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様々な競技で活躍する注目のアスリートにインタビュー。今回は、パルクールの朝倉聖さん。
PARKOUR
―パルクール―
「自分らしさを追求して、
日本のパルクール界の
シンボルになりたい」
走る、跳ぶ、登る。それらの「移動」における基本動作をブラッシュアップし、運動能力を高めていくフランス発祥のスポーツ「パルクール」。元はトレーニングメソッドとして発展してきたが、そのアクロバティックなトリックや芸術性によって近年はストリートパフォーマンスやアクションスポーツとして飛躍的に人気を高めている。朝倉聖がそんなパルクールと出会ったのは中学2年の頃。たまたまテレビで観たCMに強烈なインパクトを受けたそうだ。
「当時は美術部に所属しながら書道などもやっていて、そんな中でもっと自分自身を表現できるものがないかなと模索していたのですが、ZENさん(※日本初のプロパルクールアスリート)が出演されていたパソコンのCMを見て『こういうふうに体全体を使って表現するものがあるんだ』と、スポーツというだけでなくアート的な側面にも惹(ひ)かれたのが最初ですね」
そこから、ひとり公園などで練習を積みながらメキメキと実力をつけ、高校卒業後からプロとしてのキャリアをスタート。今では前述のZENらとともに世界のパルクールシーンでも注目を集めるトップアスリートになった。
「僕はルールや他の人のことを考えて動くのが苦手ですし、ボールを持つと運動音痴になるのですが(笑)、パルクールは体ひとつで表現できる自由さが自分にフィットしてくれたのかなと。大会で結果を残すことにも重点を置きつつ、それ以上に個性や得意な動きを追求していくスタイルをどんどん磨いていきたいですね」
期待されていた次のパリ五輪での競技開催は実現しなかったが、2028年のロサンゼルス五輪での種目採用を視野に入れながら高いモチベーションで日々の鍛錬に臨んでいる。
「五輪で金メダルをとって、スケボーの堀米雄斗選手やスノーボードの平野歩夢選手のように日本のパルクール界のシンボルになりたい。また、知名度が高まっているからこそ、他人に迷惑のかかる無謀な挑戦をよしとしないパルクールのコアな理念もしっかり発信していきたいです」
PROFILE
朝倉 聖 SEI ASAKURA
1999年3月27日生まれ、神奈川県出身。13歳でパルクールと出会って以来、独学でスキルを磨き、高校卒業後にパルクール集団「monsterpk crew」に加入。場所を選ばずどんな場所でもパルクールを魅せる独自のスタイル“SAINTKOUR”を追求しながら、2019年にドイツで開催された世界大会で日本人男子初の優勝を飾り、同年の日本選手権でも初代王者に輝く。今年4月、日本におけるパルクールの第一人者、ZEN氏をスーパーバイザーに迎えて発足した「TOKIOインカラミ パルクールチーム」に所属。Instagramアカウントは@saintkour。
Photo:Yuichi Sugita Composition & Text:Kai Tokuhara
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