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『半沢直樹』や『陸王』など、テレビドラマ化され、絶大な人気を誇る作家・池井戸潤の作品。数あるベストセラーの中でも、2人の青年の青春を切り取ったような爽快、かつ重厚な物語が展開する『アキラとあきら』がついに映画化! メガバンクを舞台に、己の情熱と信念に従い社会と闘う山崎瑛<アキラ>と階堂彬<あきら>の宿命を描く。横浜流星さんが演じるのは、老舗海運会社の御曹司でありながら、親戚との軋轢を避け、後継ぎを拒んだ主人公のひとり、階堂彬。初めて参加した池井戸作品や銀行員という新しい役どころ、そして共演した俳優・竹内涼真さんについて、前後編にわたって、とことん聞いた!
堅いイメージを払拭する
誰もが感情移入できる人間ドラマ
──池井戸潤さんの『アキラとあきら』は一度ドラマ化されている人気作です。映画化作品への出演と役が決まったときのお気持ちを教えてください。
すでにドラマで作品性を色濃く描いていたので、2時間の映画にどう落とし込むんだろうという思いはありました。ドラマで物語も人物もしっかり描いているぶん、自分たちはどうすれば面白い作品をつくれるか、いろいろ悩んだ部分はありました。 主役として共演する竹内(涼真)くんとは、自分が戦隊モノをやっていた同じ時期に、彼は仮面ライダーをやっていて、勝手に何か仲間意識のような気持ちを持っていたんです。竹内くんとともにお芝居ができる機会をいただけるということですごく楽しみでした。
また、『きみの瞳が問いかけている』でご一緒した三木(孝浩)さんが今回監督をされるのもあって、この映画化にすごく惹かれました。
──今回初めて参加して感じた、池井戸作品、池井戸ワールドの面白さは?
池井戸さんが銀行員だったこともあって、舞台となる銀行をリアルに描いています。銀行をテーマにした作品って、すごく難しい言葉が飛び交って見づらいと思うかもしれませんが、エンタメに特化して、誰でも入り込める魅力あふれるストーリーと登場人物を描いています。こんなにたくさんの人物が出てくるのに、みんなキャラクターが濃くて、それぞれの人生や人間味を描いているところは、大きな魅力だと感じています。
──おっしゃるとおり、「銀行の融資」や「企業の倒産」という言葉を聞くと身構えてしまいますが、本作は魅力あふれる人たちの濃厚な人間ドラマが主軸ですね。
僕もドラマ版を観ていて、そんな印象を持っていたんですが、映画の脚本はあっという間に読めたんです。難しい言葉が並んで複雑な物語のはずなのに、とても読みやすかった。それは山崎と階堂に感情移入して読めたから、物語にしっかりと入れたのかなと。池井戸作品の魅力ですよね。だからこそ、竹内くんがどんな山崎瑛をつくってくるのかが楽しみでした。
最初に撮影した対決シーンで
階堂彬を自分のものにできた
──階堂はクールに見えて、中には静かに燃える炎のような情熱を持っている人だと感じました。彼の言動や行動に共感できましたか?
内に熱いものを持っているところは、共感できました。本人としては、内に秘めているわけではなく、外にも出しているつもりなんですけど、顔や身ぶりで大きく表現しないから、ちょっと勘違いされやすいタイプ。そこは似てるかな(笑)。でも同時に、山崎が持つまっすぐな性格も自分は持っていると思っています。階堂は、クールで見栄を張っている男で、周りに弱い自分を見せないでいるけど、実はめちゃくちゃ熱いやつ。その熱さが、山崎と出会ってどんどん人間味に変わっていく様子は計算して演じていました。
──階堂彬を演じるにあたって準備したことは?
階堂彬は御曹司なんですけど、僕は御曹司に会ったことがなくて(笑)、最初はどういう人物かわかりませんでした。そういう方が育ってきた環境を調べたり、池井戸さんが彬の父が経営する東海郵船を描く際に取材された栗林商船の方とお話をさせてもらったりして、いろいろインスピレーションを受けて、階堂の人物像に入れていきました。
──栗林商船の方から得た、彬の役づくりに生かせた要素は何ですか?
