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様々な競技で活躍する注目のアスリートにインタビュー。今回は、フォーミュラレースの野田樹潤さん。
FORMULA RACING
― フォーミュラレース ―
「負けても負けても絶対に
諦めない。失敗を恐れず、
楽しんで挑み続けたい!」
競技人口の約9割を男性が占めるモータースポーツの世界において、驚くべきパフォーマンスを発揮しているスーパーガールがいる。昨年7月、F1レーサーをめざす若手の登竜門「ユーロフォーミュラ・オープン」で女性ドライバーとして初めて優勝に輝いた野田樹潤。18歳にして、タフな競走の世界でひたむきに挑戦し続ける彼女の素顔に迫った。
「プロのレーシングドライバーになることは5歳からの夢でした。ただ日本では年齢制限があって(F1のアンダーカテゴリーである)F4やF3の公式レースに出られないので、14歳で欧州に移り住むことに。最初は生活スタイルの違いに戸惑いましたが、家族が一緒に来てサポートしてくれて、常にレースに集中できる環境をつくってくれたのですごく心強かったです」
社会のジェンダーレス化が進む現代といえど、競技特性上モータースポーツのシーンで女性ドライバーが結果を残すことはたやすいことではない。
「車の構造だけでなく、レギュレーションも男性を基準にしてつくられているので苦労することが多いです。昨シーズンも急なレギュレーション変更などに悩まされましたが、その中でも諦めずに自分ができることを地道に続けてきたことが結果につながったのかなと思います。やりがいを感じる瞬間は、それまでできなかったことができて自分の成長を感じられたとき。例えば車がぶつかってリタイアしたときでも結果だけを見ると失敗ですが、そこまでの過程でいいチャレンジができていれば納得できます。もっともっとレベルアップして、女性レーサーがより力を発揮できる環境をつくっていきたいです」
今季は日本最高峰のスーパーフォーミュラレース参戦を発表。長い日本のトップフォーミュラの歴史において、初めて日本人女性ドライバーが、しかも史上最年少で誕生する。
「日本のサーキットでの走行経験が少なく、フォーミュラのようなビッグパワーのマシンも初めて。私にとってすごく大きなチャレンジになると思います。ひとつでも多くの成果を出して、一歩一歩飛躍していく姿を皆さんにお見せしたいです。失敗を恐れずに楽しんで、どんな環境の中でも自分のベストを尽くす。私のモットーでもある“負けても負けても諦めない”という気持ちで全力で頑張ります!」
野田樹潤 JUJU NODA
2006年2月2日生まれ、東京都出身。元F1レーサーである父親の影響で3歳からカートに乗り始め、4歳でカートレースデビュー。9歳のときにFIA-F4選手権に世界最年少出場を果たす。2020年にさらなるステップアップを求めて家族でヨーロッパに拠点を移す。昨季はF3規格のレースで女性として史上初めてシリーズチャンピオンに輝く。今季はヨーロッパのビッグフォーミュラレース「BOSS GP」と「全日本スーパーフォーミュラ選手権」に史上最年少かつ初の日本人女性ドライバーとしての参戦が決定。
Photo:Shintaro Tohyama Stylist:Rinako Yamane Interview & Text:Sayako Ono Composition:Kai Tokuhara
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