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「“キモダチ”女子高生による、
変態的青春ラブコメ」

『霧尾ファンクラブ』全6巻
地球のお魚ぽんちゃん(実業之日本社)
WEBサイト『COMICリュエル&COMICジャルダン』にて連載され、2024年8月に完結。友人でもあり気になるクラスメートの“霧尾くん”を巡るライバルでもある女子高生2人の日常を描く、ラブコメディ。
マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ
お笑い芸人の中谷です。幼馴染(おさななじ)みの阪本とマユリカというコンビで活動しています。2023年のM-1で“キモダチ”と呼ばれたのをご存じの人もいるかもしれません。僕にとってお笑いと同じくらい大切なのが漫画。少年誌は今でも毎週ひととおり読んでいて、過去には新人賞へ応募したことも。
僕が漫画と漫才に惹(ひ)かれるのは、どちらも日本で独自に発展した“伝統芸能”的な部分があるところ。特に、研ぎ澄まされすぎて変態的なレベルに達したものにグッときます。この『霧尾ファンクラブ』もそんな作品で、女子高生の藍美(あいみ)と波(なみ)の日常を描いたラブコメものです。二人が同じクラスの霧尾くんをこっそり推す物語なのですが、オリジナルの「涙なめなめソング」を作ったり、霧尾くんを夢に出すための儀式をしたりと、二人のアプローチがとにかく変態的(笑)。下手すると読者が引きかねないけど、妙にクセになるし、どこか共感できる部分まである。あんばいが絶妙です。
作者の技術も見どころですね。まず“カメラワーク”がうまい! 会話劇は絵面が単調になりがちですが、顔のアップや引きの構図がバランスよく使われて飽きが来ない。また、黒のベタ塗りが少なくて絵のタッチも繊細だから、セリフが少し下品でも、コマからは清潔感すら漂うんです。序盤のギャグが伏線だったり、シリアスな展開があったりと、綿密なストーリー展開も見事!
藍美と波のやりとりは確かにキモいけど、僕も阪本と一緒に推しのアイドルとの架空エピソードを妄想したりしていたから、ちょっぴり通じる部分もあって。王道のラブコメはキラキラしているけど、実際の青春って多少の気持ち悪さもあるじゃないですか。そんなリアルな甘酸っぱさを思い出せるのが、この作品の最大の魅力ですね。

©地球のお魚ぽんちゃん/実業之日本社
「霧尾くんの髪の毛入りスープを飲めるか」を語る藍美(右)と波(左)。

Nakatani
2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。
Text:Koki Yamanashi
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