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新しいことがやりたいのに、失敗を恐れてばかりいた…。佐久間宣行さんに、激務だった20代の話を聞いてきた

新しいことがやりたいのに、失敗を恐れてばかりいた…。佐久間宣行さんに、激務だった20代の話を聞いてきた

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混乱と制限が続く社会で、多くの人が抱く「僕らの人生、どうなるんだ?」という問い。だが、人生のレールは1本じゃない! それを体現する先輩にロングインタビュー。20代を振り返りながら、試練、悩み、不安を乗り越える極意を聞いた。

  

テレビプロデューサー
佐久間宣行さん

Profile

さくま・のぶゆき●1975年11月23日生まれ、福島県出身。1999年、早稲田大学を卒業後にテレビ東京へ入社。2021年、同社を退社しフリーランスに転身。ラジオパーソナリティとして、ニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』を担当中。

記念に受けた就職面接で人生が変わりました

「めちゃめちゃとがっていて、失敗を恐れてばかりいました」

20代をそう振り返る、佐久間宣行氏。『ゴッドタン』や『あちこちオードリー』など数々のヒット番組を世に送り出してきた名プロデューサーで、テレビ東京の元社員だ。

「物心がついたときから、ポップカルチャーが大好きでした。どれくらい好きかというと、演劇やライヴに夢中になりすぎて、大学2年で2単位しか取れず留年したくらい(笑)。福島の実家に住んでいた頃は、好きな劇団の解散公演を観られないなど、悔しい思いをたくさんしたので……完全にその反動ですね。留年した罪悪感からも、夢を見ずに就職はちゃんとしなきゃ、という意識が強くなった。それにクリエイターって、すでにものづくりをしている人がなるものだと考えていたので。テレビ局への就職は考えていませんでした」

しかし“記念に”受けたフジテレビの面接で才能を見いだされる。

「人と接するのが得意だからと営業職を主に受けたら、驚くくらい内定をいただいた。気持ちが固まりかけていた頃、フジテレビの面接官から『キミほどポップカルチャーの知識がある人はなかなかいない。絶対に生かしたほうがいいよ』と言われたんです。そこから唯一間に合ったのがテレビ東京。当時は今よりずっとマイナー局だったので、相談をするたび周囲から猛反対されましたね(笑)。ただ受かったら、“一度はクリエイティブに携わってみたい”という想いが抑えられなくなってしまった。合わなくても3年以内ならまた新卒枠で就活ができる! と挑戦を決意しました」


東京のポップカルチャーに
心酔していた、ハタチの頃。
「好き」を仕事にできるとは
夢にも思っていなかった。

どうせ働くなら、少しでも楽しく働きたい!

「初めての仕事は、深夜ドラマのAD。そもそも局員がディレクターになることはないので将来性はゼロ。加えて、半年で86日しか帰宅できないほどの激務でした。当初は反発していましたが、どうせ働くなら楽しいほうがいい。台本に天気予報やコラムを書くなどの工夫を始めたら現場で愛されるようになり、徐々にやりがいを覚えていきましたね。初めて自分の企画が通ったのは26歳のときで、深夜枠では史上最年少。内心、焦りしかなかったですよ。100本出して1本通るかどうか、と聞いていたので、これで失敗したら、もう自分の番組が持てないかもしれない。思えば、20代はこうやって失敗を恐れてばかりいましたね。そんな当時の自分に、世の中はお前のことなんて覚えてない! と言いたい。テレビに関しては、そもそも誰も観ていないことが失敗なわけで(笑)」

年次を重ねるにつれ現場仕事が減り、現場に残るためにテレビ東京を退社。フリーランスに転身して思う、会社員のよさとは?

「失敗は怖いけど、新しいことはやりたい。そんな性格上、僕は会社員が合っていたと思います。大もうけできない代わりに、失敗が許されますから。さらに、発注者の僕が冒険できる立場だと、みんなも安心して面白いことにチャレンジできるんです。仕事量が減っても給料は減らないので、安心して学びの時間を持てるところも大きい。インプットしないと、新しいアイデアは生まれませんからね。もちろん、サラリーマンだからこその面倒な仕事もたくさんあります。ちなみに僕の場合は、そのストレスが番組作りの楽しさ、尊さをいっそう引き立ててくれましたよ(笑)」

“ニッポン放送がぎりぎり聴けるような地域で育った割には、まあまあやれてるんじゃないか”。仕事で反省したり、悩んだりすると、決まってそう自分を励ましたそう。

「やりたいことを諦めた友人は山ほどいますね。別のモチベーションを見つけた人もいれば、いまだに折り合いがついていない人もいる。やりたいことをして辞めた人もいるし、ひとつの正解はないんですよ。僕は、テレビ番組を作りたいな、と心のどこかでずっと思いながら生きていたら……と想像したとき、後悔はないと確信しました。仕事中に笑った量なら、たぶん僕がダントツ。それだけで、最高の仕事だなって思えるんです」

  

Photos:Takahiro Idenoshita Composition & Text:Ayano Nakanishi

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