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古着はおしゃれ男子の必須アイテム! でもどの古着屋に行ったらいいのか? いい古着屋を見つけるのは意外に難しい。ならば古着通にきけばいい! おしゃれ男子御用達の古着屋を毎回一軒、ディープに紹介。
第14回は豊田裕大がメンズノンノでもおなじみの人気美容師、OLTAの後藤 泰さんから教えてもらった原宿の古着屋ハンチをレポート!
店主が偏愛するモノだけを集めた
“流行じゃないほう”の古着と出会う場所
原宿遊歩道から表参道へと抜ける裏通りの新築ビルに、2020年の11月に移転オープンしたハンチ。店主はメンズノンノの兄貴世代、31歳の檜山祐一さん。原宿の人気古着店、BUSSINES AS USUAL(ビジネス アズ ユージュアル)のスタッフを経て独立。原宿の裏通りに2018年、ハンチをオープン。「大学時代から通い、慣れ親しんだ原宿が大好きです。お店を出すならやっぱり原宿だと思いました」(檜山)。古着との出会いは「第六感」的なものという思いを“HUNCH(勘)”という店名に込めた。
シンプルな品のいい私服を追求する一方で、「古着屋はファッションの可能性を広げてくれる場所」と古着も掘り続ける豊田。ハンチはメンズノンノモデルになるきっかけをつくってくれた、人気美容師の後藤さんから教えてもらい興味を持った。「インスタグラムを見たら気になるアイテムも多くて、きょうは楽しみです!」(豊田)と、この日は全身古着で現れた。
アメカジをベースにヒネリのあるセレクト
新築ビルの3階で、2面が大きなガラス張りという解放感のある店内。商品もほどよい間合いで並んでいて、とても見やすい。旬のストリートや90’sの古着がメインながら、セレクトの基準は流行ではなく自分が好きかどうか? 「天邪鬼な性格もあって、ほかの古着店がピップアップしないような古着を積極的にラインナップしています」(檜山)。
アメリカ古着をメインに、面白いと思えば日本の古着も買い付ける。「シーズンの推しの商品は入ってすぐ左手の、ガラス窓側に並べています」(檜山)。冬はベンチコートなどスポーツ系のアウターや、ヒップホップアーティストに触発されたシルバーダウンなどをチョイス。奥にはオールドのグラミチパンツも並ぶ。ザ・ノース・フェイスにも力を入れており、日本未発売を中心に新しめのものでもピックアップしているそうだ。
Tシャツも1年中店頭に並べ、ブランドやテイストは問わず「美術館などのアートなグラフィックや、単純にプリントが面白いモノ」にこだわる。この日はかわいいイラストのTシャツが、店内のあちこちに散見した。
ディスプレイにはシュプリームの雑貨がプロップとして使われ、いい感じのアクセントに。古着で定番のチャンピオンのスウェットとともに、人気はないかもしれないけれどスニーカーもピックアップするなど、コーナーの随所にも檜山さんの趣味が垣間見える。
店内を一周して気になるモノを試着
アウター、スウェットなどある程度カテゴリーに分かれつつ、そのジャンルに合いそうなパンツが間に並ぶ。「ハンチはもともとトップスの量に対してパンツが少ないんですよね(笑)。今は売れてしまったこともあって、パンツのラックがありません」と檜山さん。そういうところもマイペース。
豊田は壁際に沿ってそれぞれのラックや棚をつぶさにチェック。気になるアイテムは手に取ってディテールを確認したり、試着したり。「このタートルニット、海の中にいるクラゲみたい (笑)」と、ユニークな視点で商品への愛あるコメントを繰り出す。
この時期、まだアウターは気になるようで、目ざとく見つけたのがコーデュロイのブルゾン。「着てきた革ジャンより、このブルゾンのほうがきょうのコーディネートに合いますね。しかも暖かいし」(豊田)。シアーズは19世紀末に創業したアメリカの老舗量販百貨店。ワークウエアを中心としたストアブランドも展開しており、古着店でもよく見かける。
続いて目に留まったのがスタッズデニムコート。「これ、ヤバくないですか? 街で着てたら目立ちますよね」(豊田)と言いながらも、持参したサングラスを合わせてみたり(その着こなしは後日公開の動画にて!)。「サンフランシスコというブランドタグがついているんですが、調べても詳細がわからないブランドで。古着ではたまに見るんですが」(檜山)。袖の太さやデザインから1990年代のものと推測。
お目当てアイテムをセルフスタイリング
「インスタで見ていいなと思ったBOSSジャン、まだありました!」(豊田)。サントリーの缶コーヒー、BOSSがキャンペーンでプレゼントする通称“BOSSジャン”は非売品ということもあり、古着市場で人気が高い。「B-3タイプは2000年頃に一度出ただけなので、BOSSジャンの中でも希少で高騰しています」(檜山)。
日本の古着も檜山さんが興味のあるジャンルはピックアップしている。BOSSジャンのほかにも、グラビアアイドルのTシャツなど景品的なものも含めて集めているそうだ。
ウィンドペーンのチェックパンツを見つけ、BOSSジャンとコーディネート。「フェイクムートンのボリューミーなアウターには2タックのワイドパンツが合うと思いました。シルエットや格子柄、素材感も50’sっぽいムードだから、レトロなB-3と雰囲気的にもマッチしました!」(豊田)。
「ラインチェックのパンツは個人的に好みで、コーディネート的にも万能なので、積極的に買い付けています」と檜山さん。
「古着屋さんに行くとセットアップは必ずチェックするアイテムのひとつ。手に取ってみたらリーバイスというので、驚きました! 松本人志さんやビート武さんが着ていそうなイメージだったので、インナーはスウェットでカジュアルに」(豊田)。
リーバイスが1964年に発売したシワになりにくい素材「STA-PREST(ステイ・プレスト)」を使った3ピース。豊田はベストなしの2ピースで着こなした。インナーのフォトプリントがアクセントに。
おすすめのベンチコートもクール!
