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今年１月に開催された、タイの人気俳優たちによる大規模コンサート「GMMTV FAN FEST 2025 LIVE in JAPAN」にともない、世界的に注目されるタイ俳優のインタビューが実現。３回にわたるスペシャル企画の第二弾に登場してくれたのは、Tay Tawan（テイ・タワン）& New Thitipom（ニュー・ティティプーン）。
“TayNew”の愛称で親しまれる二人は、2016年の『Kiss the Series』を皮切りに６作品でカップルを熱演。共演作の他にも、それぞれ個人で数多くの作品に出演してきたベテラン俳優ペアだ。バラエティ番組などでMCを務めたり、ファッション業界でも活躍したりと、多才なことでも知られる。
そんな二人には、ある共通点が。実はともに「タイの東大」といわれる名門チュラロンコン大学の卒業生で、さらにNewは同大学の大学院でMBAを習得。タイの芸能界きってのインテリペアと呼び名が高い。
インタビューでは、タイの俳優が学業を頑張る理由や、BL作品が社会問題を扱うことの意義、SNSとうまく付き合う方法、タイで同性婚が可決されたことなどをテーマに、二人の考えをじっくり聞いた。アクセントの効いたニットを着こなす二人の、メンズノンノ限定撮り下ろしカットとともにお届けする。
６作品でカップルを演じてきた
“ベテラン”ペア、Tay＆New
――2016年の『Kiss the Series』でドラマ初共演して以来、数々の作品で共演してきたお二人。MEN’S NON-NO初登場ということで、お互いを紹介し合ってください。
Tay 彼の名前はNew Thitipoom。エンタメ業界に入って約10年が経ちます。MC、俳優など幅広くこなし、ドラマの出演数も多いです。性格は、自由を愛する人。何かを強制されたり枠にはめられるのを嫌がります。エクササイズとスイーツが好き。色んな工具や機械の知識が豊富で、器用に使いこなします。
New （照れ笑いしながら）えー、彼はTay Tawanです。苗字はVihokratanaといいます。僕と同じく芸能活動歴は10年ほど。写真を撮ること、そしてカメラの収集が趣味です。MC、俳優、そしてインフルエンサーでもある。タイのエンターテイナーの中でも特段おしゃべりで、話し上手として知られています。健康をとても重視していて、体に良いものを積極的に取り入れる健康マニア。毎朝、健康に良いものを食べる習慣があって…
Tay プロテインにアーモンドミルク、チアシード、黒ゴマなどを混ぜて飲んでいます！ 今朝も飲んできました。
New 旅先にも必ず持って行く徹底ぶりです（笑）。
Tay 今回はイタリアでファンミーティングをしてから日本に来たので、旅の期間は20日以上。荷物が３個にもなってしまったのですが、その半分が健康食品です（笑）。
――お二人ともタイ屈指の名門校、チュラロンコン大学の卒業生。学生時代は、お互いを知っていましたか？
Tay お互いに名前は知っていたけれど、個人的に会話をするような間柄ではありませんでした。学部も違ったので。ちなみに僕は、経済学を専攻していました。
New 僕は工学部で学び、大学院ではMBAを取得しました。
――それぞれ大学在学中にデビューしていますが、芸能界を志したきっかけは？
New 暇な時間にお金を稼ぎたいな、と思って。スカウトしていただいたので、アルバイト感覚で始めました。
Tay 僕も芸能界に興味があったわけではないのですが、たまたま機会をいただいて音楽番組のMCをNewと一緒に務めることになりました。僕はもともとドラムメジャー（マーチングバンドの指揮者）をしていて、その姿を見た人が僕を事務所に推薦してくれたみたい。
――お二人とも、元々は芸能界に興味がなかったんですね！ タイでは、俳優としてデビューしてからも学業を熱心に全うする方がとても多いように感じます。芸能界で成功を掴んでも、なお学び続けるのはなぜでしょう？
Tay 僕の場合、芸能の仕事を始めた当初はずっと続ける気がなかった。だから勉強をやめようとは思いませんでした。
New タイでもX世代やY世代は、勉強を頑張る人、エンタメ業界で生きる人、という感じで分かれていました。でもZ世代やα世代は、SNSを使って芸能界と簡単に繋がれるし、個人の努力でインフルエンサーにだってなれる。生き方の選択肢が増えて、何かを諦めて一つの道を選ぶ必要がなくなったんだと思います。時代の流れに伴う意識の変化が、若い俳優が学業と仕事を両立しようとすることにつながっているのかな、と僕は思いました。
Tay （何度もうなずきながら）同感です！
タイのBLドラマは
今存在する社会問題も多く取り扱う
――タイのBLドラマの多くは、セクシャリティにもとづく差別に限らず、家族問題、格差社会、政治汚職といった社会問題を扱っています。社会問題を提起する作品がヒットすることによって、世間の問題意識が高まっていると感じることはありますか？
New おっしゃる通り、タイのBLシリーズは社会で実際に起きていることをテーマやストーリーに取り入れています。観客は作品を通じて「今こういうことが起きているんだ」と知ることができるし、その中には深い関心を抱く人もいるはずだから、問題意識の向上につながっていると僕は思います。
