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配信中のAmazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』。絵津鼓による漫画『モアザンワーズ』とその後日譚である『IN THE APARTMENT』を原作に、愛し合う男性同士とそれを見守るひとりの女性の日々を繊細に描いた、痛々しいほどにピュアで美しい青春群像劇だ。メインキャストを演じたのは中川大輔と、藤野涼子さん、青木柚さん。ドラマさながら仲が良い3人が語る作品の魅力と、男女の友情観をお届け!
作品のテーマは「マイノリティ」ではなく「愛すること」
青木 さっき(中川の)ポートレート撮影見てたけど、やっぱりホームのメンズノンノさんだと、いつにも増してカッコイイ!
中川 恥ずかしいな(笑)。変わらないって。
青木 ドラマを演じている時とは顔つきが全然違ってた!
藤野 えー! モデルモードの大輔君も見たかったな。
──1ヵ月間、京都で泊まり込みの撮影だったとのことですが、現場でも青木さんがムードメーカーだったんですか?
青木 そう無理して……。
藤野 無理してって(笑)。
中川 ムードメーカーな役柄だったので、現場でも盛り上げ役を買って出てくれたんだと思います。本当の性格は違うかもしれないですが。
青木 やめてやめて(笑)。
──本作は、藤野さん演じる高校生の美枝子と、青木さん演じるその親友の槙雄、そして中川さん演じる6歳年上の永慈の特別な関係を描いています。やがて槙雄と永慈は結ばれ、美枝子はそれを見守るという立場。男女の関係を描く作品としては新しいテーマだと感じます。初めて台本を読んだ時と、演じ終わってからで、物語の捉え方は変わりましたか?
藤野 変わりましたね。難しいテーマを取り扱っていたので、美枝子を演じている時は、見てくださった方にどう受け取られるか不安でいっぱいでした。でも、完成後に作品を見たら、一人一人の気持ちが映像としてキレイに丁寧に表現されているのが印象的で、安心もしました。これからどんな反響がくるか、ワクワクした気持ちにもなっています。
青木 特に、美枝子は毎話に山場があったから不安も大きかったよね。
藤野 本当にそうだった。日々、美枝子として一生懸命生きていたらいつのまにか撮影が終わっている感覚でした。
中川 台本を読んでいても、取り扱う題材が心にグッとくるものが多いからこそ、1シーン1シーンを丁寧に作り込まなければならないという意識はあったよね。僕自身も一瞬でも永慈に嘘があったらいけないと気が抜けなかった。自分のためだけではなく、みんなのために永慈の役を生きたいと思いましたね。
──作中では「槙雄と永慈がずっと一緒にいられるように」と、美枝子が2人の子どもを産む決断を下します。かなり衝撃的な展開でしたが、実際に演じることで価値観の変化などはあったのでしょうか?
青木 僕自身は、元々彼らの関係性や決断に否定的な気持ちはなく、演じた前後でも価値観は変わらず、フラットなままです。ただ、この作品を見た方からはきっといろいろな意見が出てくるとは思います。でも、この作品の中の3人の関係性は3人だけのもの。自分自身が全く同じ状況だったらどう判断するかはわからないですが、だからと言って彼らのことは誰にも否定できないと思います。
中川 たしかに驚きの展開の物語ではあるのですが、一人一人の心情にフォーカスすれば、そうなることは自然な流れだとわかるはず。でもこういうことって現実にもあることだと、永慈を演じて気が付きました。自分には理解できないという他人の生き様や関係性も、当事者の心情を追ったら納得できるようになるはずだと、視野が広がりましたね。
藤野 本作品は『セクシャルマイノリティ』がテーマだと捉われがちですが、実はそれだけがテーマではありません。3人でも話したのですが、根底には『愛すること』という大きなテーマがあると思っています。同性、家族、友達……という関係性にこだわらず、様々な愛の形が存在する。だからこそ、逆に『マイノリティの愛』という目線だけで捉えてほしくない作品でもあります。同世代だけでなく、両親や祖父母の世代にもご覧いただいて、どう感じたかもお聞きしてみたいですね。
友情も愛情も、性別で定義できない。でも、嫉妬はする!?
