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人種差別、ジェンダーギャップ、SDGs……これからの時代を担う僕らZ世代はどう考えて何をすべき? 社会問題に詳しい長谷川ミラさんと、リアルな意見を語り合ってみた。
差別を実感したことある?
アジアンヘイトの報道を受け、差別を身近に感じた人も多いのでは? 無意識にしている差別行動やセクシュアリティに対する世代間ギャップを論じる!
社会の同調圧力は
差別の根源!
岩上 僕は差別を受けた経験がないので、黒人やアジア人に対する差別やヘイトクライムの存在を知ったときは、衝撃を受けました。
樋之津 僕もです。差別したこともないと思っていますが……小学校に外国人が転入してきたときに、学校全体がザワついた記憶がありますね。自分たちとは違う、という態度で接してしまったかも。
長谷川 残念ながら、それは差別のひとつですね。意地悪していなくても、相手は気にしていたはず。私も日本でずっと、同じような対応を受けてきたので。
岩上 ミラさんが!?
長谷川 ジロジロ見られるのは日常茶飯事。白人の父と一緒にいるときが顕著で、電車で座ろうとしたらカバンを置かれるなど、あからさまな態度を取られることも少なくなかった。そんな私からすると、“日本は差別がない”って考えはナンセンス!
岩上 個人的に、ハーフの子は特別だと思ってた。いい意味で、目立つ存在。
長谷川 この仕事をしているからこそ、目立つのはいいことだと思えるけど。小さい頃は違ってなかった?
岩上 同じは嫌だ、と思いつつ、外れすぎちゃいけないという意識も確かに感じてた。実際、“あいつ変わってるよね”という発言もあったし。
長谷川 それって一種の同調圧力で、差別の根源だと思うんです。初めて海外の学校で学んだときに、みんなと違う意見を言える子が評価されているのを見て、ハッとしたんだよね。日本ってまず、授業で積極的に発言する子自体が少ないし。
樋之津 自分の意見が批判されるかも、という恐怖感はいまだにありますね。たとえ好きなものについてでも、“ダサい”と思われたら嫌だな、とか。
長谷川 私も他人の意見に敏感な時期があった。でも同時期に、自分自身も他人をめちゃめちゃ批判してたんですよ。両親から“人をどうこう言う前に、自分のことを気にしなさい”と注意されて気をつけたら、自然と、相手のあら探しをしなくなったの。
岩上 自分が他人に対して批判的だから、他人も自分をそう見ているはずだと感じるってことか。
樋之津 同様に、自分に厳しい人ほど他人にも厳しくなる傾向がある気がします。
長谷川 わかる。結局、自分を愛せない人に、人を愛することなんてできない。それぞれが自分を認めて愛することが、差別のない社会への第一歩だと信じています!
LGBTQIA+※に対する
シニア層の意識を
変えるためには?
長谷川 アメリカでは、“彼氏・彼女はいる?”って質問はタブーなんですよ!
岩上 えっ! 何で?
長谷川 相手のセクシュアリティ(性的指向)を断定してることになるから。パートナーという言葉を使うのが正解です。
樋之津 普通に言ってました。反省。
長谷川 以前、賃貸物件を探してたときに、“LGBTフレンドリー”って表示を見つけて。調べてみたら、同性のカップルでも借りられるってことだったの……。
岩上 普通は借りられないってこと!?
長谷川 ゲイの友達に聞いたら、断られることが多いみたい。びっくりだよね。
樋之津 逆に、何でダメなんだろう?
長谷川 大家さんはLGBTQIA+に対する理解が低いシニア世代が多いし、嫌悪感を抱いてる人が住んでいた場合に苦情が出るリスクもある。
岩上 僕の周りは、LGBTQIA+に対してポジティブな姿勢の人ばかり。だから、なぜいまだにこれほど騒がれているんだろう? と不思議だったけど、そんな現状があるんだね。
長谷川 そういう感覚が当たり前なのって、私が思うに30代から下の世代な気がする。
樋之津 同じ世代でも、地域によっても全然違うと思います。地元に住んでいたときは、同性愛に関する若者の差別発言を聞いたことがあるので。
長谷川 メディアで活躍するLGBTQIA+の方は増えたけど、街で堂々と手をつないでる同性カップルってほとんど見なくない?
岩上 日本では結婚も認められていないし。家も借りられないことがあるなんて……。
長谷川 そんな状況をどうにかしたくて、LGBTQIA+の方たちの投稿をこまめにリポストしてるの。今は多くの企業や政治家が若者の発信をチェックしてるから、企業のアカウントをタグ付けしたり。社会のルールを作る大人の意識を変えることで、より大きな変化につながるかなって!
樋之津 60代と僕らは40歳しか離れていないのに、思想がまったく違う。視点を変えれば、今後もどんどん変化する可能性がありますね。
岩上 大人の失言って、ときに、本当に悪気がないんだろうなと感じる。ただ、真っ向から批判すると、もっと嫌悪感を抱かれてしまいそう。
長谷川 同感! 差別したから排除するのではなく、正しい知識を与えることが一番の課題だね。
※L:レズビアン、G:ゲイ、B:バイセクシュアル、T:トランスジェンダー、Q:クエスチョニング/クィア、I:インターセックス、A:アセクシュアル
Z世代のスピーカー
モデル 長谷川ミラさん
1997年7月7日生まれ、東京都出身。2017年、『テラスハウス』ハワイ編に出演。現在はラジオ番組『START LINE』(J-WAVE・毎週金曜16:30〜)のナビゲーターを務めるほか、『サンデー・ジャポン』(TBS系・毎週日曜9:54〜)に不定期出演中。SNS&YouTubeチャンネルで環境保護や社会問題を取り上げ、同年代から絶大な支持を誇る。
3人の衣装には、サステイナビリティに考慮したアイテムが多数。
[ミラさん]ビスチェ¥21,450・トップス¥47,850・パンツ¥38,500(すべてYanYan)/LYDIA イヤーカフ¥18,700・ネックレス¥110,000(ともにSARARTH)/サラース カスタマーサポート [岩上]Tシャツ¥4,730・ロンT¥5,830/ブリング エビス [樋之津]シャツ¥2,499/H&M カスタマーサービス Tシャツ/スタイリスト私物
Photos:Yuki Kato(model) Hair & Make-up:Naoko Matsuoka Stylist:FUKAMI(for Ms. Mila Hasegawa) Atsuo Izumi(for Hinotsu, Iwakami) Models:Rintaro Hinotsu Shunya Iwakami[Both are MEN’S NON-NO models] Illustration:Midori Komatsu Composition & Text:Ayano Nakanishi
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