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今夏の注目ホラー映画『フンパヨン 呪物に隠された闇』に主演する、タイの俳優Up(アップ)ことプーンパット・イアン=サマン。6月の来日時に行われたインタビューの後編となる今回は、彼の近況について話をうかがった。
日本語の勉強を始めたきっかけから、SNSで寄せられる意見の受け止めかた、俳優としての自己評価まで、ジャンルレスに質問。世界が熱い視線を注ぐタイのエンタメシーン最前線で活躍する彼の、飽くなき向上心に刺激を受けること必至だ。
UP SPECIAL INTERVIEW
学び直している
日本語の宿題を持ってきました!
――最近、SNSで日本語を勉強する様子を頻繁に投稿しているUpさん。日本語を学び始めたきっかけを教えてください。
実は10年ほど前に、短期間ですが日本語を勉強していたんです。ちょこちょこ聞き取れはするんですけど、回答は出来なくて。去年から日本で仕事をする機会が増えて、せっかくだから勉強し直してみよう!と思って始めました。
――どんな方法で勉強していますか?
先生に付いて、『みんなの日本語』という教科書を使って学んでいます。上達するために、宿題をいっぱい出してください!ってお願いしたら、日本でも宿題をする羽目になりました(笑)。
――多忙なスケジュールをこなす中で、いつ勉強しているんですか!?
夜とか、飛行機の中とか……。(日本語で)日本語は難しい!
ずっと同じ場所に留まっていては、
時間がもったいない
――仕事や勉強で忙しい日々を送っていると、新しい挑戦を億劫に感じたり、三日坊主になってしまいがち。モチベーションを上げるための秘訣はありますか?
僕が挑戦し続けるのは、ずっと同じ場所に留まっていては時間がもったいない!と感じるから。時間はつねに刻々と過ぎていき、逆戻りをすることは絶対にない。だから全ての瞬間に価値があると思っています。いつ死ぬかわからないのに、この世界で知りたいことはたくさんある。ならば今を精一杯生きよう!という意識がモチベーションになっています。
日々のモチベーションを上げるためには、僕の宿題のように、締め切りを作るのが良いかと。僕も眠くて勉強がしたくないときは、これだけは終わらせよう!と自分で自分のお尻を叩いています。先生に怒られるのが怖いので(笑)。
演じた役が嫌われれば嫌われるほど、
僕自身は嬉しい
――現在タイでは、Upさんにとって三作目*となるBLドラマ『My STAND-IN』が放送中(7月12日に完結)。本作でUpさんは、人気俳優との恋が叶わず、代わりに彼のスタントマンと関係を持つMing(ミン)役を演じています。新エピソードが放送されるたびにSNSでたくさんのコメントが飛び交い、大反響を呼んでいますね。
*修正いたしました(7/15)
SNSに寄せられる意見やコメントは、全て読んでいます。オンエアされる金曜日は必ず、キャストとスタッフみんなでパーティしながら、SNSの反応を見るんです。僕が演じるMingは自己中心的なおぼっちゃまで、視聴者のみなさんから、かなり嫌われていますね。Mingを罵倒するコメントを読み過ぎて、人をけなす語彙力が上がりました(笑)。
――そういった反応を見て、ショックを受けることはありますか?
これまで僕が演じてきた役とのギャップが激し過ぎるせいで、中には、僕の印象が変わってしまったという人や、ショックに感じている人もいるようです。でも、それは僕がMingというキャラクターをしっかり演じられた証拠だから、正直とてもハッピー! 監督の「視聴者に嫌われるような演技をしなさい」という指示を、きちんと達成した自分を誇りに思っています。
一方で、しばらくはMing役に戻りたくないです。Mingの性格が自分に定着してしまったら、きっとたくさんの人が僕から離れてしまうから(笑)。
向上心を高めるために、
成長の余地は残したい
――本作は、中国の人気BL小説が原作。原作のMingを見事に再現するUpさんのお芝居を絶賛する声も沢山、拝見しました。役者としての現在のご自身に、点数をつけるとしたら何点ですか?