──続いては、ご本人の恋愛観をお伺いします。関係性にこだわらない愛は存在することを作品では伝えていますが、実際には、異性間の特別な関係には嫉妬や不安も生まれると思います。異性間の深い友情は成り立つ派ですか?
青木 僕は成り立つ派です。
藤野 うーん……私は、なんだかんだやっぱり難しいのかなとは思いますね。もしも自分のパートナーが、異性の友達を自分以上に大切にしていたら疑っちゃうかな。恋人である自分以上の友情を異性に持ってほしくない。大輔君はどう思う?
中川 人と人との関わり合いだから、異性間の深い友情もあり得ないことではないかな。この作品の中でも『好きになるのに男も女も関係ない。その人が好きかどうか』といった趣旨の槙雄のセリフがあるけど、まさにそれと一緒。友情も愛情も性別で定義できないとは思う。
青木 僕の場合、実際どんな悩みも相談できる女友達が何人かいる。あくまで僕の周りの話だけど、男友達同士だとそれぞれの主張がぶつかり合うこともあって。でも、女友達だと柔軟な考えを提案してくれることがある。別にそれも性別で分けているわけではなく、たまたまだし、友情に異性も同性もないかな。
中川 そういう男女の隔たりがあまりない感覚が元々あったから、(青木さんが)演じた槙雄の誰に対してもフラットな感じにも説得力があったんだろうね。
青木 ……でも、俺自身はパートナーには嫉妬はするよ。
藤野 だよね。私も、青木君みたいに女友達が多い人がパートナーだったら、わかっていても嫉妬するだろうな~。これが本音かもしれませんね。
『モアザンワーズ/More Than Words』
Prime Videoにて独占配信中
原作:絵津鼓「モアザンワーズ」(幻冬舎コミックス)、「IN THE APARTMENT」(大洋図書)
出演:藤野涼子、青木柚、中川大輔、兼近大樹、山崎紘菜、見上愛、関智一、大森南朋(特別出演)、上白石萌歌(特別出演)、斎藤工(特別出演)、ともさかりえ、佐々木蔵之介
監督:橋爪駿輝
脚本:浅野妙子
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中川大輔
(なかがわ・だいすけ)1998年1月5日生まれ、東京都出身。2016年にメンズノンノモデルオーディションでグランプリを受賞し、メンズノンノモデルに。俳優としても活躍中。
藤野涼子
(ふじの・りょうこ)2000年2月2日生まれ、神奈川県出身。2015年公開(2014年制作)の映画『ソロモンの偽証』で主演デビュー。NHK大河ドラマ『青天を衝け』など、話題作に多数出演。
青木柚
(あおき・ゆず)2001年2月4日生まれ、神奈川県出身。ジョニー・デップと共演した米映画『MINAMATA』(21年)、NHK連続テレビ小説『カムカムエブリバディ』(22年)などに出演する注目の俳優。
【中川】ニット¥35,200・パンツ¥77,000/エイチ ビューティ&ユース シャツ(リーバイス®)¥8,800/リーバイ・ストラウス ジャパン シューズ(ビューティ&ユース)¥19,800/ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 丸の内店 ソックス/スタイリスト私物
【藤野さん】ニット(08サーカス)¥52,800/08ブック パンツ(フィル ザ ビル)¥35,200/フィル ザ ビル マーカンタイル 青山 スニーカー(ナイキ スポーツウェア)¥15,950/ナイキ カスタマーサービス
【青木さん】ニット¥26,400・シャツ¥22,000/エイチ ビューティ&ユース パンツ¥23,100/カリフォルニア ジェネラル ストア スニーカー(アディダス オリジナルス)¥13,200/アディダスお客様窓口
Photos:Toshiyuki Tamai Hair & Make-up:Emi Hanamura[for Nakagawa] Shinichiro Ikeda[for Ms.Fujino] Masa Kameda[for Mr.Aoki] Stylist:Yuta Fukazawa Interview:Takeshi koh[Kakushigoto] Text:Emiko Hishiyama
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