お話をしてくださったのは、時期社長候補の方で、一度別の会社で働いた経験があるという、まさに階堂彬のような人でした。若いと思うのですが、立ち振る舞いや所作がすごく堂々とされていて、しかも品がある。この要素は階堂に入れないといけないと思ったんです。
──演じていく中で、階堂彬という人物になれたという体感はありましたか?
階堂を自分のものにできたなと思ったのは、ストーリーの冒頭にある、山崎と階堂が対決する新人研修のシーン。クランクインしてすぐの撮影で、2人の関係性を描く場面でもあり、階堂彬という役をつかめた時間だったんです。始まる前に本読みしたり、竹内くんといろいろ話したり、銀行について指導をいただいたり、十分な時間をいただいていたこともありますが、なにより制作スタッフさんがこのシーンのスケジュールを初めに調整してくださったことが、すごくありがたく、役づくりの助けになりました。
──淡々と進むシーンですが、掛け合う瑛と彬の熱量がひしひし伝わってきました。この作品で初めて経験したことは?
銀行員という役が初めてで、すごく新鮮でした。今まで学生の役が多かったけど、25歳を過ぎてそろそろ大人の役にステップアップしていかなきゃいけないと思っていたので、楽しみながら演じられました。
──三木孝浩監督から役づくりに関して言われたことはありましたか?
最初にお手紙をいただいたのですが、こうしてほしいという内容ではなく、カタルシスを大事にしたいというお言葉と、みんなで熱い作品にしようというメッセージをくださいました。お手紙から監督の熱い思いを感じたので、やっぱり自分の胸にある熱いものを大事にして演じられたら、と作品に挑みました。
──池井戸さんが現場にいらしたとのことで、何かお話をされましたか?
僕は現場でお話しできなくて、試写や取材のときにお会いできて、世間話をしました(笑)。池井戸先生が心から「よかった」と伝えてくださったので、僕らとしては生みの親がそう言ってくださるその言葉がいちばんうれしいです。
横浜流星 RYUSEI YOKOHAMA
1996年9月16日生まれ、神奈川県出身。2011年に俳優デビュー。多くの話題作、主演作を重ね、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』で大きな注目を集める。近年の出演作に、Netflixシリーズ『新聞記者』、ドラマ『DCU』、映画『嘘喰い』『流浪の月』などがある。今後は、主演映画『線は、僕を描く』(10月21日公開)、『ヴィレッジ』(23年公開予定)が控えている。
公式HP:https://official.stardust.co.jp/yokohamaryusei/
公式Instagram:https://www.instagram.com/ryuseiyokohama_official/
映画『アキラとあきら』
原作:池井戸潤「アキラとあきら」(集英社文庫刊)
監督:三木孝浩
出演:竹内涼真、横浜流星、髙橋海人(King & Prince)、上白石萌歌ほか
●全国東宝系にて公開中
公式HP:https://akira-to-akira-movie.toho.co.jp/
父親の経営する町工場が倒産し、幼くして過酷な運命に翻弄されてきた山崎瑛<アキラ>(竹内涼真)。大企業の御曹司ながら次期社長の椅子を拒絶し、血縁のしがらみに抗い続ける階堂彬<あきら>(横浜流星)。運命に導かれるかのように、日本有数のメガバンクに同期入社した2人は、お互いの信念の違いから反目し合いながらも、ライバルとしてしのぎを削っていた。瑛は自分の信念を貫いた結果、左遷され、彬も目を背けていた親族同士の骨肉の争いに巻き込まれていく。やがて、階堂グループの倒産の危機を前に、2人の運命が再び交差する。
ブルゾン¥320,000・Tシャツ¥66,000・パンツ(参考商品)・シューズ¥135,000/クリスチャン ディオール[TEL:0120-02-1947]
Photos:Teppei Hoshida Hair & Make-up: Taichi Nagase[VANITES] Stylist: Shogo Ito[sitor] Interview & Text:Hiasmoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
©2022「アキラとあきら」製作委員会
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