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音声ガイドは俳優・ムロツヨシさん。20世紀を代表する巨匠のひとり、ジョルジョ・デ・キリコの回顧展「デ・キリコ展」について。【アートの入り口!!】

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倉田佳子がナビゲート「ちらっとのぞいてみよっ」アートの入り口!!


シュルレアリスムの画家たちの先輩、
デ・キリコの激動の人生

 

\ここに注目!!/

東京都美術館
「デ・キリコ展」

「形而上絵画」の初期作品をまとめて見られる貴重な機会。彫刻や舞台衣装のデザインも幅広く紹介する。音声ガイドには俳優・ムロツヨシさんが登場!

東京都美術館「デ・キリコ展」

 

自身が生み出した偉業に
抗(あらが)いながら晩年まで
描き続けた100点以上の作品

「シュルレアリスム」という言葉を聞いたことはありますか? ピカソ、ダリ、マグリットなど歴史に名を残した数々の画家が起こした芸術運動のひとつです。夢と現実が混ざったようなシュールな世界は、絵画以外にもファッションや映画などでもよく表現されています。最近であれば、第96回アカデミー賞で衣装デザイン賞を含む4部門を受賞した映画『哀れなるものたち』は、まさにシュルレアリスムの世界観を衣装から美術まで存分に表しています。

そのシュルレアリスム運動の前身を担ったとされる、20世紀を代表する巨匠のひとり、ジョルジョ・デ・キリコの回顧展「デ・キリコ展」が、8月29日まで東京都美術館で開催中。彼の約70年にわたる画業で制作してきた100点以上の作品が見られる大型の展覧会になります。

彼が数々のシュルレアリスムの画家に影響を与えた理由は、絵画手法「形而上絵画(けいじじょうかいが)」にあります。「形而上」とは、形や空間、時間の制約を超越した抽象的で概念的なものを指します。「それを視覚芸術に使うなんて、どういうことなんだろう?」と疑問に思うかもしれません。しかし、デ・キリコの絵画をよく見ると、遠近法や光と影、サイズ感などがすべて不自然に描かれています。描かれた時代も誰から見たアングルなのかもわからない、まさに夢を見ているときのような非日常の世界が広がります

いまやシュルレアリスムを知っている私たちにとって、デ・キリコの絵画は新鮮に映らないかもしれません。ですがその当時、現実世界の人物や景色が描かれてきた絵画手法の中で、その存在感は衝撃的なものでした。

さらにデ・キリコの画家人生において驚きなのが、シュルレアリスムの後輩画家たちがどんどん知名度を上げていくにつれて、急に「形而上絵画」から古典絵画の様式へと回帰していったということ。つまり、20代の10年間にわたり残してきた自身の軌跡とは、ある意味、真逆の現実世界を描くような絵画手法に突っ走り始めたのです。結局本人の興味とは別に、それらの作品は業界からは評価が得られず、生計が今までどおりとはいかなくなってしまったそう……。

とはいえ、その期間も「形而上絵画」は描き続けていたこともあり、作家人生後期には、あらためて「形而上絵画」を中心に作品を発表することに。新たに作品を発表する過程では、自身の過去の作品を所蔵する美術館やコレクターに対して「偽物だから取り下げろ、燃やせ」と急に訴え始めることもあったと言われています。なかには本物の作品も含まれていたため、もちろん美術館やコレクターは困惑。

そんなデ・キリコの主張を単なるトラブルメーカーだと語る文献や評価もありますが、そこには贋作(がんさく)があふれてきた1940年代後半以降に、自身が形而上絵画の創始者であることを再度示す狙いも込められていたそう。また過去の作品だけを認めて、新作を認めないシュルレアリストたちに対して、そして前衛芸術あるいはモダニスム芸術の画家や擁護者たちへの挑発でもあったとも考えられます。一見すると過激で支離滅裂な言動も、彼らに影響を与えたパイオニアだからこそ、常に時代を更新する使命感をそこに感じます。

絵画史に新たな表現手法で影響力を持ってしまったからこそ、自分の作品がオーディエンスに消費されないように、そして自身が自身の表現に飽きないために次々と挑戦的な試みに取り組んだのだろうか、もし彼が今のSNS時代に生きていたらどうなってたんだろうか、と想像させられる展覧会でした。

 


《予言者》 1914-15年 油彩・カンヴァス ニューヨーク近代美術館(James Thrall Soby Bequest)

《予言者》 1914-15年 油彩・カンヴァス ニューヨーク近代美術館(James Thrall Soby Bequest)
©Digital image, The Museum of Modern Art, New York / Scala, Firenze
©Giorgio de Chirico, by SIAE 2024

 「形而上絵画」で頻繁に登場するモチーフのひとつが、マネキン。実際の人物ではなく、哲学者や予言者など未来志向のイメージをまとった役割で描かれることが多かったそう。

 

「デ・キリコ展」

東京都美術館にて8月29日(木)まで開催中。台東区上野公園8の36 休室日:月曜、7月9日(火)〜16日(火) ※ただし、7月8日(月)、8月12日(月・休)は開室

 

倉田佳子

倉田佳子

アーティストコーディネーター、ファッションライター。大学卒業後、独学で編集・執筆業を始め、現在は国内外のブランドやメディア、アーティストと仕事をする。
Instagram:@yoshiko_kurata

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