Tay 僕もそう思います。それぞれの生きる環境によって、自然と気づける問題もあれば、全く気づかない問題もある。ドラマの影響で具体的にどれくらい問題意識が高まっているかはわからないけれど、知識は確実に広まっているんじゃないかな。ドラマで問題提起することの利点は、本よりもわかりやすく、楽しみながら学べること。登場人物の視点を通じて問題を見ることで、視野も広がりますよね。
New ドラマを通じて知識が拡散されることは、とても良いことだと思う。一方で、外国の人の目にはどう映っているんだろう？と不安に感じることがあるんです。内容によっては、「タイではまだこんな問題を抱えているのか」と思われていないかな？って…。
――タイのBLドラマで描かれる社会問題は、日本を含む多くの国が抱える問題でもあり、だからこそ世界中の人の心に深く刺さるのだと想像します。
Tay そうですね。タイに限らず、外国の人の視野や知識が広がるきっかけになれば、僕らも嬉しいです。
Tay＆Newに聞く、
SNSとのちょうどいい付き合いかた
――お二人を筆頭に、タイの俳優はSNSのフォロワーが多く、影響力のあるインフルエンサーとしても注目されています。SNSでの発信をする際に、心がけていることや意識していることはありますか？
New 僕は自分らしさを残しつつも、見る人の手本になるような投稿を心がけています。見た人が真似する可能性があるから、真似されて困るようなことは投稿しない。まあ、僕は善良な人間なので、そんな心配いらないんですけどね（笑）。
Tay （Newさんの回答に苦笑いしながら）Newの言っていた「自分らしさ」と「見る人の手本になること」は、僕も心がけていること。そして、その２つのバランスにいつも頭を抱えています。僕自身が全く意図していなくても、僕の投稿をみた人が影響を受けることがある。あらゆる世代の人が見るから、未成年が見ても悪影響にならないか、など様々な方向から検討します。一方で、リスクを考えすぎると自分らしさがなくなってしまい、自分を偽っているようでモヤモヤすることも……。
――SNSは誰もが自由に発言できる環境であるがゆえに、悪意あるコメントの増加が日本では大きな問題になっています。お二人は、SNSのコメントで心を痛めた経験はありますか？ また、それらの声とどのように向き合っていますか？
New 心無いコメントは大量に届きますし、苦しんだ経験も数え切れないほどあります。僕はコメント全てに目を通し、この人の言っていることは正しいな、と感じたら自分の言動を改める。ただし事実と異なることや、ただの嫌がらせはスルーしています。対人関係でもミスコミュニケーションがあるように、SNSで自分の意図を100％そのまま理解してもらうのは不可能だと思うんです。だから僕自身も、コメント全てを受け止めない。そうやって割り切るようにしています。
Tay エンタメ業界にいる人間の誰しもが、多かれ少なかれ、SNSで心を痛めた経験があると思う。花束のような言葉を贈ってくれる人もいれば、石のような言葉を投げてくる人もいます。それらと向き合う方法は、Newの言った通り、自分にとって必要な言葉とそうでないものを振り分けるしかない。傷ついたとしても、自分を改めることにつながれば、その言葉は花束。きちんと精査しないと、そういった言葉を見逃してしまうので。
――心を痛めたときは、誰かに相談していますか？
New ひとりで向き合います。傷つくことが多すぎて、人に相談していたらキリがないから。
Tay 「自分のSNSのことなのだから自分で何とかしないと」と感じている人が多いと思う。
――SNSをやめたいと感じたことは……？
Tay それは一度もないです。傷つくことはあっても、自分の身に危険を感じたことはないし。
New 僕も同じく、ありません。SNSを通じて得られる喜びもたくさんありますから！
タイ版“チェリまほ”には
結末が２パターン用意されていた
――ここからは、お二人が共演したドラマ『CHERRY MAGIC 30』についてお話を伺います。本作は、日本の漫画原作ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のタイ版リメイク。原作やオリジナルドラマを観て、日本の働き方や職場環境、人間関係などについて、驚いたことはありましたか？
New 僕たちは子どもの頃からアニメや漫画を通じて日本文化に触れてきたので、特別驚いたことはなかったな。
Tay 日本で留学経験のある姉から日本の話をたくさん聞いていたから、僕も驚きはなかった。ただ、本作で日系企業に勤めるキャラクターを演じ、日本人の働きかたや仕事に対するストイックさはやっぱりレベルが違う！と改めて感じました。
――タイでは今年１月に同性婚が法制化され、同性カップルの結婚が可能になりました。本作のエンディングは、同性婚の法案が可決されれば主人公二人が結婚し、されなければ結婚しない、という２パターンが用意されていたそうですね。
New そうなんです。いつ結論が出るかわからなかったので、どちらのパターンも撮れるように準備していましたが、残念ながら法的な結婚はしないパターンで撮影しました。撮影には間に合わなかったけど、最終的に同性婚が認められたのでよかったです！
