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REVIEW
BOOK
『正欲』
朝井リョウ
新潮社/¥1,870
不登校の子どもがYouTuberになると言いだし戸惑う検事。誰にも話せない秘密を抱えて地方の寝具店で働く30歳手前の女性。男性からの性的な視線に嫌悪感を抱く女子大学生。何の接点もない3人がやがてとある事件に関わることになる。多様性の尊重、ダイバーシティという耳当たりのいい言葉に覆い隠された、「欲望」をめぐる物語。
『きんげんだもの』
水野しず
幻冬舎/¥1,540
書店にずらりと並んだ「名言集」にもやもやを感じたことはないですか? 「おにぎりの具は、何を入れてもいい だっておにぎりなんだから」など、名言風の言葉を、味のある筆文字とイラストで表現。著者は1988年生まれのイラストレーター/コンセプトクリエイター。エッセイでは、「普通」を疑う独特なものの見方が明かされている。
『いいとしを』
オカヤイヅミ
KADOKAWA/¥1,320
灰田は42歳の独身男性。母が亡くなり、ひとり残された父と同居するため実家に帰ることに。恋人に去られ、仕事もいまひとつパッとしないけれど、一緒に暮らすことで苦手だった父との関係が少しずつ変わっていく。シンプルな線で描かれた絵柄と、実感のこもった生活描写から、平凡に生きることの価値がじわじわと伝わってくる。
MUSIC
Novelbright
『開幕宣言』
路上ライヴの動画が拡散したことをきっかけに人気が広がり、今やチケットは入手困難になるほどの勢いを持つバンドのメジャー第1弾。TV番組のテーマ曲やCMソングなど、これまで耳にしたことのある楽曲も網羅し、時代の最先端を疾走する彼らの今を感じられる内容。特に、口笛を駆使した表現力豊かなヴォーカルに圧倒される全13曲だ。
(ユニバーサルシグマ) 発売中
Night Tempo
『Night Tempo presents ザ・昭和アイドル・グルーヴ』
1980年代を中心とした日本のポップスを独自の解釈で、ダンサブルにリエディット。海外にも「シティポップ」の魅力を発信し、フューチャーファンクというジャンルを生んだ韓国発DJのコンピレーションCD。斉藤由貴、工藤静香を筆頭に「昭和」の締めくくりを彩ったポップシンガーたちのまとった輝きを、現代に鮮やかに蘇(よみがえ)らせた。
(ポニーキャニオン) 5月19日発売
マカロニえんぴつ
『はしりがき』EP
ひたむきに今を生きる姿を、伸びやかな歌声と、キーボードなど多彩な音色を駆使した壮大なバンドサウンドで表現している、注目4人組。『映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』主題歌であるタイトルトラックを含む、全5曲からなる本作は、鼻のあたりをツンとさせるような甘酸っぱい青春が味わえる仕上がりになっている。
(トイズファクトリー) 発売中
MOVIE
『ファーザー』
『羊たちの沈黙』でアカデミー賞に輝いた名優アンソニー・ホプキンスが、83歳にして挑む集大成。日本でも橋爪功主演で上演された傑作舞台劇の映画化だ。ロンドンでひとり暮らしを送る老いた父と、娘の交流。薄れゆく記憶につれて、虚実の境界がぐらつく展開に観る者をぐいぐい引き込む。これぞ芝居の神髄。本物の役者だけが持つ至高の芸を味わえる逸品だ。
●5月14日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
©NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
『グリーンランド ―地球最後の2日間―』
突然出現した彗星(すいせい)の破片が隕石(いんせき)となり地球に衝突! 世界滅亡の危機を描くディザスター超大作の中でも、これは徹底したリアル志向で一線を画す。ジェラルド・バトラーが演じるのは建築技師のお父さん。無敵のヒーローではなく、市井の一般生活者が家族のために必死のサバイバルを繰り広げる。戦慄(せんりつ)の終末アクション。果たして人類は生き残ることができるか!?
●6月4日より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
©2020 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
『HOKUSAI』
浮世絵を代表する天才絵師、葛飾北斎。幕府によって表現の自由を奪われていた江戸時代、彼はいかに独創的な芸術を生み出してきたのか。歴史的資料をもとにオリジナルストーリーが紡がれる。北斎の若き日を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じるW主演。豪華キャスト陣に彩られつつ、ひたすら自分の道を貫いた反骨のアーティストの人生が華麗によみがえる!
●5月28日より、全国公開
©2021 HOKUSAI MOVIE
[BOOK]Text:Kenji Takazawa
[MUSIC]Text:Takahisa Matsunaga
[MOVIE]Text:Naoto Mori
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