▼ WPの本文 ▼

「言葉と演出に“ぶん殴られる〟!
アツすぎる演劇漫画」

『CHANGE THE WORLD』
田川とまた(小学館)
小学館アプリ『マンガワン』で隔週月曜に連載中。劇作家志望の主人公と天才俳優のヒロインによる、高校演劇の物語。演劇経験者でもある作者ならではのリアリティも魅力。3月12日(水)に単行本1巻が発売予定。
マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ
先日、友人が出演する演劇を観ました。狭い舞台を無限大の可能性がある“宇宙”のような空間に変える役者って、本当にすごいなと。僕も漫才中に女性などのキャラクターを演じることがありますが、レベルが違いすぎて参考になりませんでした(笑)。
今回紹介する『CHANGE THE WORLD』も、演劇がテーマの作品です。主人公は劇作家志望の男子高校生・浜野陽太。入学式の日にクラスメートの前で「演劇でこの世界を一発ぶん殴ってやりたい」と宣言するような真っすぐな人間で、そのアツさはまるで“ルフィ”のよう。彼とともに演劇部で活動するクラスメートの天才役者・村岡茉莉は圧倒的なルックスと演技力が武器。表情や台詞回しだけで彼女の才能がビシバシと伝わってきますが、演劇の知識がない読者にそう思わせるって実は難しいことで、作者の高い技術も感じます。
登場人物の魅力を引き立てているのが、丁寧な絵のタッチ。例えば黒髪のロングヘアってベタ塗り(隙間なく塗りつぶすこと)で描くこともあると思うんですけど、本作ではハイライトを入れたり、細かな線をたくさん重ねている。手間をちゃんとかけているから、髪の毛に躍動感が宿り、人物が生き生きと見えます。それと、漫画ならではの演出も最高! 作中で劇が始まるとき、演目の名前が大きな文字でドンと表示されるコマは気分が高まりますね。余白や台詞のないシーンで絶妙な“間”を表現したりと、会話の臨場感にも引き込まれます。
技術の高さを語るとキリがないですが、一番の見どころは村岡のような最強の仲間が集まっていく『ONE PIECE』の“ウォーターセブン編”みたいな展開。もし演劇に興味がなくても、何かに情熱を持っている人ならきっと刺さる作品だと思います。

©田川とまた/小学館
クラスメート全員の前で、演劇への情熱を語る主人公・浜野陽太。

Nakatani
2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。
Text:Koki Yamanashi
▲ WPの本文 ▲