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時代を超えて愛され続ける “定番”アイテムには、完成されたデザインとしての魅力が詰まっている。ここでは、そんな永久定番名品のディテールから歴史までを深掘り。さまざまなブランドを展開するコム デ ギャルソンの洋服の中で、定番として展開されているコム デ ギャルソン・シャツの“フォーエバー”ライン。おしゃれ通に支持される理由に迫る!
コム デ ギャルソン・シャツ
コム デ ギャルソンは1969年に川久保玲氏が立ち上げたファッションブランド。1973年に株式会社コム デ ギャルソンを設立し、1978年にはメンズラインのコム デ ギャルソン・オムを展開。コム デ ギャルソン・シャツは1988年にシャツブランドとして始動した。
コム デ ギャルソン・シャツ “フォーエバー”ラインの歴史
フランス製シャツ専門ブランドの
定番ラインとして2008年に誕生
どこか前衛的なイメージがあるコム デ ギャルソン。1981年にパリ・コレクションに進出し、「黒の衝撃」としてモード界の新時代を切り開いたエピソードは有名だ。しかしながら、1978年にデビューしたメンズラインのコム デ ギャルソン・オムは、ベーシックなテーラードスタイルやシャツが、高く評価された。
その後メンズラインはコレクションラインのコム デ ギャルソン・オム プリュスが1984年に、ビジネススーツを展開するコム デ ギャルソン・オム ドゥが1987年に始動。さらに1988年にはその名のとおり、シャツの専門ブランドとしてコム デ ギャルソン・シャツがスタートした。
コム デ ギャルソンのほかのラインと大きく違うのは、フランスを主な生産国としている点だ。ほかは日本製なのに対して、今もフランス製を基本として展開されている。デビュー当初はベーシックなシャツだけでなく、切り替えパターンのシャツを多くラインナップしたことで、話題を呼び、おしゃれな人たちに支持された。
その後は展開アイテムが増え、現在はパリでランウェイショーを行うトータルブランドに発展。“フォーエバー”はコム デ ギャルソン・シャツを代表するベーシックなシャツを、定番展開するラインとして2008年に生まれた。
“フォーエバー”ラインのシャツのシルエットを比較
人気モデル、ナロウクラシックと
ワイドクラシックの違いをチェック!
“フォーエバー”ラインのシャツは6つのモデルが存在するが、最も人気を博しているのがナロウクラシックとワイドクラシックの2型。
「ナロウクラシック」はコム デ ギャルソン・シャツのシャツのベースとなる型。シーズンごとに展開されるデザインものも、この型が採用される。「ワイドクラシック」は着丈や袖丈は同じで、身幅が広くなったボックスタイプのゆったりとしたシルエット。同じSサイズを2枚を重ねると、ナロウはウエストがややシェイプされ、ワイドは身幅が約9cmほど広いのがわかる。
タグなどに表記はないが
背面のデザインで見分けられる
下げタグやネームにシルエットの記載はないが、背面のディテールですぐにどちらかわかる。コム デ ギャルソン・シャツは背面のプリーツの入れ方が、ナロウとワイドで形状が異なる。
ナロウは両サイドにプリーツ
ワイドはセンターボックスのプリーツ
参考までにこれ以外の4つのモデルは「ベリーナロウ」(背中両脇にダーツを入れたタイトシェープ)、「スモールボタンダウン」(着丈が短めのボタンダウンシャツ)、「ナロウクラシック ショートスリーブ」(ナロウクラシックの半袖タイプ)、「スモールボタンダウン ショートスリーブ」(スモールボタンダウンの半袖タイプ)になる。
また“フォーエバー”ラインにはシャツのほかに、無地のロンTと半袖Tシャツの展開があり、2021年秋冬からラムウールニットのシリーズが加わっている。
シャツのディテールチェック
“フォーエバー”ラインのシャツは2008年のスタート時から、シルエットやディテールが変わっていない。コム デ ギャルソンの美学で精査された時代を超えるベーシック。そのこだわりが凝縮されたシャツの着心地や美しさは、袖を通せばすぐに実感できる。ナロウクラシックの白シャツで、基本のディテールを見ていこう。
“フォーエバー”ラインの最新シャツカタログ
ドレスにもカジュアルにも違和感なく合わせられるシャツは意外に少ない。コム デ ギャルソン・シャツの“フォーエバー”ラインは、その希少なシャツのひとつであり、モードにもマッチする振り幅の広さはこのブランドならでは。
