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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でも、どの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第21回はドラマにラジオにと大活躍の中川大輔が、友人に教えてもらったという渋谷のカメ。2000年代のブランド古着を掘りまくる!
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ブランド古着をメインに
スタッフの好きなモノだけを集めた
“濃い”セレクト
渋谷のニトリの向かい、1階が中華そば天宝のビルの5階に店を構えるカメ。2006年に原宿でスタートして、2010年に現在の場所に移転。古着歴25年のオーナー、ユキ兄さんと店長の桐生勲さんがふたりで、「自分たちが好きなブランド古着とヴィンテージ」だけを集めて良心的な価格で販売している。“服好き”の聖地的な店でもあり、OOOYYの長澤隆太郎さんが常連の古着屋としても知られている。
中川大輔は友人に連れられて、半年ほど前にカメを訪れた。アンダーカバーなど90年代のドメスティックブランドが充実していることはもちろん、オーナー&店長の人柄や服好きの常連たちのコミュニティに興味を持ったという。秋冬に向けてMA-1が欲しいとのことで「アンダーカバーの古着でいい感じのMA-1があったら買いたいですね」と目を輝かせる。
良心的なプライス設定に感動
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テルス神南のエレベーターを5階で降りて右手、Kameの看板とともに古いレジが並んでいるのが目印。ドアを開けるとブランキー・ジェット・シティのポスターが目に飛び込んでくる。入って右側の壁にはヴィンテージ、左側がモード系のブランドと大きく分かれ、中央には裏原宿系やストリート系のブランドが並ぶ。
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オーナーのユキ兄さんは大のブランキー・ジェット・シティの大ファンであり、アンダーカバーを愛している。『LOVE FLASH FEVER』(1997年のアルバム)のポスターは、アンダーカバーがデザインしたもので当時のツアーで販売された。どちらのファンにも垂涎のアイテムだ。
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入って左のコーナーにはアンダーカバーのロゴとともに、ブランドを代表する名品が。ほかにもコム デ ギャルソン オム プリュスやメゾン マルジェラ、ジル サンダーなど、内外のメゾン系をラインナップ。
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右手の奥にはラングラーのGジャンやミリタリーのヴィンテージなども並び、90年代の古着屋のムードも併せ持つ。当時のヴィンテージブームを体験したオーナーと店長の、バックグラウンドが垣間見える一角になっている。
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シューズ類を集めたラックにはナイキ エア ジョーダン5や70’sアディアスのカントリーなど希少なスニーカーも。店長の桐生さんがスニーカー好きで、ファッション業界に入ったきっかけでもあるという経歴が活かされたコーナーになっている。
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レジ前にはTシャツの棚。ヴィンテージのロックTなども並び、お宝が見つかりそうな雰囲気。そしてここにも、ブランキー・ジェット・シティの名曲『赤いタンバリン』の希少なプロモーションポップや浅井健一さんのライブDVD『Deadly Hair』、ユキ兄さんのお宝が並ぶ。
「ここは服好きが集まる店なんです。自分たちが好きなものだけを店頭に並べているからだと思いますが、僕たちが好きなブランドの魅力や歴史を若い世代に伝えられたらいいと思っています」(ユキ兄さん)。カメは買い取りもするので、常連が“好きな人に売って欲しい!”と大切にしていた洋服を託すことも多く、「服好きの洋服の循環」がカメを中心に起こっているそうだ。
Y2Kなブランド古着を試着!
