ)。この日のルークの私服、ミリタリーパンツとエア ジョーダン 1 ミッド ミシガンとも好相性!
ロゴや自身の名前にも®マークをつけるこだわりはこの時代から!?
バックにもⓇのワッペンが思いがけないところについていたりして、このあたりのユーモアやギミックもエイプの持ち味だ。「NIGO®さんのデザインは、やっぱりセンスの塊ですね」(ルーク)。
「裏原宿の初期はミリタリーやスポーツウエアなどのユニフォームを自分たちが着たいように再解釈したデザインが多くて、ディテールやパーツにも手間ひまをかけています。そこに生まれるこだわりが好きなんですよね」(アベ)。商品はコレクターやさまざまな知り合いのコネクションで仕入れ、当時の雑誌などでいつの商品かを詳細にチェックしている。できるだけ正しい情報を伝え、適正価格で提供したいというのがアベさんのスタンス。
ステューシーの人気Tをチェック!
店内いっぱいに並ぶステューシーの商品群は、1980年代のヴィンテージから最近ものまで年代にとらわれずアベさんの琴線にふれるものをセレクトしている。中でも、バリエーションが豊富で値段的にもこなれているのがTシャツだ。ルークが欲しいと思ったものとアベさんのおすすめをご紹介しよう。
2010年代のサーフマンのジャカード入りボーダーTシャツ¥3,850
Tシャツがずらりと並ぶラックからルークがピックアップしたのはステューシーを代表するボーダーT。淡い水色とブルーの太いボーダーにサーフマン&ロゴのラインが入る。襟元がほつれているから破格の値段らしいが「このダメージがカッコよくないですか? ボーダーとロゴラインのバランスもクールだし」とルーク。「ステューシーの代表的なモチーフのサーフマンが、プリントでなくてジャカードで入っているというのがまたいいんですよ」とアベさん好みのアイテムでもあるようだ。
2010年代の中日ドラゴンズとのコラボ限定Tシャツ¥7,590
続いて目に留まったのはなんと中日ドラゴンズとのコラボT!「こんなものもあったんですね。スゴイ!」(ルーク)。フレンドリーなステューシー独特のスカルがドラゴンズのユニフォームに身を包み、持っているバットにはSSロゴや王冠と芸が細かい。「ドラゴンズ以外にもカープやホークスがコラボしていて、どれも数が少なく貴重です」(アベ)。
バックはショーンフォントが全面に。
サーフボードのシェイパーだったショーン・ステューシーが、直筆のグラフィカルな文字で描いたTシャツがアパレルブランドとしてのステューシーの出発点。ひと目でステューシーとわかるその書体は通称“ショーンフォント”と呼ばれており、古着でも人気が高い。
2006年のステューシー×フラグメント デザイン×リゾネイト グッド イナフのコラボTシャツ¥9,790
アベさんが選んだのは1987年の傑作、トムトムラスタTをモノクロで、ところどころエラーのようにプリントが二重になったモノクロTシャツ。オリジナルは背景のカーテンのようなラスタカラーの配色で、ロゴはないが、この3社コラボは胸にネオンイエローでストックロゴがあしらわれている。「このコラボTはカラーバリエーションでブラックがあって、そちらは胸にネオンピンクでRESONATEのロゴが入っています」(アベ)。
フラグメントデザインは今や世界のメゾンブランドとコラボを展開する藤原ヒロシのブランドとしておなじみ。リゾネイト グッド イナフはグッドイナフのセカンドラインで2004年に登場している。西海岸のサーフカルチャーから生まれ、1980年代にスケートボーダーの間でブレイクしたステューシーを日本にいち早く紹介したのは藤原ヒロシだった。グッドイナフも然り。そういう意味でもストリートカルチャーの歴史を物語る貴重なコラボTだ。
ストリートにマストな帽子も最高!