無地の白、黒、紺、グレー、ブルーとストライプは常にラインナップされている。シーズンによって新デザインが登場することもあるが、一度ラインナップされたものは継続されて定番になっていくのも“フォーエバー”ラインの特徴。
コム デ ギャルソンらしく、黒に近いダークネイビーのブロードシャツ。ダークカラーの無地シャツは応用範囲が広く、1枚でラフに着てもサマになるのが魅力。黒蝶貝のボタンの光沢が、品のよさを添える。
トラッドな印象が添えられる、ブルー系のストライプはバリエーションが多く選びがいがある。デニムにサラッとはおるだけで、おしゃれに仕上がる1枚。
モノトーン好きにおすすめのチャコールグレー。ブラックボトムと合わせれば、それだけでモードカジュアルが完成する。90年代のキレカジよろしく、タイドアップ&ブラックジーンズに革靴というスタイルにもマッチ。
ブランドの初期を彷彿とさせるクレイジーパターンも2年ほど前から登場。ブルーを基調とした5種類のストライプ生地を使用しながらも、“フォーエバー”ラインらしくあくまでベーシック。コム デ ギャルソン・シャツらしさを楽しみたい人はぜひ。
問い合わせ先
コム デ ギャルソン
TEL:03-3486-7611
みんなのコム デ ギャルソン・
シャツコーディネート
井上翔太/メンズノンノモデル
「クラシックなジャケットに合うシャツを探して、たどり着いたのが“フォーエバー”ラインのブルーのポプリンシャツ。シルエットはナロウクラシックで、カジュアルにも着やすそうと思って昨年の6月に買いました。ボタンを2つ開けてもいやらしくならず、衿の立ち具合もよく気に入ってます。コム デ ギャルソンのアーティスティックな部分も好きですが、このシャツのようなベーシックに服づくりの基盤があるんだろうなと思います」
「リーバイス®のジーンズにアルファのCWU-45Pというミリタリー親父っぽいアメカジも、コム デ ギャルソン・シャツを入れることでクリーンさと抜け感が添えられます。足もとをプラダのローファーにしてモテ方向に振ってみました(笑)。カーディガンはユニクロです。いつの時代でも何歳になっても、フォーマルからカジュアルまで、どこにでも着ていける。“フォーエバー”ラインのシャツは僕にとって永久定番です」
田中駿也さん/
エイチ ビューティ&ユース スタッフ
「不変であることはもちろん、サイズ違いや柄違いを集めてしまうような、“虜”になったアイテムが僕の永久定番です。 “フォーエバー”ラインのシャツはまさにそれ。フランス製の肌触りのよい生地と見事なパターンで、心底ほれ込んでいます! 無地は何枚か持っていましたが、ブランドを象徴するクレイジーパターンは持っていなかったので、昨年夏に買いました」
「ナロウクラシックは意外とリラックス感のあるシルエットで、今の気分にぴったりです。シャツの色に合わせて、きょうはネイビーのマウンパ風アウターとワイドテーパードパンツでコーディネート。プーマのトランプ OGでストリート要素を足し、自分らしくスタイリングしました。一見トラッド風ですが、アウターを脱ぐと印象が変化するのも楽しい」
松岡 歩さん/三越伊勢丹 デジタル担当
「ユナイテッドアローズの栗野(宏文)さんが『ノーネクタイで着られる最も美しいシャツ』と語っているのを何かの記事で読み、自分でも試したいと思い購入したのが最初。“フォーエバー”は、ギャルソンの中でも貴重な “定番”をうたうラインで、まさにフォーエバーに機能するシャツづくりを続けています。コレクションのものとはまた違う、いつの時代でも着られる“変わらないすごさ”みたいなものを感じさせてくれるところにも感動を覚えます」
「ナロウクラシックのグレー&ブルーのストライプシャツをワントーンコーディネートのアクセント的に使ってみました。ベストのセットアップはザ・リラクス、タートルネックカットソーはホールパーソンで、足もとはジェイエムウエストンのサイドゴアブーツです。ナロウクラシックはドレスすぎず、カジュアルすぎず、セクシーなムードのあるシルエットが魅力。小ぶりなレギュラーカラー、ほどよくタイトなシルエットはレイヤードもしやすく、今日のようなベストのスタイリングにも好相性です」
Photos:Erina Takahashi(still) Stylist:Takumi Urisaka Composition & Text:Hisami Kotakemori
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