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世界の頂点を極めたプロゲーマー・ときどだからこそ語れる、競技としてのゲームの面白さを教えてもらった!
世界No.1プロゲーマー・ときどが語る
eスポーツの魅力!
PROFILE
プロゲーマー ときど
東京大学大学院を卒業後、プロの道に進む。2017年、世界最高峰の格闘ゲーム大会「EVO」のストリートファイターV部門で優勝。その後も多くの国際大会でトップの座に輝いている。
あらゆる人にチャンスがある
総合力で勝ちにいく真剣勝負
2017年の格闘ゲームの世界大会をはじめ、さまざまなタイトルを有するプロゲーマー・ときどは、ここ10年に起きているeスポーツシーンの興隆を肌で感じながら第一線で活躍し続ける先駆者のひとりだ。「生涯プレーヤーでいたい」。そう強く語る彼に、ゲームを競技とするeスポーツという世界の魅力、そしてゲームで戦うことの面白さを聞いた。
「私が主戦場としている格闘ゲームは、決して終わりがありません。幼いときに遊んでいたときとレベルは違いますが、やり込んでいくほどに自分より巧(うま)い人がいると気づき、自分が成長するとさらに相手も巧くなっている現実を知る。私がもともと競争好きな人間というのもありますが(笑)、そんな奥深さにずっと魅了されています」
対戦において、目に見てわかる“巧さ”は、絶対的な正義といえる。しかし、こと格闘ゲームにおいては、巧さ=強さではないと競技者人生を通して感じたという。
「いわゆる普通のスポーツより、総合力で勝負するところが大きな魅力だと思っています。確かに身体能力でいえば、若い人のほうが反射神経はいいんですが、それだけで戦ってはいないんです。タイミングを見極めて技を出す、かわすテクニックはもちろん、対戦するキャラクターの組み合わせに関する知識や厳しい局面でも戦えるメンタルの強さも必要です。そして、仲間との情報交換も大切。裏を返せば、年齢や性別、身長や体重など体格は格闘ゲームにほとんど関係なく、あらゆる人がハンディを負うことなくプレーできる。そこがすごく面白い。実際私自身は、いまがこれまでの人生の中でいちばん強いと自信を持って言えます」
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レーティング(ゲーム中の表現、描写によって付与されるプレーに適した年齢区分)によって、若者が参加できないタイトルもあるが、それ以外の制限はない。加えて、オンライン対戦に対応したソフトが増え、より多くの人がつながり、切磋琢磨(せっさたくま)できる環境が整っている。
「いまのゲームは、昔ほど玄人ウケを狙ったマニアックな内容になっていません。誰もが始めやすいし、適応することができる。私たちが何十年やってきたことが、そこまでアドバンテージにならないようなつくりになっている気がします。時勢を鑑みてリアルな大会やイベントの数は減っていますが、その代わりオンラインで開催する割合は増えて、遠征する必要がない分、あらゆる人が挑戦しやすくなっています」
/ 万全の状態を保つため筋トレも欠かせません \
人に必要な素養はすべて
eスポーツで手に入れられる
ゲームで培った総合力は、コントローラーを握ったときだけの強さじゃない。普段の生活や仕事にもおおいに役に立つ。
「変化の激しい世の中で、ひとつのことを極めようとしてもなかなか達成できません。何かを実現するためには、自分を高めながら、目的を同じにする周りの人と密にコミュニケーションを取り、分析する。人とつながり、連携しながら力を発揮する。そしてそのためには、日々自分の体や心の状態を把握する必要があります。どんな状況になってもいいパフォーマンスを生み出せるように、健やかな状態で課題に取り組むことを心がける。これはeスポーツや格闘ゲームのみならず、実はどの世界で生きるにも、欠かせない能力ではないでしょうか」
/ eスポーツにも心技体が大切! \
ベストな状態で戦うために
欠かせないアイテムです!
❶ アーケードコントローラー
ゲームセンターにある業務用筐体(きょうたい)と変わらない操作性を実現するアーケードコントローラー。「ひざの上に乗せて使うのが王道スタイルです」
❷ レバーレスアーケードコントローラー
同じコントローラーでも、方向を入力するレバーがない仕様。キャラクターの上下左右の動きを、攻撃ボタンと合わせてシームレスに入力できる。「ユリアンというキャラクターを使うときに使用しています」。ともにQanba製筐体。
❸ 目薬
常に集中して戦っているため、目の休息も大事。「目薬でケアしながら、気分をリフレッシュしています」。
❹ メジャー
さまざまな大会に出場する際、練習時と同じ環境に近づけるためにモニターと自分の間を一定にしていた。いまはお守りとして携帯。
Photos:Kanta Matsubayashi Composition & Text:Hisamoto Chikaraishi
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