うーん……6点(10点満点)。本当は5点にしようと思ったんです。成長の余地を残した方が、新しいことを試したり、自分を向上させるためのモチベーションが上がるので。でも、流石に5点じゃ一生懸命、頑張っている自分がちょっと可哀想だな、と(笑)。自分を勇気づけるために1点加えました。
――自身のアパレルブランドを立ち上げるほど、大のファッション好きであるUpさん。今回の来日で狙っている/購入したアイテムがあれば、教えてください。
今回は、まだファッションアイテムは買えていません。仕事が忙しくて、自分のためにレコードと、お母さんに頼まれたシャンプーを買ったのみ。何て言うシャンプーだったかな……? お母さんから送られてきた写真を店員さんに見せて、「これをください」と言いました(笑)。
時間があれば、時計を探しに行きたいですね。限定デザインの時計が欲しくて、新宿の『GMT』というショップが気になっています!
自分を見つめ直すことで、
新しい道が開くこともある
――日本では現在、急激な物価の高騰や円安により、将来に不安を抱える若者が増えているように感じます。Upさんは、逆境に立たされた際、どのように乗り越えていますか? 不安や心配を取り除くコツや、心がけていることがあれば教えてください。
ちょうど昨日、日本で働いているタイ人の友達から円安について聞いたばかり。切実な問題だし、その状況にいたら、自分も悩むと思います。でも、自分や家族を養っていかなければいけない状況は変わらないので……僕ならば、目の前の仕事に邁進すると思う。
経済に限らず、人生にはアップダウンがあって、下がることもあれば上がることもある。だから頑張っていれば、いつか好転すると信じています。頑張ることに疲れてしまったら、立ち止まってもいい。自分を見つめ直すことで、新しい道が開くこともありますから。応援しています!!
ABOUT “HOON PAYON”
『フンパヨン 呪物に隠された闇』
出家した兄のティーに会うためにドンシンタム島の寺院にたどり着いたタームは、寺に住んでいる純粋な青年、テと知り合う。この村の人々は“ポープー”という人の形をした像を信仰し、また、人が死ぬと遺骨の一部を入れた土の像(フンパヨン)を作って拝む習慣がある。村人たちの信仰を盲目的な迷信だと考えるタームは、ある夜、怒りに任せて“ポープー”への供え物を壊してしまう。その夜を機に、恐ろしい出来事が次々と起こり、村は恐怖に包まれる……。
監督:ポンタリット・チョーティグリッサダーソーポン キャスト:プーンパット・イアン=サマン(アップ)、プーウィン・タンサックユーン(プーウィン)、クナティップ・ピンプラダブ(ニック)、タソーン・クリンニウム(エミ)、プーリパット・ウェーチャウォンサーデーチャーワット(ジェームス)、パンナウィット・パッタナシリ、ワラティップ・キッティパイサン 7/5(金)よりシネマート新宿ほかにて公開 https://hoonpayon-movie.com/
PROFILE
プーンパット・イアン=サマン
1994年12月4日生まれ、タイ・バンコク出身。国内きっての名門チュラロンコン大学在学中、先輩から誘われて芸能活動をスタート。2015年に映画『Gifted』で主役ウェーブを演じ、俳優としてデビュー。2021年、BL小説を原作としたドラマ『Lovely Writer The Series』で主役を演じブレイクする。現在、主演するドラマ『My Stand-In』が放送中。俳優業の傍らアパレルブランド『U.W.C Studios』のプロデュース、歌手としてCDをリリースするなど、マルチに活躍する。
Photos : Teppei Hoshida Stylist : Takumi Urisaka Hair & Make-up : Wongwarat Phruphetkaeo Translation : Miwa Takasugi Composition & Text : Ayano Nakanishi
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