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様々な競技で活躍する注目のアスリートにインタビュー。今回は、プロ野球選手の秋広優人さん。
BASEBALL
― ベースボール ―
「長く巨人を引っ張る選手に
なるために、日々しっかりと
野球と向き合っていきたい」
規格外。目下売り出し中の読売ジャイアンツの高卒3年目、秋広優人にはそんな表現がぴったりハマる。身長200㎝の立派な体躯が備えるのは、打球を軽々とスタンドへ運ぶパワーだけじゃない。長いリーチを生かして外角低めのボールを巧みにさばく技術も秀逸だし、ベースランや守備におけるストライドの大きな走りも躍動的で華がある。これまでのプロ野球であまり類を見ない、柔と剛の“ハイブリッド”のようなプレーヤーだ。
「昨季一度も上がれなかった1軍で、今年ここまで試合に出られるとは自分でも想像以上です。課題だらけですが、周りの方々に助けていただきながら充実したシーズンを送れています」
プロ入り後2年間は2軍でじっくり体づくりと技術向上に努めた。鍛錬の日々を経て、一気にブレイクを果たした要因を本人はこう捉える。
「2軍の試合でたくさん打席に立たせていただいた中で、監督、コーチ、先輩方から様々なアドバイスをいただきましたが、それをただ聞くだけではなく自分の頭でしっかり考え、選択しながら実践することが何より大事だと学びました。オフには(中田)翔さんの自主トレに同行させていただいてすごく引き出しが増えましたし、体を大きくすることもできました」
今や3番や5番、つまり打線の軸であるクリーンアップを打つことも。岡本和真に坂本勇人、中田翔、丸佳浩ら、並み居る強打者に囲まれ、この9月に21歳を迎える若者が臆することなく才能を発揮する姿は実に爽快だ。
「(打順の)前も後ろもすごい選手ばかりなので、逆に気負わず、次につなぐ意識で打席に立つことができているのだと思います。少し前に10打席凡退が続いたこともありましたが、先輩方から『この先はそれどころじゃないことがもっといっぱいあるよ』とハッパをかけられたことで切り替えられました」
背番号は「55」。言わずもがな、巨人軍きってのレジェンドがかつて背負った特別なナンバーである。
「決して軽い番号でないことは自分でも常に意識しています。松井秀喜さんからも、直接『体に気をつけてこれからのジャイアンツを背負っていってほしい』と言葉をかけていただいてより一層身が引き締まりました。自分は1軍で出始めたばかりなので大それた目標を言える立場ではありませんが、この先十何年とフル出場を続けられる選手をめざして頑張りたいです」
PROFILE
秋広優人/プロ野球(読売ジャイアンツ)
2002年9月17日生まれ、千葉県船橋市出身。200cm・95kg。右投げ左打ち、内野手・外野手。背番号55。二松学舎大付属高校から、2020年のドラフト会議で5位指名を受けて読売ジャイアンツに入団。プロ入り2年間は1軍出場がルーキーシーズンの1試合のみだったが、3年目の今季は開幕こそ2軍スタートだったものの1軍昇格後の4月22日にプロ入り初安打、同29日には東京ドームで初本塁打を記録。以降もスタメン出場を続け、ここまで打率.288、10本塁打、37打点(8月21日時点)の好成績を残している。
Photo:Jun Okada[bNm] Composition & Text:Kai Tokuhara
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