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「料理も文化もすごく気になる」と、アジアとヨーロッパの合流点であるトルコに注目。世界三大料理のトルコ料理の礎となったというオスマン帝国の宮廷料理を食べに行った。
vol.14 Turkey
世界のさまざまな食文化を取り込んだ奥深い味に感動。
きらびやかな装飾と厳かな雰囲気が同居した、まるでオスマン帝国の宮廷を思わせる内装に息をのむ萌音さん。
席につき、まずは「赤レンズ豆のポタージュ」をいただく。「スープだけど、かすかな歯触りがあって食べ応えはホクホク。丁寧に漉(こ)されたお豆とブイヨンのうま味がうまく溶け合っていますね。当時も使われていたという有田焼の器もかわいい!」。
続いて、多種多様な味を楽しめる見た目も華やかな「前菜の輪舞曲(ロンド)」が運ばれてくる。「帝国が広大な領土を持っていたことを表すように、いろいろなエリアの味覚がこのひと皿に。ギリシャで食べられるフェタチーズとカラマタオリーブの前菜(写真の上段中央)をまとめるようじには、トルコのお守り、ナザールボンジュウが添えられていてキュート。あと、私はナスびいきなので(笑)、『焼きナスのヨーグルトソース和え』(写真の左上)が好きでした!」。
まもなくして辺りにハーブの香りが漂うと、メインの「スプリングラムチョップのハーブグリル」が登場。「よく聞く“歯がいらないほどやわらかい”を実感しました! 想像するラムのくさみは一切なくて、お肉が持つしっかりとした味わいと優しく寄り添うハーブが最高のバランスですね。ニンジンのヨーグルトサラダなど、さっぱりした味わいのつけ合わせも美味!」
オスマン帝国でも食べられていた数々の料理を初体験。「食材を生かすガストロノミー(美食学)を研究したシェフが作られていて、スパイスの偉大さに気づけました。例えば辛みもガツンと“点”でくるのではなく、他の味と結びついて“面”でくる感じで。食材を支えつつ、おいしさも際立たせる…主役にもなれて共演者も引き立てられる、そんな役者に私もなりたいなって思いました」
宮廷のようなお店の雰囲気に合わせてエキゾチックな服に身を包んだ萌音さん。「赤を基調とする内装やキラキラした什器(じゅうき)に合わせて、繊細な刺繍(ししゅう)やストーンがついたドレスとベストのコンビを選びました。よく見ると、トルコ国旗にある星や月が刺繍されているんですよ〜」
TODAY’S MENU
オスマン帝国の君主“スルタン”の健康やアンチエイジングを考慮し、宮廷の典医が考案したドクターズレシピをベースにした料理を提供。今回は6品からなるコース¥13,310(税・サ込)から4品をピックアップ。
赤レンズ豆のポタージュ
本日のスープの「赤レンズ豆のポタージュ」は、丸鶏と野菜から抽出したブイヨンをベースに、赤レンズ豆を煮込んだ一品。オレガノなどのハーブと混ぜて。
前菜の輪舞曲
「前菜の輪舞曲」は、8〜10種のメゼ(前菜)の盛り合わせ。トルコ産の白チーズと野菜のペーストを生地に包んでフリットにした“シガラボレッキ”や、粗くおろした野菜と香草を入れた卵のオムレット、アーティチョークの蕾(つぼみ)のオリーブオイル煮など、東洋・西洋の味が楽しめる。
スプリングラムチョップのハーブグリル
さまざまなスパイスと野菜のエキスをブレンドしたマリネにくぐらせ、ラム肉特有のクセを取り、うま味を引き出した「スプリングラムチョップのハーブグリル」。やわらかくジューシーに焼き上げ、骨のまわりまでおいしい。スパイシーなベイクドマッシュポテトやビーツのブイヨン煮などのつけ合わせとともに。
デザート
デザートは、トルコ人が愛するライスプディングや、オレンジとマンゴーの果汁にトルコ産のハチミツを合わせたフルーツカクテルなど、ヘルシーな甘さが体に染みる逸品が並ぶ。
BURGAZ ADA(ブルガズ アダ)
港区麻布十番3の7の4 麻布六堂3F
TEL:03(3769)0606
営業時間:17時〜22時
日曜休、不定休
※要予約、コース料理のみ提供
宮廷医の愛………文・上白石萌音
晴れ渡った日の海みたいな青いガラス玉に、子どもが塗った空みたいな水色の目玉。トランジットで寄ったイスタンブール空港のお土産屋さんに大小さまざま取り揃(そろ)えられていたこのモチーフは、トルコのお守りだったのだと今日知る。名はナザールボンジュウ、効用は「周りからの羨望(せんぼう)や嫉妬を跳ね返すこと」。
オスマン朝宮廷料理の前菜盛り合わせに載ったチーズに、小さなナザールボンジュウ付きの楊枝(ようじ)が刺してある。羨望や嫉妬かあ。抱きまくっている。私はこのお守りにしっかり跳ね返される人間。
まして宮廷なんて場所には、そんな感情が特に濃く渦巻いていたことだろう。宮廷医の知恵と願いが詰まった滋味深い食事は、巨大帝国の統治者たちの心身をどんなに癒し、支えたことか。しがらみやわだかまりを溶かすような、繊細で優しいおいしさだった。
私にも、宮廷医さながらの愛をくれる人たちがたくさんいるなあと思う。側(はた)から見れば羨(うらや)ましいほどに。羨み羨まれて私たちは生きている。
PROFILE
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。2011年デビュー。女優、歌手としても活動中。4月から8月まで日本とイギリスの2か国で舞台『千と千尋の神隠し』が再演される。現在、全国7都市を巡った「『yattokosa』Tour 2023」の東京公演を収めたLive Blu-ray&DVDと、ツアーを振り返るアフターパンフレットが発売中。
ドレス¥152,900・ベスト¥107,800・ネックレス¥49,500(すべてフォルテ フォルテ)/コロネット タンクトップ・靴/スタイリスト私物
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Photos:Sodai Yokoyama Hair & Make-up:Tomoko Tominaga Stylist:Lisa Sato[BE NATURAL] Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y] Director:Taro Usuda Movie Camera:Noriyuki Fukumoto
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