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東京パラリンピックに向けて様々な競技やアスリートの魅力に迫る本連載。冬はスキー、夏は陸上と、異なるフィールドでトップをめざす平昌(ピョンチャン)メダリストの村岡桃佳。そのバイタリティの源になっている思いとは。
PARA ATHLETICS
©アフロスポーツ
【 パラ陸上 】
村岡桃佳
/ MOMOKA MURAOKA
1997年3月3日生まれ、埼玉県出身。4歳の頃に横断性脊髄炎の影響で下半身にまひが残り、車いす生活に。小学3年時にチェアスキーを始め、中学2年から競技の世界へ。2014年ソチパラリンピックに17歳で出場すると、2018年平昌パラリンピックでは5個(金1・銀2・銅2)のメダルを獲得。2019年5月に陸上競技への挑戦を表明し、同年100mクラスT54で日本記録樹立。今年5月に東京パラリンピック出場が内定。トヨタ自動車所属。
「二刀流への挑戦が、
今後の人生の大きな糧に」
近年のスポーツシーンで実にホットなキーワードになっている“二刀流”。それを高いレベルで体現する選手がパラスポーツ界にもいる。村岡桃佳その人だ。2018年平昌冬季パラリンピックのスキー競技で5つのメダルを獲得して一躍同大会のヒロインとなった彼女が、この夏はスキーから車いすに乗り換えて東京パラリンピックに出場する。
「約2年前に陸上への挑戦を決意してから東京パラリンピックをめざして全力で駆け抜けてきました。延期という想像もしていなかった出来事があり、次の北京冬季パラリンピックまでの期間が短くなったことで大会が重複するなど大変な部分も多く、葛藤や悩みもありましたが、出場内定が決まった今は諦めずに続けてきてよかったと心から思います。同時にこれまで応援してくださった方々への感謝の気持ちでいっぱいですし、この経験が今後の人生に生きてくるはずだと感じています」
難しい状況下での二刀流挑戦が、フィジカル、メンタル両面において飛躍的な成長につながったと彼女自身が誰よりも実感している。
「しばらく陸上に専念したことで体の使い方がぐんとうまくなりましたし、気持ちの面ではいい意味でリセットできてスキーにもすごく新鮮なスタンスで取り組めるようになりました。東京で陸上、北京でスキーと、期間が短いからこそ私も応援してくださる方々も高い熱量のまま臨めるメリットもあると思いますので、東京でメダルにつながるようないいレースをして冬まで勢いを持続させていきたいですね」
ひとつの競技を突き詰めるだけでも大変なのに、その数倍ハードな思いをして夏と冬両方の大舞台をめざす。彼女を突き動かす原動力とは。
「引っ込み思案だった私が自分自身を認められるようになったのはスキーを始めたから。その出会いが自分の人格形成の根底にあるものなんです。だからどんなに練習がきつくても、なんだかんだスポーツをしている自分がいちばん好きだから耐えられるのだと思います(笑)」
Composition & Text:Kai Tokuhara
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