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様々な競技で活躍する注目のアスリートにインタビュー。今回は、スノーボードの荻原大翔さん。
SNOWBOARDING
―スノーボード―
「誰よりも自分の滑りを研究している。
そこが強みだと思っています」
3年後、ミラノ・コルティナ五輪で新たなスノーボードヒーローが誕生するかもしれない。わずか9歳で3回転スピン「1080」をメイクした経歴を持つ荻原大翔がその人だ。底知れないポテンシャルを秘めた17歳が、ビッグエアとスロープスタイルの2種目でじわじわと存在感を高めている。
「いちばん自信があります」という圧倒的な回転スピードを武器に、昨年は前人未到の6回転ジャンプ「バックサイドクイントコーク2160」を成功させて世界を驚かせた。
「30mくらい飛ぶので練習したことがなくて、セッションイベントでぶっつけ本番だったんですけど、『俺がやるしかないな』って。5回トライして1回しか成功していないので完成度はまだまだですが、いま挑戦中の『スイッチバックサイド1980』とあわせて自分の決め技にしていきたい。その2つの成功率を上げられたら最強だと思うので。みんな躊躇(ちゅうちょ)する技にも迷わずチャレンジできる。そこが自分の強みだと思いますし、他の人よりも技の習得は早い気はしています」
みなぎる自信は、彼が秘めた飽くなき探究心によって培われている。
「W杯などで海外を転戦しているとき以外は学校があるので基本的にスノーボードの練習は休日だけなのですが、平日の滑れない時間はほとんど動画を観ながら自分の滑りをチェックしています。そこでイメージを膨らませながら技のポイントを完全に頭にたたき込む。それがスキルアップのための欠かせない習慣になっているんです」
この先ビッグトーナメントでの飛躍が期待されているが、浮き足立つことなく、明確なビジョンのもと着実にステップアップしていくつもりだ。
「今年はW杯の優勝、ゆくゆくはX Gamesで金メダルを取りたいです。そして五輪。次の大会はコンディション的にも自分のマックスを出せそうな20歳で迎えるので、そこにしっかり照準を合わせていきたいですね」
「自分からスノーボードを取ったら何も残らない」と語る、生粋の“純正スノーボーダー”の今後に注目したい。
「みんな同じことをやっていても面白くないし、誰かがカッコイイからマネしようっていうのも違う。どんな大会でも『自分のスタイル』で勝ち続けられるライダーをめざしています」
PROFILE
荻原大翔(おぎわら ひろと)
2005年7月19日生まれ、茨城県牛久市出身。3歳の頃にスノーボードを始め、9歳で「バックサイド1080」(※背面方向への3回転スピン)を成功させて注目を集める。その後2017年に12歳でプロデビュー。2022年にはトップライダーが集結したスイスでのセッションイベント「THE NINES」で縦5回転と横6回転を同時に回す大技「バックサイドクイントコーク2160」を世界で初めてメイク。今年1月にはW杯スロープスタイル開幕戦で自己最高の4位に入賞。
Photos:Takemi Yabuki[W] Composition & Text:Kai Tokuhara 撮影協力:星野リゾート アルツ磐梯
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