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昨年春、宮沢氷魚がインカ王・アタウアルパという大役に挑んだものの、新型コロナウィルスの影響で、期間途中で上演中止となってしまった舞台『ピサロ』。この作品がアンコール公演として帰ってくる! 5月15日(土)の初日を前に、初日前会見と公開ゲネプロが行われ、主演の渡辺謙さんと、我らが宮沢氷魚が登壇した。
宮沢は、エキゾティックなインカ王の衣装で登場。「パワーアップして、去年よりもエネルギーのある作品を届けようと取り組んで来て、無事初日を迎えることができます。体調管理もしっかりして、皆さんに素敵な作品を届けられるようにがんばります。」と力強く挨拶した。
止まっていた時計が動き出した
昨年の、35公演を残しての中止については「僕の中でシャッターが降りたような状態だった」と渡辺さん。「1年ぶりにみんなと会って稽古を始めたときに、時計が動き始めた感じがして、自分の中の秒針が止まっていたことに気づいた。こんな時であっても、皆さんに演劇というものをお届けしたい、という思いで3週間、丁寧に走り抜けたい。」と力を込めた。
1年間の成長が実感できる瞬間も
一方、宮沢は「去年、中止が決まった時に、謙さんが『また会いましょう』とみんなに言ってくれて、これは間違いなくやるんだと、信じて来られました。中止は悔しくて、それをぶつけるところもなかったけれども、その言葉で前向きになれました。その作品を上演できることをとても幸せに思っています。また、“再演”というものが初めてなので、また同じ役を演じることによって、全然違う景色が見えて来たり、自分の成長を、少しですけども感じることもできて、作品としても個人としても、成長した姿を披露できるのを光栄に思っています。」と喜びを語った。
その言葉に渡辺さんから「かなり成長しています。」と賛辞。「プレッシャーです。」と返しながら笑顔の宮沢だった。
最果ての地の過酷な物語
会見の後には、公開ゲネプロが上演された。『ピサロ』は、16世紀のスペインによるインカ征服の実話を元にした物語。渡辺さん演じるスペインの将軍ピサロが、インカ王アタウアルパと対峙する。
神秘的で鮮烈なプロローグ。
気品ある若き王を堂々と演じる宮沢氷魚。
征服者ピサロとアタウアルパが対決する。
若手は勢いよく、自由に、力強く!
「去年は先輩方について行くのでいっぱいいっぱいだったときもあったし、自分としてももっとできたのに、っていう思いもあった。1年の間にいろんな作品を経験して、若手がパワーアップして、先輩方に負けない勢いや力を身に着けて、この作品に挑んでいます。」と宮沢。「特に、僕と大鶴佐助くんは、謙さんとのシーンがとても多いので、謙さんに負けないように、勢いよく、自由に、力強くやっていきたい。」
親友・大鶴佐助さんとの共演
2018年の『豊饒の海』、昨年の2人芝居『ボクの穴、彼の穴。』などで共演を重ねている大鶴佐助さんも出演。宮沢とプライベートでも親友だという大鶴さんは、通訳として、ピサロとアタウアルパの会話を取り次ぐ重要な役だ。
中央がマルティン役の大鶴佐助さん。
「やった者でないとわからない」
アタウアルパは、実は、36年前の『ピサロ』日本初演の際に渡辺さんが演じた役。宮沢は、渡辺さんからアドバイスを受けながら、自分にしかできないアタウアルパを演じようと心がけているとのこと。
こちらは渡辺さんが「キンキラキン」と表現した、王の登場シーン。「太陽の子」として崇拝される絶対的な存在感を示す場面で「あのシーンの感覚はやった者しかわからない」と話す渡辺さんに、宮沢も「あれは何回やっても鳥肌が立ちます」と同意。観る者まで鳥肌モノの壮麗なクライマックスシーンのひとつだ。
身体表現の美しさも見せ場に
演出は、英国ロイヤル・バレエで長く活躍し、ダイナミックで巧みな身体表現に定評のあるウィル・タケット氏。「ウィルの演出は本当に美しく、特にインカ側は、踊りやちょっとしたアクションなど、体で表現するシーンが多く、視覚的にも楽しめる見せ場になっていて、彼の演出の素晴らしさが際立っているなと思います。」と宮沢。
征服者と人質という立場でありながら、ピサロとアタウアルパはやがて親交を深めていく。アタウアルパの気高いまでの純粋さがピサロに与えた変化とは・・・?
「一人の感染者も出さずに千秋楽を」
3日に1度のPCR検査をしながら、本番に向けてひた走って来た“ピサロチーム”。宮沢からは「皆さんに劇場に足を運んでいただくことの覚悟と責任感を各々持ってやって来ました。僕たちの1年間の思いと努力を、一人でも多くの方にご覧いただけたら嬉しいなと思っています。」とメッセージ。渡辺さんは「演劇を見るために足を運んでいただくことについて胸の痛みもあるのですが、それでも僕たちは届けたいものがある、という思いを強く、全員で持っています。くれぐれも用心しながら足を運んでいただければ。」と、1年ぶりの再演にかける熱い思いを語った。
公演情報
PARCO PRODUCE 2021『ピサロ』
日程:2021年5月15日(土)~6月6日(日)
会場:PARCO劇場
作:ピーター・シェーファー
翻訳:伊丹十三
演出:ウィル・タケット
出演:渡辺謙 宮沢氷魚 栗原英雄 大鶴佐助 首藤康之 外山誠二 長谷川初範 ほか
※公演スケジュールは変更になる場合があります。感染症拡大予防に対する取り組みなど、最新情報は下記から
PARCO劇場公式サイト『パルコステージ』
Photo:Yumi Yamasaki
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