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混乱と制限が続く社会で、多くの人が抱く「僕らの人生、どうなるんだ?」という問い。だが、人生のレールは1本じゃない! それを体現する先輩にロングインタビュー4本を読み返そう。
20代を振り返りながら、試練、悩み、不安を乗り越える極意を聞いた。
テレビプロデューサー
佐久間宣行さん
Profile
さくま・のぶゆき
●1975年11月23日生まれ、福島県出身。1999年、早稲田大学を卒業後にテレビ東京へ入社。2021年、同社を退社しフリーランスに転身。ラジオパーソナリティとして、ニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』を担当中。
記念に受けた就職面接で人生が変わりました
「めちゃめちゃとがっていて、失敗を恐れてばかりいました」
20代をそう振り返る、佐久間宣行氏。『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』など数々のヒット番組を世に送り出してきた名プロデューサーで、テレビ東京の元社員だ。
「物心がついたときから、ポップカルチャーが大好きでした。どれくらい好きかというと、演劇やライヴに夢中になりすぎて、大学2年で2単位しか取れず留年したくらい(笑)。福島の実家に住んでいた頃は、好きな劇団の解散公演を観られないなど、悔しい思いをたくさんしたので……完全にその反動ですね。留年した罪悪感からも、夢を見ずに就職はちゃんとしなきゃ、という意識が強くなった。それにクリエイターって、すでにものづくりをしている人がなるものだと考えていたので。テレビ局への就職は考えていませんでした」……
料理研究家
コウケンテツさん
Profile
こう・けんてつ
●1974年7月14日生まれ、大阪府出身。旬の素材を生かした手軽な家庭料理を提案し、テレビや雑誌、講演会など多方面で活躍。30か国以上を旅して世界の家庭料理を学ぶ。YouTube公式チャンネル「Koh Kentetsu Kitchen」で秘伝のレシピを公開中。
20代、人生最大の挫折と不運が同時に訪れました
「人の想いと結果は、必ずしも表裏一体じゃないんですよね」
コウケンテツ氏は、プロのテニス選手になる夢を諦めたときのことをそう振り返る。中学で夢中になり、専念するために高校を中退。思うように成長できぬまま19歳でヘルニアを患い、あっさり夢破れる。
「夢を失い、学歴もない。ハタチ前後は、まさに絶望のどん底にいました。引きこもりのような日々を支えてくれたのが家族。反対を振り切って高校中退した僕を責めることも、特別扱いすることもなく、自然に接してくれて。心底、救われましたね。読書家の兄からすすめられた本を読むことが、心のケアにもつながりました。なかでも影響を受けたのが『マルコムX自伝』。マルコムの激動の人生は、きっと誰もが刺激と勇気をもらえるはずです。21歳で治療を終え、いざ人生の再スタートを切ろうと意気込んだとき……今度は実家の家業に危機が訪れた。同時期に父が友人の借金を肩代わりしてしまい、一家総出で労働に明け暮れる日々が始まりました」……
芸人
ニューヨーク
屋敷裕政さん 嶋佐和也さん
Profile
[右]やしき・ひろまさ●1986年3月1日生まれ、三重県出身。
[左]しまさ・かずや●1986年5月14日生まれ、山梨県出身。NSC東京校で出会い、2010年にコンビ、ニューヨークを結成。YouTubeラジオ「ニューヨークのニューラジオ」では、フリートークを生配信(日曜22:00~)。公式YouTubeチャンネルではほぼ毎日動画を更新しているほか、限定生配信や動画配信を公開するオンラインサロンも展開中。
大学を出てまで芸人をめざす心苦しさを感じていました
“高学歴芸人”という言葉が浸透して久しいが、ともに大卒資格を持つコンビはさほど多くない。そんな中、屋敷さんは同志社大学、嶋佐さんは神奈川大学を卒業後に、NSCこと吉本総合芸能学院に入学。大学を出てまで芸人をめざすことに、罪悪感を抱いていたとか。
屋敷「もともとテレビ関係の仕事がしたくて、大学ではメディア学を専攻していました。在学中から芸人になりたいという想いはあったけれど、現実的じゃないな、と諦めていましたね。無理言って私立に通わせてもらったので、母親に申し訳ない気持ちが大きかったかな。卒業後は、東京でテレビ制作会社に就職。1年ほどたったとき、いつものように、仕事の合間に個室ビデオで休憩していたんです。AVのあとに『M-1グランプリ』を観たら、自然と涙が出てきて……。“画面のあっち側に立ちたい”とハッキリ意識して、仕事を辞める決心をしました」
嶋佐「僕は、ただただ東京で暮らしたい! という一心で進学を決めました。将来は適当に就職するんだろう、とぼんやり思っていたけど、3年生になってもまったく就活をする気が起きなくて。その代わりとして思いついたのがNSC。一度は母親に反対され、就活してダメだったら行こう、と。軒並み落ちたときは、心底ほっとしましたね(笑)」……
俳優
滝藤賢一さん
Profile
たきとう・けんいち
●1976年11月2日生まれ、愛知県出身。高校卒業後に上京し、1998年に「無名塾」入塾。2007年まで在籍し、舞台を中心に活躍。以降、多くの映画、ドラマなどで幅広い活躍を見せる。2021年8月、映画『孤狼の血 LEVEL2』が公開予定。
高校卒業後、大学も就職もピンとこなかった
「人生の先行きって、見えてたほうがいいのかな。見えてたら面白くないよね? 悲惨な未来だったらどうするの? 僕なんて30代前半までやばいくらいお金がなかったけど、なんとかなってたよ!」
そう言って、ケラケラと笑った滝藤賢一氏。幅広い作品に出演する一方で、ファッションや植物栽培など多彩な趣味を生かし、マルチに活躍。日本のエンターテインメントを唯一無二の存在感で彩る彼が日の目を見たのは32歳のとき。高校卒業後の19歳で役者を志してから、13年後のことだ。……
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