――もし今年撮影していたら、違う結末になっていたんですね。
Tay 原作漫画では二人が結婚するので、僕はタイ版でもきっと結婚すると思っていました。どんな場所で結婚するんだろう？ 何を着るのかな？ってワクワクしていたんですよ。撮影が今年だったら、みんなに囲まれて素敵な結婚式を挙げられたんだろうな。
――Tayさんはロエベの招待を受けて昨年のパリ・ファッションウィークを訪問しました。それぞれ、インスタグラムやイベントで様々なスタイルを披露していますが、最近とくにハマっているアイテムやテイストを教えてください。
Tay ハイウエスト！ ロエベのショーで履いたハイウエストのパンツがとても気に入って、それ以来ハマっています。
New うーん…難しいな…。
Tay それから、ユニセックスなデザイン。フェミニンなクロップド丈ジャケットをあえてメンズライクなスタイリングに合わせたり、テイストをミックスして楽しんでします。
New わかった！ オーバーサイズだ。スリムな服を着ると、筋肉が強調されてムチムチに見えてしまうんです。体のシルエットを隠しつつこなれた印象に仕上がるので、特にトップスはオーバーサイズばかり。重ね着も好きです。
Tay （私物の靴を指差して）このロエベのスエードのブーツは、最近のお気に入りアイテム。旅に出る前日にタイで買い、日本で初めて履きました！
New （笑いながら）本当によく喋るなあ。
初共演から10年がたっても
TayNewが公私とも仲良しな理由
――では、最後の質問です。昨年末、新たな共演作『A Dog And A Plane』が発表されました。初めて共演してから約10年が経った今も、公私共に仲の良いお二人。良好な関係を保つ秘訣を教えてください。
New 仲良くいられる秘訣は…ライフスタイルや興味関心のあることが似ていて、なんだかんだで気が合うんだと思う。二人とも理数系だし。性格は全然違うんですけどね（笑）。
Tay 性格が違うからこそ、僕らはお互いに対してすごく寛容になれたんだと思う。相手を理解して受け入れないと、良い関係は保てないから。広い心で、ありのままの相手を受け入れることが秘訣です！
Tay Tawan（テイ・タワン） さん
1991年7月20日生まれ、タイ・バンコク出身。2013年、音楽番組のMCとして芸能活動をスタート。2014年にドラマ『Room Alone the Series』で俳優デビューし、本作でNewと初共演作。以降の共演作に、『Kiss the Series』（2016年）、『Kiss Me Again』（2017年）、『Our Skyy』（2018年）、『Dark Blue Kiss 〜僕のキスは君だけに〜』（2019年）、『I’m Tee, Me Too』（2020年）など。2023年、日本の漫画原作ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』のタイ版リメイク『CHERRY MAGIC 30』で約3年ぶりにNewと共演した。俳優業の傍ら、MCとしても活躍。2024年にはロエベの招待を受けてパリ・ファッションウィークを訪問。
New Thitipom（ニュー・ティティプーン） さん
1993年1月30日生まれ、タイ・バンコク出身。2013年、Tayとともに音楽番組のMCとして芸能活動をスタート。2014年、Tayと初共演したドラマ『Room Alone』で俳優デビュー。Tayとの共演作の他にも『SOTUS /ソータス』（2016年）＆『SOTUS S』（2017年）などの話題作に出演し、2022年には韓国映画『ラブストーリー』のタイ版リメイク『Classic Again』で映画初主演を飾る。現在放送中のドラマ『Club Friday Theory of Love』や、Tayとの新たな共演作『A Dog And A Plane』など、今後も複数の作品を控える。俳優業の傍ら、タイ屈指の名門チュラロンコン大学で経営学修士課程に進学し、MBAを取得したことも話題を呼んだ。
Photos : Teppei Hoshida Stylist : Takumi Urisaka Hair & Make-up : Makiko Hayashi Translation : Mariko Uemura Composition & Text : Ayano Nakanishi Thanks to : TV Asahi Corporation
【Tayさん】ニット（ロルフ エクロス）￥115,000／バウ インク シャツ￥38,500／アンデコレイテッド タンクトップ（ドレス）￥8,800／にしのや パンツ￥46,200／エイチ ビューティー&ユース 靴（トーガ ビリリース）￥75,900／トーガ 原宿店 ネックレス￥33,000／ラムダ
【Newさん】ニット￥63,800・ネクタイ￥11,000（ともにタム）／サカス ピーアール シャツ￥33,000／ミーンズワイル パンツ￥39,600／タンジェント 靴（アデュー）￥104,500／バウ インク
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