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WEB SPECIAL EDITION
「オーディションに34連敗して、この世界で初めてつかんだのがメンズノンノモデルでした。なかなか仕事が決まらず悔しさのあまり電車に乗れなくなったり、同期と自分を比べて人知れず焦ったりもしました。だから今日は、本気で臨みました」。
舞台『ピサロ』の再演を記念してお届けしているこの連載は、昨年のメンズノンノ11月号で宮沢氷魚が、念願の初表紙を飾った時のインタビューを再録したもの。今回は、穏やかな中にも時折強い意志が煌めく彼の、表紙撮影直後の熱い思いを紹介します。
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念願だった、メンズノンノの表紙
――初めてメンズノンノの表紙に決まったときはどんな気持ちだったの?
「そうですね…なんとも言えない緊張感があったんですけれども、それに勝る楽しみが何日も前からあって。嫌な緊張感ではなくて、前向きな緊張感というか、早くこの表紙撮影の日がきて、そしてカメラの前に立っていい写真を撮りたいなっていう気持ちで今日を迎えましたね」
――プレッシャー以上に、ワクワクがあったんだね。
「はい、メンズノンノの表紙が決まったというのは、事務所に呼ばれてマネージャーから知らされました。事務所に呼ばれる時って、だいたい何かあるんですよ。わりと大きなお仕事の決まるタイミングとかが多いので、“あ、今回も何か次の作品の話かな”なんて思って。そうしたら、“あの、実は…決まりました”と。“えっ何だろう?”と思っていたら、“表紙です”って言うんです。まさかという気持ちで“メンズノンノの表紙ですか?”って聞きました。
――けっこう焦らされる感じのお知らせ(笑)。
「そうなんですよ(笑)。しかも“単独です”って聞いて、“ほんとにー!?”とびっくりしました。ウワーッとこみ上げるものがありましたね。
――その場で嬉しさが爆発した?
「嬉しさをめちゃくちゃ出しました(笑)。聞いた直後はクールに“まじすか”って感じでいたんですけど、なんかいろいろ考えるにつれ、“あ、これはすごいことだぞ”とじわじわ実感がわいてきて、どんどんテンション上がっちゃって。後半あんまりマネージャーが何を言っていたか覚えていないですね。別の仕事の話をしていたはずなんですけど、全く入ってこなかった(笑)。メンズノンノのことで頭がいっぱいで」
――それだけやりたかったってことだね。
「メンズノンノモデルである以上は、多分みんなそこを目指していると思います。一番の目標というか。でも、みんな目指すんだけど、できない人の方が多いということもわかっています…年に12冊しか出ないわけですから、僕も“いつかいつか”って思いながらも、やっぱりどこか、“もしかしたらできないのかな”って諦めそうになったこともあります。僕たちモデルにとっては本当に、メンズノンノの表紙っていうのはそういう特別な存在感があって、それこそゴールじゃないですけど、まず目指すところであり夢ですよね。だから今日は本当に真剣に、自分なりの矜持を持って挑みました。きっとスタッフさんたちにとってもそうだから、余計に気合が入ったんです。皆さん今日のためにすごく準備していましたよね。僕も事前に編集部で打ち合わせをしたし、コンテをもらって色々考えました。さっきメイク中ヘアメイクさんにも、今日を迎えるにあたり僕のこれまでの写真をたくさん研究して、三日三晩僕のことを考えて緊張しっぱなしだったと言われました(笑)」
――実際撮ってみてどうだった? 仕上がりにはすごく満足していたよね。
「そうですね、なんか今までやってきたメンズノンノの撮影ともまるっきり違いました」
――どんなところが?
「なんだろう…僕の気持ちの問題もあるのかもしれないけれど、やっぱりスタジオに流れている空気というか、みんなの気合というか…もちろん他の現場は他の現場でそれぞれに思い入れがあるんですが、今日は言葉では説明できない気迫を空間全体から感じましたね。その場で生まれるものを大事にするような、ライブ感重視の撮影もあるけれど、表紙の撮影って準備がすごいんだなって。前からスタッフの皆さんがいろんなことを考えて考えて、これがいいんじゃないかっていうあらゆるパターンを出して、その中から一番いいものをいくつか持ってきて、さあそれに対して僕がどうか、っていうのがあったので、すごく責任も感じましたね。いつもどの現場でも真剣に取り組んでいますし、最低限のケアもして臨むんですけれども、今回はちょっと普段以上に準備に力が入って、10日くらい前から食事制限をしたり、コンディションを整えたりしました」
――すごい、しっかり準備してきたんだね。
「なんかそこで後悔したくないというか、撮った後で、“まあいいのが撮れたけど、もうちょっと顔のラインがシュッとしていた方がよかったんじゃないかな”とかっていうのを、後から思うのがすごくイヤだったんですよ。だからそこはストイックに準備しましたね。いやー本当に、メンズノンノモデルになって5年経ちますが、今までで一番気合が入ったかも」
――その甲斐あって、とてもカッコいい表情が撮れたね。この表紙の写真が渋谷駅に掲出されたほか(編集部注:2020年10月時点。現在は終了)、別の衣装で撮影した写真はアドボードとして代官山に登場したので、そちらもちょっとご紹介します。
実はめちゃくちゃ負けず嫌い(笑)
「僕がちょうどメンズノンノモデルになったくらいの時に、駅の大きなモニターにメンズノンノの、なにかタイアップ広告の映像が映されていたのを見たんですよ。坂口くんとか成田くんがいて、みんなが楽しそうにジャンプしているのがスローモーションで流れているような感じだったかな…。それで、そこに同期が入っていたんです、メンズノンノモデルの。それがめちゃくちゃ悔しくて」
――そんな気持ちを胸に秘めていたとは
「いやぁ、まじかーってなりましたよ。でもたしかにすごくカッコよかったんですよね。いつか自分もそういう、メンズノンノ読者じゃない人にもメンズノンノのよさを伝えられるような、モデルとしての自分の姿を見せられる誌面以外の場にも出てみたいなっていう気持ちは、当時からありました。その念願が今日は5年越しに叶ったというか。こう見えてめちゃくちゃ負けず嫌いなんですよ(笑)。メンズノンノの中で誰と競っているとか、みんながバチバチしているとかはないけど、やっぱり同じ仕事をしているわけですし、ちょっと気になっちゃうのは当然ですよね。でもそれが僕にとってはある意味モチベーションになっているし、“この人には負けたくない”とか、“先輩は超えていきたい”みたいな気持ちは常に持っているので、それは大事なことかなっていうのは、思っています」
『ピサロ』公演情報
PARCO PRODUCE 2021『ピサロ』
日程:2021年5月15日(土)~6月6日(日)
会場:PARCO劇場
作:ピーター・シェーファー
翻訳:伊丹十三
演出:ウィル・タケット
出演:渡辺謙 宮沢氷魚 栗原英雄 大鶴佐助 首藤康之 外山誠二 長谷川初範 ほか
※公演スケジュールは変更になる場合があります。感染症拡大予防に対する取り組みなど、最新情報は下記から
PARCO劇場公式サイト『パルコステージ』
メンズノンノ編集部も知らなかった闘志を打ち明けてくれた氷魚。インタビューはまだまだ続きます! 第4回は5月18日公開、お楽しみに!
※このインタビューは、メンズノンノ2020年11月号の、宮沢氷魚表紙撮影時に行いました。
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Photos:Saki Omi[io] Hair & Make-up:NOBUKIYO Stylist:Yoshiaki Komatsu Model:Hio Miyazawa
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