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様々な競技で活躍する注目のアスリートにインタビュー。今回はラグビー・リーグワン(コベルコ神戸スティーラーズ)の李 承信さん。
RUGBY
―ラグビー―
「神戸でも日本代表でも、
チームを勝ちに導けるリーダーになりたい」
あの熱狂のラグビーW杯日本大会から早くも4年。フランス大会が今年9月に迫る中、日本の次世代を担う司令塔として注目を集めるのがコベルコ神戸スティーラーズの李承信だ。
「前回のW杯は大学1年の頃。テレビで観ながら心の底から『いつかこの舞台に立ちたい』と思いました。当時は4年後に狙える立ち位置にいられるなんて想像もしなかったですが、本大会のメンバーに選ばれるように、また出場できれば期待以上の結果を残せるように準備していきたいです」
日本代表デビューは昨年6月。大阪朝鮮高級学校出身者として、歴史上初めて“桜のジャージ”に袖を通した。
「ご存じのようにラグビー日本代表には僕以外にも様々な国籍の選手がいます。みんながみんな各々の国のルーツや文化に高い関心を持っているので、すごく居心地がいいですね。やはりラグビーにおけるナショナルチームは特別な魅力があるなと実感しています」
現在22歳。若くして大きな飛躍を遂げている李だが、決して順風満帆なキャリアではなかった。2020年には大学を1年で中退してニュージーランドへの武者修行を決めるも、コロナ禍によって渡航中止を余儀なくされた。
「プロラグビー選手になるという夢に向けてもっと貪欲になりたかったですし、一度決めたら頑固なタイプなので迷いはなかったです。渡航できなくなった当初は先が見えないキツさを味わいましたが、それでも後悔より進む道を正解に導きたい思いが強かったです」
幸いにも幼少から地元のクラブとしてなじみがあったコベルコ神戸スティーラーズから声がかかり、逆に同世代の選手たちよりもひと足早くリーグワンデビュー。昨年から副主将も務める。
「次の世代が神戸を引っ張っていかないといけない。そんなチームのメッセージをひしひしと感じながら、立場が自分を成長させてくれると信じて伝統あるクラブで真のリーダーになりたいです。またクラブでも代表でも若さはポジティブでしかないと思っていますので、失敗やプレッシャーを恐れずどんどんチャレンジしていきたい」
そんな彼の成長に拍車をかけているのが、パイオニアとしての矜持だ。
「在日コリアンであることが自分のアイデンティティ。頑張れば頑張るほど子どもたちの未来が開けていくように、他の人にはないものを背負ってプレーできることに誇りを感じながら、ラグビー選手として完全燃焼したいです」
PROFILE
李 承信(り すんしん)
2001年1月13日生まれ、兵庫県神戸市出身。176㎝・85㎏。4歳でラグビーを始め、大阪朝鮮高級学校時代に全国高校ラグビーに出場、高校日本代表にも選出。2019年に名門・帝京大学に進学するも、1年で中退してニュージーランド留学を決意。しかしコロナ禍によって渡航がかなわず、コベルコ神戸スティーラーズ(※当時は神戸製鋼コベルコスティーラーズ)に加入。2022年に日本代表デビュー。ポジションはSO(スタンドオフ)・CTB(センター)で、とくにパス、キック、ランにおいて高いスキルを備える。
Photo, Composition & Text:Kai Tokuhara
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