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もう令和になって5年。徐々に多様性を尊重し合おうという空気ができ、様々なことが変わりつつある……はずなのに! まだまだ「なぜそれを当たり前だと思っている?」「考え方をこちらに押し付けてこないで!」「その言葉、まだ使う?」など、多様性の尊重とかけ離れた場面に出くわして、がっかりすることも多い。
そんながっかりを共有し、「それ嫌だよねなんとかしてほしいよね」と共感しあうとともに、自分がやってしまっているのではないか……と振り返るため、読者からモヤッとしたエピソードを収集。「まだそんなやついんの?」と思うようなものから、「これは自分も言ってしまうかもしれない」と気が引き締まるもので様々なものが集まった。
まずは恋人やパートナーなどの言動や、「恋愛関連」の話で感じた違和感からご紹介。 同じ時代を同世代として生きていても、意識も気になるポイントにも差があることがわかった!
恋愛での価値観問題①
男がおごって引っ張って……俺たち大変すぎない?
「デート代はすべて男が払うと思っているところ」(男性・25歳)
「女性の多くは、結婚後は夫の収入のみで生活することができなければならないと思っていること」(男性・32歳)
こちらは男性から多かった意見。割り勘も当たり前の時代ではあるものの、支払いは男性の役割だと思っている女性もまだまだいる。やむを得ない事情から求められるならまだしも、ちょっとしたデートでも男性にすべての金銭的負担がかかるのは、こちらとしてもありえない話なんですが……?
ただし、このような意見も届いている。
「割り勘がいいと言ってるのに、デートは男性がおごるもの、と男性側に強い思想があって強行された」(その他・29歳)
「『パートナーがいるから、男だし稼がなければならないんだ』と、男≒大黒柱の考え方が強い人にはモヤッとする」(その他・24歳)
その役割分担に「?」と思っている人もいる。もしかしたら、相手は求めていないかもしれない……という視点も必要そうだ。
恋愛での価値観問題②
「女性=家事してくれる」は役割を押し付けすぎ!
「元カレと同棲の話が出ていたとき、元カレが男友達と『これで俺もラクできるわ~。家事とかなくなるし』と話していた」(女性・21歳)
「ひとり暮らしのときは自分で料理や家事をしていた男性も、結婚や同棲をすると女性にばかり家事や料理をさせていてそれが当然という感じ。そのせいで周りの女友達が疲れ果てているので、せめてお互い半々にする意識があったらよさそうだなと思う」(その他・29歳)
特に女性から多くあがっていた「家事=女性の役割」という考えの問題。「仕事(お金)→男性」に対し「家事→女性」というイメージはまだ健在のよう。「俺はそんな考え方ないよ!」という読者のほうが多いとは思うが、まだまだその考え方を持つ男性がいるのも事実としてあるようだ。
共働きが当たり前の時代。仕事も家事も話し合いのもと分担していきたいと考えている女性もかなり多い。これ系の発言をされると一発アウトという場合もあるので、特に注意が必要なポイントだ。しっかり話し合い、納得のもとでなければ「女性が家事をひとりでやる/多くやる」はありえないと心得ておこう。もちろん「男性が仕事をする/お金を出す」も同様だが……。
恋愛での価値観問題③
“男らしい”、“女らしい”って言われても……。
「もっと男らしくオラオラしたほうがモテるよと先輩に言われたとき」(男性・19歳)
「好きなタイプを書くところに『男らしい人』『女の子らしい人』っていうのを見たとき。今でもこんなこと書く人いるんだと感じました」(男性・23歳)
と、“男らしい” “女らしい”というワードに引っかかる人もしばしば。まず、オラオラしていない男性もいれば、オラオラしている女性もいて、どの人を好きになるかは好みの話なので余計なお世話。そして、性別によって安易に“男らしい”、“女らしい”を定義して型にはめるのも余計なお世話だ。
好みのタイプは、その“男らしい”や“女らしい”とは何かを考えて、“決断力がある人”、“気配りができる優しい人”のように、具体的な言葉にしておきたいところ。好みのタイプは個人の趣味の話なので、どのような性格をパートナーに求めるかは自由。けれど、そこに“男らしい” “女らしい”という言葉を使うことは、今となっては「?」な発言になりつつあるのは覚えておきたい。
恋愛での価値観問題④
露出度が高いファッションの女性=誘っている、ではない!
「真夏の日、暑いので露出度が高いコーデをしていたのですが、その日に会った元カレが『ヤリたいから露出度が高い』と勘違いして結果的に気まずくなりました。露出度高い=ヤリたいじゃないから!」(女性・21歳)
これ、絶対に勘違いしてはいけない問題です。露出度が高いのは、本人のファッションの好みや気温との兼ね合いの場合がかなりある。男性だって、暑けりゃタンクトップ、ショートパンツ、ビーサンになることもある。それと同じ。
好きなコーデ・快適なコーデをしているだけで、誘っていると思われて手を出されると、深く傷ついて取返しのつかない事態になることもある。「露出度が高いからOKなんだ!」という認識は捨てよう。男女ともに、変な勘違いをされずに好きな服を着られる自由があるべき。
恋愛での価値観問題⑤
友達との恋愛トークに配慮がなさすぎるのもNG
「バイト先の社員がゲイの友人に『彼女作らねーの?』としつこく聞いているのを見ると、嫌な気持ちになります」(女性・21歳)
「『彼氏作らないの?』と、恋愛対象が男性だという前提で話をされる」(その他・29歳)
という意見も。雑談で軽く発してしまいそうなこの言葉も、相手への想像力が欠けた一言になりうる。相手の性的指向や恋愛的指向によっては、傷つけてしまう可能性がかなりある言葉だ。その友達は、異性愛者ではないかもしれない。恋愛をする欲求自体がない人かもしれない。
そもそもかなり仲のいい相手でなければ、その人の恋愛に首を突っ込むこと自体、デリカシーがないことだ、という認識を持っておこう。
恋愛話は、相手が話してくれることだけを聞く姿勢も大事。「自分に話していないこともあるかもしれない」と心にとどめておくとよさそうだ。
<まとめ>
“決めつけない”ことが何より大切。相手をひとりの人間として見つめて、理解しよう
「男だからお金を払う」「女だから料理をする」「露出度の高い女性は誘っている」「ひとり身の男性は彼女を欲しがっている」……。今回紹介したエピソードはすべて、決めつけからスタートしている。
恋愛はだれかに惹かれること。対象が異性であってもそこに「男だから」「女だから」という固定観念にとらわれた考えはないほうがいい。相手を「人間」として好きになり、魅力を感じればそれだけでいい話。凝り固まった社会通念に足を取られて、本質を見逃したくはない。
次回は恋愛以外の、友人関係や会社、社会に対する「その価値観ちょっと待った!」エピソードを紹介します。自分の価値観を振り返りながら読んでみるのもいいかも。
Text : Miki Higashi Illustrations : Wakana Sato
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