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様々な競技で活躍する注目のアスリートにインタビュー。今回は、サッカー(マンチェスター・シティWFC)の藤野あおばさん。
FOOTBALL
― サッカー ―
「状況を判断する力が
私の武器。新天地でも
自分らしく挑戦したい」
初々しさと大胆さに、20歳らしからぬクレバーさも兼ね備えたプレースタイルでなでしこジャパンのサッカーに独特のリズムとアクセントをもたらしている藤野あおば。彼女の最大の武器は、なんといってもキレのあるドリブル突破だ。
「状況を判断するスピードには自信があります。目まぐるしく状況が変わる試合中はそれらに柔軟に対応ができないと相手をかわすことができないので、日頃から“考えること”をやめないようにしていますね。対峙(たいじ)するDFのポジショニングの特徴やウイークポイントなどをなるべく早く察知して、つけ入るポイントを常に探しています。もちろん相手もしっかりと考えながら守備をしてきますが、90分の中のほんの小さな隙を見逃さないことが何より重要。それと守備の面でも、チームにいいスイッチを入れられるよう前線からハードワークすることが自分に求められている役割だと思っています」
チームにおける自分の立ち位置を理解することが、結果を出すためには何より大事だと語る藤野。今夏のパリ五輪でも初戦のスペイン戦で豪快なフリーキックを決めてみせるなど確かな存在感を発揮した。
「W杯とはまた違った緊張感がありましたし、他競技の選手と交流できたり日本選手団として戦える環境はオリンピック特有の魅力だなと思いました。ベスト8で終わってしまった悔しさはもちろん残っていますが、いろんな気づきがあって収穫の多い大会でしたね」
五輪後は、さらなる飛躍をめざして欧州トップリーグであるイングランドのWSL(ウィメンズ・スーパーリーグ)に挑戦。なでしこジャパンの司令塔、長谷川唯も在籍する名門マンチェスター・シティWFCで新たなキャリアをスタートさせている。
「唯さんからは、日本代表に選出されてから思うようにゴールが決まらない時期に『大事なときに結果を出してくれればいいから』と声をかけてもらいました。正直ゴールに直結するポジションで結果を出せていない自分に焦りを感じていましたが、その言葉で一気に肩の荷が下りましたし、調子が悪いときでも貪欲にゴールに向かっていこうと気持ちを切り替えられました。まずはパリで得た経験と課題を生かして、ぐんとレベルアップした姿を次の大会で見せられるように自分にベクトルを向けながら新しいステージでも日々精進していきます!」
藤野あおば AOBA FUJINO
2004年1月27日生まれ、東京都出身。ポジションはMF(ミッドフィールダー)。兄の影響で幼稚園の頃にサッカーと出会う。日テレ・メニーナ・セリアス、十文字高校を経て2021年に日テレ・東京ヴェルディベレーザに加入。初年度から存在感を発揮すると、2022-23シーズンから2季続けてWEリーグのベストイレブンに輝く。日本代表では2022年のU-20女子W杯で活躍し準優勝に大きく貢献、同年から「なでしこジャパン」に招集。今夏のパリ五輪でも主力として活躍した。大会中、イングランドのマンチェスター・シティWFC移籍が決定。
Photo:Shintaro Tohyama Interview & Text:Sayako Ono Composition:Kai Tokuhara
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