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女優としてさまざまな表情を見せ、アーティストとして繊細な感情を表現する。各方面から注目を集める才能豊かな彼女が好きなものは、アナログっぽくてレトロな味わい深い世界だった。
上白石萌歌とフィルムカメラ。
切り取り方に人間性や
感性がにじみ出ます
日が暮れる1時間前。愛用のフィルムカメラを片手に河川敷をぶらりと歩く。光の傾きとともに表情を変えていく建物や水面や草花に、レンズを向けていく。
「たとえ同じ場所で同じカメラを使っても、人によって撮れる写真が違う。自分だけの一瞬を大切に残したいと思います」。ひとつの風景も角度や立ち位置を変えながら、ていねいにシャッターを切っていく。フィルムを巻き上げる音が、夕暮れどきに心地よく響く。
その1枚に自分の想像を超える、
ステキな世界が待っている。
「私が小さかった頃に撮ったフィルムを、父が偶然見つけて、現像した写真を見せてくれたんです」
写真が大好きでカメラ好きの父親の影響で、以前からフィルムカメラに興味を持っていた萌歌さん。実際に手にして撮り始めたきっかけは、2年前の家族での何げないやりとりだった。
「母親が私を抱いてたりする普通の写真なのですが、すごくいい雰囲気で。色が褪せてカビも生えていたけど、それがタイムカプセルのように時間を閉じ込めているようで、すごく面白いと思いました」
お気に入りの中古カメラを見つけてからは、休日も仕事もポケットに忍ばせて、風景や共演者を撮影している。
「フィルム1本で24枚や36枚しか撮れないので、一枚一枚に価値を感じていて。そこで、対象を選んで写すので思い出にもなりますね。ただ、その中でもいいと思える写真が3枚しかないときもあるので(笑)、いまはステキな形で残したいと思ったものを何枚も撮るようにしています。フィルムという決められた枠の中でとらえた作品には、その人の人間性や感性がにじみ出ると思います」
写真の魅力に惹かれていくほどに、撮られる側としての意識も変わったという。
「いままで撮っていただく際に自分が写真の主体になろうと思っていたけど、最近はどのように切り取られているかを考えるようになりました。背景の中にいる自分ということが大事なので、光の向きや立っている場所や角度を意識したり。フォトグラファーが撮る写真は、自分の想像を軽々と超えてすばらしいものばかり。撮影現場がもっと楽しくなって、できあがった写真を見ることが楽しみになりました! まだまだ趣味の範疇だけど、上達したらいつかZINEを出したり、写真好きの同世代の役者たちと作品を作ったりしたいですね!」
愛用のカメラを教えて!
愛機は「OLYMPUS LT ZOOM 105」、好きなフィルムはKodakのColorPlus 200。「常に持ち歩きたいから、愛着の湧くかわいいカメラを選びました!」
萌歌撮。
「役作りで地方を旅したときに、橋の上から撮った夕焼けの写真がすごくきれいだった。それから、水面に映った光や自然をよく撮るように。フィルムはふとした風景も魅力的に写してくれますね」
Moka Kamishiraishi
2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。8月20日公開の映画『子供はわかってあげない』や今秋放映のWOWOW『連続ドラマW ソロモンの偽証』で主演を務める。「adieu」としてアーティスト活動をしており、6月30日にミニアルバム『adieu2』をリリースする。
シャツ(ボーディ)¥63,800・ジャンプスーツ(スタジオ ニコルソン)¥64,900/メイデンズショップ ウィメン リング(ミラ)¥20,900/スタジオ ファブワーク
Photos:Tohru Yuasa Hair & Make-up:Reika Sakamoto[Allure] Stylist:Izumi Makabe Illustrations:Hisayuki Hiranuma Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi
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