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その時々のトレンドの踏襲やテクニックで、ある程度まではカッコよくなれる。でもそれだけでは、自分という人間を表すことができているというレベルには到達できない。“自分は、自分で、これを選んでいる”という主体性がその人のスタイルをつくるのだ。
安西一真さん(19歳・会社員)
「中身が魅力的だからこその、ただ者ではない雰囲気」とKANADA氏絶賛。連載のポリシーを伝える理想的な男子だそう。
何をみんなに話そうかいつも考えるけど、今回はこの連載で一番大事にしていることを改めて伝えたいと思えるような子に出会った。それは、人としての厚みはやっぱりスタイルに表れるということ。ストリートでロン毛の人気自体は高まっているが、その中でも安西君はひときわ輝いている。それはなぜか、本人にカルチャーとポリシーがあるからに尽きる。彼が髪を伸ばしているのは“切ると自分に負けた感じがする”からだそうだ。変な理由に聞こえる人もいるかもしれないが、僕は若いときのこういう気持ちはとてもわかる。右に倣えへのアンチテーゼや、人と違うことをしたい気持ち、そこから発するバイタリティにはパワーがある。社会人でロン毛というのは一般的にはハードルが高く、こだわりがないとなかなか選択しないだろう。加えて彼は古着、音楽、映画、本などカルチャーを深く愛し、音楽では特にニルヴァーナが好きだそうで、グランジテイストを好むこともヘアスタイルの根拠になっている。
「最近の日本のバンドはどうなの?」と聞くと「でもみんな大本(おおもと)をたどったらそこらへんから影響受けてるんじゃないですか?」と返ってきた。19歳でそういう話がサラッとできることに感動した。好きなものができるとこだわりが生まれる。そしてそれは自分のスタイルにも必然的に跳ね返ってくる。トレンドやコンプレックス解消とは違う視点でヘアスタイルも選べたらすてきだよね。
信念により伸ばしたヘアの、その先を
ロン毛を選ぶ時点で、ひとつ個性を手にしている。しかしそこでゴールではなく、どんなスタイリングなのか、質感は、重さは、というところを次のステップとして模索したい。ヒゲや古着など渋い要素は十分にあるので、スタイリングで少しきれいめに仕上げると幅が広がるだろう。セミドライくらいの質感も品が加わってオススメだ。
KANADA PROFILE/メンズノンノ本誌はもちろん、数々の広告やショーで活躍するヘアアーティスト。俳優やタレントからの信頼も厚い。ヘアそのものだけでなく、コーディネートとのバランスも考えたトータルでのプロデュースを得意とする。
[上写真]ユーズドのジャケット¥19,800/aNiKi シャツ¥18,000・ロンT¥16,000/ラッド ミュージシャン 原宿
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Taichi Sumura
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