1990年代後半のニットバケットハット¥8,690
Tシャツつながりで棚の上にあった帽子を次々試着するルーク。その様子は動画でお届けするが、中でもいちばん気に入ったのがジャカードでロゴが入ったニットのバケットハット。最近のモードブランドにもありそうな優品。「形といい配色といい、どんなスタイルにもマッチしそうでいいですね!」(ルーク)。
コレクター魂がうずく
スタジャンコレクション
1990年のバーシティジャケット¥218,000・90年代のスウェット¥18,480はともにステューシー
KIK WEARの90’s サイドラインバギーパンツ¥8,690
アベさんおすすめのコーディネートはステューシーのスタジャンにバギーパンツを合わせた90年代を彷彿とさせるストリートスタイル。「ステューシー35周年のアニバーサリーブックにも掲載されている1990年当時の “INTERNATIONAL STUSSY TRIBE”バーシティジャケットです」(アベ)。 “INTERNATIONAL STUSSY TRIBE”はステューシーがつなげた世界各地のインフルエンサー集団の名称で、1990年に登場したこのスタジャンをそのメンバーが愛用していたことは有名。
同年、東京の芝浦ゴールド(当時の伝説的クラブ)では「STUSSY WORLD TRIBE」なる記念イベントも開催されている。その後、世界各地のクラブやイベント、ストリートシーンでメンバーがユニフォーム的に着ていたスタジャンは、周年アイテムとして登場することも多いマニア憧れのヴィンテージ。
「ステューシーのオールドボトムはかなり貴重で数が少ないので、当時のトレンドだったパンツのデッドストックなどもセレクトしています」(アベ)ということで、バギーパンツはL.A.のKIK WEAR(キックウエア)のデッドストック。当時のヒップホップのアーティストにも愛用されていたブランドで、このサイドライン入りのパンツはかなり今っぽい。
すべてアベさんの私物。ニットキャップはグッチ、スニーカーはナイキSBとハイブリッド。
この日アベさんが着ていたスタジャンも1990年のヴィンテージ。「ステューシーを代表するモチーフのひとつであるズールーマスクの刺しゅうが施されています。当時日本では2着しか販売されなかったと言われている希少品です」(アベ)。タイダイ風のパンツは昨年買った新作(1990年のGUESSのサンプリングだとか)で、ショーン・ステューシーとディオールのコラボマフラーを合わせている。「古着というわけでなくステューシーのすべてが好きなんです」と純粋なコレクターならでは着こなし。
ステューシーの哲学に基づく
商品構成にも注目!
ショーン・ステューシーがアートワークを手がけた初期の広告。
ペンギントリッパーにはコム デ ギャルソン・オムの古着も散見するがそれは「ショーン・ステューシーが若き日のインタビューで“スケートキッズからヨージやギャルソンを着るような人まで、いろんな人に着て欲しい”といっていたから。同様にワークウエアのカーハートをセレクトするのも“ホームセンターに売っているようなカーハートのワークウエアを自由に着こなしている若者がいちばんおしゃれ”と、ショーンがあるインタビューで語っていたからなんです」とアベさん。「若いときに通った古着屋のスタッフがみんな博識だったように、自分も聞かれたことには何でも答えられるようにしたい」と自己研鑽を怠らない。
1990~2000年代のカーハートのベスト¥7,590
ということで、最後にルークがカーハートのラックから選んだのは企業物のベスト。「胸の刺しゅうが洒落てますよね」とルークがいうと、「日本でいえばトライチで制服つくるみたいな感覚ですよね」とアベさん。ストリートカルチャーのさまざまな側面を感じたルーク。「まだまだ着たい、見たいものがたくさんありすぎて…。また来ます!」と、後ろ髪を引かれる思いで取材を終了。
ルイ・ヴィトンのバージル・アブロー、ディオールのキム・ジョーンズなどメゾンを牽引するデザイナーたちにも大きく影響を与えたステューシーや裏原宿のカルチャー。90年代ストリートブームもあってその古着がニューヴィンテージとして見直されているが、今なお新鮮なデザインが多いのも事実。ストリートファッションが好きな男子はもちろん、メゾンや今のファッションに興味がある人にも、ぜひ足を運んでほしい。
動画も公開中!
PENGUIN TRIPPER原宿店
(ペンギントリッパー原宿店)
住所:東京都渋谷区神宮前4-25-3 メゾン原宿102
TEL:03-6447-2740
※営業日時はインスタグラムで確認をお願いします。
Instagram:@penguin_tripper
HP:penguintripper.com
Photos:Yumi Yamasaki
Models:Luke Kishimoto [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
▲ WPの本文 ▲