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歌舞伎俳優は、舞台での化粧を自ら行う職業だ。幼い頃から手習い、徐々にひとりですべてをできるようにする。仕事として、日々自身の顔に触れている市川團子さんの“顔と美容の向き合い方”をずばり聞いてきた!
1枚まとって強い自分になる。
化粧は、そんな存在
男友達と美容トークも
マッサージを布教してました
友人と美容トークをすることも。僕は美容ネタを布教する側で、YouTubeで観たリンパマッサージをすすめたり。常にキリリとしたいっくん(市川染五郎さんの愛称)が横にいるから、隣に立って大丈夫なよういられればって始めたんです(笑)。
楽屋で出会って以来愛用中
オードムーゲをライン使い
ありがたいことに、遺伝なのか肌は割と強いほうで。ただ舞台の化粧を毎日していると荒れてきちゃうことも。中学生の頃、楽屋にあったことから使い始めたオードムーゲの化粧水、乳液、クリームの3点(A)を防衛策として長年愛用。
セリフ覚えもしちゃう長風呂派
その日の調子で入浴剤選び
自宅の浴槽がちょっと低めの設定のせいで、強制的に半身浴状態になっちゃって(笑)。ほぼ毎日1時間くらいお風呂につかってます。セリフを覚えたり、音楽を聴いたり。入浴剤(B)も大好きで、気分や体の調子によって選んでいます。
〝顔をする〞と役の自我ができる
言うなれば、変身ツールです
歌舞伎の化粧は"顔をする"といって、小さいときから少しずつ学んでいくんです。この隈取は2014年に猿之助さんと共演したときのもの。自分の中で化粧が"変身ツール"だと意識したのは、連獅子を演じたとき。化粧に役が表れていると実感したことが強く記憶にあります。
学校帰りに散歩でリラックス
日光も意識して浴びてます
リラックスできて好きですね、散歩。大学帰りに歩いたり。きっかけはステイホーム期間中で、たまたま早朝に暇つぶしで外に出たら朝日がすごく気持ちよくて。感覚が冴さえるのを実感したんです。以来、意識して日を浴びるようにしています。
辛いものを食べすぎたときは
日舞を長めに踊ってデトックス
好物の辛いものを食べちゃったときは、翌日、日舞を普段より長めに踊ります。むくみやカロリーをそれでチャラにできているといいな。先輩方に、むくみ取りには寝る前にコップ1杯の水を飲むといい、と教わったのでそれも実践しています。
舞台化粧をすると、自分の軸ができる
歌舞伎の化粧も、一般の方が普段するメイクと役割は大きく変わらない気がしていて。素顔に1枚まとうことでキレイな自分、強い自分になれる。僕にとっての化粧は、自分の軸をまとうような感覚で、そのお役になるための変身ツールのようなもの。お役の自我が生まれるんです。大学に行き、お稽古して舞台をやって、という日々の中で、日常の自分と歌舞伎俳優の自分は性格が違う。普段は心配性だったり、ネガティブな気持ちになることもあったりするのに、舞台に上がると「どんなことがあっても絶対にやってやる!」の精神になる。普段より、強い自分が出てくるような。お稽古場や歌舞伎座に入ると自然とそうなるのですが、化粧もそういったスイッチのひとつです。
夏の舞台は子どもの頃からやっている「弥次喜多」で成長とともに踊りや立廻りも変わってきたのですが、化粧も同様。昔は丸かった輪郭が少しシャープになったので、白塗りの顔と首の境目が今まではうまくボケてたのに明暗ができたりして。同じことをやっているようで、そこには自分と向き合う時間と、進化があるんです。
Profile
市川團子 Danko Ichikawa
2004年生まれ。屋号は澤瀉屋(おもだかや)。父は九代目市川中車(ちゅうしゃ)。2012年、五代目市川團子を名乗り初舞台。「八月納涼歌舞伎」では、『浮世風呂』になめくじ役、夏の風物詩でもある『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚』に政之助役で出演。市川染五郎演じる梵太郎とのコンビも必見。インスタは@danko_ichikawa
※クレジットのないものは、すべて本人私物です。
シャツ¥28,600・パンツ¥28,600/ラッド ミュージシャン 原宿
Photos:Teppei Hoshida Hair & Make-up:NOBUKIYO
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