お店の商品をひと通り見たところで、檜山さんにイチオシアイテムを伺った。「ほかの古着屋さんではあまりセレクトしていないと思うんですが、僕、ベンチコートが大好きで。このナイキは黒でデザインもシンプルだから、モッズコート感覚で街でも着やすいと思います」と選んでくれた。
この日はいてきたリーバイス517ブーツカットデニムとも好相性。「黒だから確かに着やすいしカッコよくて、しかも本当にダウン並みに暖かい!」と豊田も感動。「エンブレムとかバックのチーム名で検索してみたら、スウェーデンのサッカーチームが出てきて。みんなこのベンチコートを着ていて感動しました(笑)」(檜山)。
仲間と手がけるオリジナルブランドも
店内の一角に並ぶBLUE MONDAYというロゴのスウェットやシャツは、檜山さんが友人と手がけるオリジナルアパレル。「スケートボードの遊び仲間なんですが、僕以外はみんな会社勤めで。英語のスラング的に使われる“憂鬱な月曜日”をそのままブランド名にしました(笑)」(檜山)
B-BOY的なファッションがベースという檜山さんは、アメリカのB-BOY系ブランドのアイテムもピックアップしており、最近はFUBUのデニムをまとめて買い付けた。「コロナ禍でつぶれてしまったNYのB-BOYショップからデッドストックが大量に出たので、BLUE MONDAYのパーカにも合うと思って」(檜山)。
FUBUは1990年代にブレイクしたNYのB-BOYブランド。2000年代の終わりには失速して消滅してしまった。オーバーサイズのカーゴデニムとスウェットパーカのB-BOYスタイルをラッパーのようなポーズで決める豊田。「意外と自分に似合うなと思いました。ヒップホップとか全然接点はないですが、ファッション的には面白いですね」(豊田)。
紙ラベルをつけたままデニムをはくのもB-BOY流で、檜山さん自身も実践しているそうだ。「デニムはやっぱり好きですね。B-BOY系のほかにも1990年代、2000年代のマリテ+フランソワ ジルボーのジーンズにも注目していて仕入れるんですが、すぐに売れてしまいます」(檜山)。
マリテ+フランソワ ジルボーは1980年代に一世を風靡したイタリアンカジュアルブランド。デニムのトレンドを牽引したが2013年にブランドは終了している。檜山さんのセレクトの間口はニッチなようで幅広い。
接客を通して古着愛を届ける
檜山さんの人懐こい接客で豊田もすっかり打ち解けた。豊田が尊敬するOLTAの後藤さんとは雑誌企画などでコラボもする間柄。これからも何かいっしょにできたらとアイデアを膨らませているそうだ。「仲間と協力してルックや動画の撮影にも挑戦したいと思っています。作品をインスタグラムにアップして、ハンチの魅力を発信できれば」(檜山)。
「とにかく接客が大好きだから、お客さんと話をして仲良くなるだけで楽しいです。僕が選んだ古着を気に入ってくれたら、それはそれでまたうれしい。毎日、どうやったらいい接客ができるか? そればかり考えています」と、どんな質問にも親身になって答えてくれる檜山さん。頼れる兄貴のような存在だ。
「きょうは普段着ないような服をたくさん着て、いろいろ発見がありました。最近はシンプルな服ばかり着ていたので、やっぱり古着は刺激的ですね! ファッションに対する知識も含めて幅が広がりました!」(豊田)。俳優の道を歩み始めた豊田らしく、コーディネートごとにいろんなチャレンジをしてくれた。動画もぜひ見てほしい!
取材最後、レジ横にフィンガースケードボードを発見。檜山さんがトリックを繰り出すのを見て、豊田も興味津々に。「指スケ、やったことないんですよ!」とトライするが、成功には至らず。楽しく、充実した時間を過ごした。読者の皆さんもぜひ檜山さんに会いに、ハンチへ!
動画も公開中!
ハンチ
住所:東京都渋谷区神宮前4-22-17 301
営業時間:14:00〜20:00
Instagram:@hunch_official
WEBサイト:hunch.official.ec
Photos:Yumi Yamasaki
Model:Yudai Toyoda [MEN’S NON-NO model]
Composition & Text:Hisami Kotakemori
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