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俳優としても活躍する“メンズノンノモデル”たちの本音に迫る、メンズノンノ2月号企画「それぞれのミライ」。「実はずっと、写真に撮られるのが嫌だった」──専属9年目を迎えた栁 俊太郎のロングインタビューの続きをウェブ公開します。
──モデルになろうと思ったきっかけは?
姉が面白半分でメンズノンノに応募したんですけれど、僕自身も基本的には目立ちたがり屋ではあったので、ノリで受けてみた感じです。まさか合格するとは思っていなくて、連絡があったときには本当にびっくりしました。高校の友人にも言わず、ただ撮影があると授業を休まなきゃいけないから先生にだけは伝えて。「秘密にしておいてください」と頼んだのに、その先生が興奮しちゃって(笑)全校生徒の前で発表されてしまいました。僕が3年生のときに共学になった学校だったし、メンズノンノモデルになって女子にモテるかなと思いましたが… そんなことはなかったですね(笑)。
──8年もモデルを続けるとは思っていた?
想像していませんでしたね。消防士とかホテルマンとか、いろいろと夢があったんですよ。でもどれも結局、踏ん切りがつかなくて。モデルを始めてからのある仕事で、浅野忠信さんと一緒になることがありました。憧れの人を前に僕はガチガチに緊張していたんですけれど浅野さんは気さくに話しかけてくれて、音楽の話で盛り上がった流れで「俺のライブに遊びにおいでよ」と連絡先を教えてくれたんです。「かっこいいな」「こんなふうに生きていけたら最高だな」と思って、そこから「事務所に入れてください」とお願いして、所属したんです。
──俳優としてのビジョンはあった?
いや、まだモデル業も1年目の18歳とか19歳の頃でしたから。映画が好きだったから、自分の生活も映画のような世界にできたらいいなとは思っていました。もしも僕の日常が映画になったとして、それを観たら「かっこいい」と思えるようにしようと。そう考えながらやっているうちに、かっこよく生きるとはどういうことなのか、どうしたら感情をうまく伝えられるのか、学んでいった気がします。
──キャリアを積んで、俳優という仕事に対して思うことは。
見てもらえる機会が増えたので、人に与える影響が大きくなったのかなと思います。新しく入ってきたメンズノンノモデルの子たちに「昔から見ていました」と言われますしね。せっかくこういう仕事をしているんだから、人に何かを与えられるような役者になりたい。僕自身が浅野さんに憧れて影響を受けたように、誰かにとってそんな存在になれたらいいですね。そのためにはクオリティを下げずに間口を広げることが大事なのかなって。映画も、ドラマも、舞台もやる。それは全然悪いことではなく、むしろ楽しいだろうなと思います。
『ジョジョ』の撮影で
栁がしたアドリブとは?
──今の自分のパーソナリティは?
ビビりとか慎重ってことになるのかな。でも思い切るときは思い切るし、何でしょうね…。トータルで言ったら、やっぱりガキかもしれない。いい意味では好奇心がなくならなくて、日に日に増している気がする。けれど甘えん坊で我が儘なところもあるので、何とかしたいと思っていたり。友人には「何を考えているかわからない」と言われます。突拍子もないことをしたがる。イタズラも好きですしね、友人の車のバンパーに洗濯物を干したりとか本当にくだらないことですが(笑)。
──そういった遊び心が、撮影にも発揮されることは?
台本にないアドリブをしたり、ありますね。映画『ジョジョの奇妙な冒険』のコンビニで暴れるシーンでは、テスト撮影は普通にやり、本番ではいきなりガラスを割りまくりました。片付けが大変になってしまって迷惑をかけたんですけれど、もちろんそれはイタズラではなく、そうしたほうがいいと考えてやったこと。監督もすごく喜んでくれました。取り組む以上は何かを提案したい。場の雰囲気や作品の世界観を壊さないことが大前提ですが。
──俳優は、栁 俊太郎の天職?
自分ではそう思っています。本当にそうなのかは神のみぞ知る、というかわからないですよね。思い描いた通りに人生は進みません。後悔がある訳ではなく、予期しないことが起きますから。僕だって消防士になろうと思っていたのに、突然メンズノンノモデルになって俳優という仕事に出会いました。何が起きるかわからない。特に僕は計画するとあまりうまくいかないタイプなので、あれこれ細かく考えないようにしています。目標は立てつつも、その時々の出会いに任せる感じ。ガッチリと決めすぎていて偶然の出会いや一瞬のチャンスに反応できないのはもったいない。何事にも柔軟に対応して、おもしろがれる人間でいたいなと思います。足りない頭で考えても仕方ないし(笑)。考えることは大事だし無駄ではありませんが、どうなるかわからないことを不安に感じで悩む必要はないのかなと。
──今、一番楽しいことは?
人と話しているときです。インタビューではこうやって自分のことを話していますけれど、友人とドライブしていれば違う話題になり、撮影現場の共演者とはまた違うことを話しますよね。シチュエーションや相手によって話の内容が変わるのはタメになったり頭の中の整理になったりするから、できるだけたくさんの人と話したい。あとこれは僕の癖で、自分自身をどこか客観的に見ているところがあって。例えばインタビューと友人とでは、話し方も考え方もちょっと変わるじゃないですか。どちらも本当の自分なのに、相手によって変わってくるのがおもしろい。気づいていなかった自分の一面が出てきたりもして、やっぱり人と話をすることは楽しい。俳優をやっているからそんなことを思うのか、そんなことを思うから俳優をやっているのかはわかりません、でも、出会いも含めて“人”がおもしろいなと思うんですよね。
栁 俊太郎 PLOFILE
1991年、宮城県生まれ。2009年よりメンズノンノ専属モデル。2018年はドラマ『オー・マイ・ジャンプ!』に出演。待機作に映画『チェリーボーイズ』(2/17公開)がある。
インタビューの前半は発売中のメンズノンノ2月号に掲載しています
Photos:Teppei Hoshida
Interview&Text:Masayuki Sawada
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