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自分のスタイルを持ちつつ、トレンドもしっかりチェックする中川は、Y2K (Year2000の略称で2000年前後のファッションリバイバルを意味する)も気になるようで、そんな印象の古着も手に取る。「このネオンカラーのフリースはY2Kなムードですよね」と店長の桐生さんに話しかけながら店内をチェック。
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メゾン系のブランドが並ぶラックから見つけたのはジル サンダーのGジャン。「この赤いネームタグ、初めて見ました。いつ頃のものですか?」と尋ねると「1990年代後半のものです。今とは違うタグが使用されていたんですよね」と桐生さん。赤タグは主にデニムに使われていたようだ。
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この日の中川は濃いユニクロのジーンズにニルヴァーナのヴィンテージTシャツ、足もとはニューバランスというコーディネート。実はこの上にセットアップになるGジャンを羽織ってきていた。「このGジャン、Sサイズだ。着られるかな?」と試着するとジャストサイズ! 当然、この日のコーディネートにピタッとハマった。
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襟が小ぶりなのがデザインの特徴。色落ちもあまりしておらず、ダメージもなしとコンディションは抜群だ。「これで16,500円ですか!? すごくお買い得ですよね」と良心的なプライスに感動する中川。
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続いては今年注目のフリースアウターをピックアップ。見ればアンダーカバーのもの。「フリース素材だからブルゾン的なものかと思いきや、テーラードスタイルのジャケットなんですね!」と中川が言うと「これはセットアップの展開です。ボアでもタイトシルエットなので野暮ったくならず、クリーンに着られます」と桐生さんが教えてくれた。
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編み上げのストレートチップブーツを合わせて試着してみると、ジャストなサイズ感が今っぽい。「セットアップは好きで、フリースだからダル着(ゆるくてリラックスできる服装)にできれば買いたいと思って着てみたんですが…。スレンダーなシルエットなのでそんな感じじゃないですね」(中川)
カメのおすすめコーディネート
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この日は、以前来店したことを覚えていたユキ兄さんと桐生さんが、中川のためにいろいろとコーディネートを考えてくれていた。「カメらしさが伝わるタイプの違うコーディネートを2つ着ていただければ」とユキ兄さん。まずは中川が店内に入ったときから気になっていたコム デ ギャルソン オム プリュスのジャケットをメインにしたコーディネート。
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「ブラウン系のストライプという少しクラシックな印象があるコム デ ギャルソン オム プリュスのジャケットに合わせて、ボトムにはヴィンテージのヘリンボンツイードのハンティングパンツを選んでみました。シャツはシンプルなホワイト系のレギュラーカラー。裏原宿系で人気が高かったグッドイナフをセレクトしています」(桐生さん)。足元もストレートチップの編み上げブーツで、旬の英国調ムードが漂うコーディネートに。
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「映画『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオのクラシックなスタイルをイメージしたんですよ」とユキ兄さんが補足すると、「普段こういうクラシックな服は着ないので、すごく新鮮です!」と中川は、燕尾服風にデザインされた後ろ姿もつぶさに確認する。
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もうひとつはデザインデニムに赤をきかせたY2Kテイストのコーディネート。「これは2012年秋冬のアンダーカバーのパンツがベースになっています。Y2KなムードのBBC(ビリオネア・ボーイズ・クラブ)とティンバーランドの真っ赤なコラボブーツと呼応する赤いニットでコーディネートして、90年代後半のゆるいアメカジを今風にアレンジしました」(桐生さん)。
アンダーカバーのジーンズは股のガセットにコーデュロイを使用した斬新な切り替えデザイン。「これも普段着ないアイテムや色ですが、僕がイメージするY2Kって、まさにこんな感じなんです。もしかして90年代の木村拓哉さんのファッション(当時話題を呼んだアメカジベースのスタイル)ってこんな風でしたか?」と中川が会話を盛り上げる。
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店長の桐生勲さんは、裏原宿や古着アメカジが流行した90年代の雰囲気を持った頼れる先輩。俳優の村上 淳さんが手がけるシャンティやトーストといったブランドをサラッと着こなす。スニーカーや内外のブランドにも造詣が深く、中川の質問にもわかりやすく答えてくれた。
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ちなみにオーナーのユキ兄さんはシルバーアクセサリーをハンドメイドで製作し、「ONE ORDER(ワン オーダー)」というブランド名で展開している。中川のコーディネートにも合わせているが、さり気ないワンアクセントにぴったりのものばかり。オーダー制とのことなので、気になったらお店に問い合わせを!
服以外を見るのも楽しい店内
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カメという店名の通り、入口の棚にはお出迎えのチビガメたちが。ひょうきんな表情だったり、ゴールドだったりと縁起がよさそう!
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常連にはクリエイターやエキスパートを目指す、夢を持ったメンズノンノ世代が多く、思い思いのメッセージやサインを壁やウッドボードに書いていくそうだ。
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オーナーの友人が手がける陶器製のオブジェやエイプカモのシートなど、遊び心がそこ、ここにちりばめられ、会話のきかっけにもなっている。
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中川はユキ兄さんにすすめられて、迷った結果、フーファイターズのヴィンテージロックTを購入。93年のオフィシャルツアーTだが、いわゆるヴィンテージ古着店とは違うリーズナブルな値段設定が決め手に。「カメはブランド古着に定価以上のプレミア価格をつけないところに、昔ながらの古着屋さんの良心を感じます。桐生さんはもちろん、ユキ兄さんもすごく面白い人なので、ぜひお店に足を運んでください!」と締めくくってくれた。
動画も公開中!
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Photos:Yumi Yamasaki
Model:Daisuke Nakagawa [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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