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BOOK
RYO FUKAWA
ふかわりょう
1974年、神奈川県生まれ。大学在学中の94年にお笑い芸人としてデビュー。テレビMCやコメンテーターを務めるほか、ROCKETMAN名義でDJとしても活躍。作詞・作曲も手がける。著書にアイスランドの旅エッセイ『風とマシュマロの国』ほか。
「世の中は足を止めずに歩いていっちゃう」
絶妙なタイトルだ。こんなふうに感じたことがある人は意外と多いかも。
「タイトルとして考えていたのではなく、キャッチコピーとして出したら、出版社からタイトルにと言われたんです。それまで世間と足並みがそろってないと言語化していなかった」
書き下ろしのエッセイ集である。知らないうちに胸の奥底にたまっていた「よどみみたいなもの」をちょっとずつすくい上げて書いたという。たとえば三軒茶屋を三茶と略せない、とか。
「足を止めて考えたい。でも世の中は足を止めずに歩いていっちゃう。目を向けたことが周りとは違うという経験は、僕だけじゃないと思いますね」
ほかに、先輩芸人とのエピソード、旅、音楽活動など話題豊富だ。
「まず売れ筋のテーマをラインナップするんですけど、書いているうちに軸がちょっとずれる。そしたら並べ直す。そのときはDJの感覚ですね」
ふかわさんにとって、笑いとともに音楽が重要なことが伝わってくる。
「テーマは“自分をさらけ出す”。これまで出したことがなかったから。書いてみたら思った以上に楽しかった」
世間との隔たりを悲観も楽観もしていない、とふかわさんは言う。ただここに隔たりがあるね、と書いただけだと。そのスタンスが心地いい。
『世の中と足並みがそろわない』
新潮社/¥1,350
○○放題というサービスを「放題地獄」と呼び、女子高生とつき合う教育実習生は絶対に許せない、など流しがちだけどよく考えるとおかしなことを鋭く考察。ときにはクスッとしたり、ほろりとしたり。多彩なエッセイ。
Photo:Naoto Usami Interview & Text:Kenji Takazawa
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