▼ WPの本文 ▼

最近ロンドンに一人旅して、泊まったホテルから『ノッティングヒルの恋人』の舞台となった本屋さんに歩いて行けることが分かり、思い切って行ってみたんです。歩いて40分くらいかかりましたが(笑)。もちろん映画の名前は知っていたし、観たいと思っていたので、日本に帰ってすぐに観ました。そうしたら、すごくいい映画でした!
ちなみに訪れた本屋さんには、“ここが『ノッティングヒルの恋人』のモデルとなった本屋”と書かれた看板もあって、けっこうな人が訪れていました。きっと映画公開時はスゴかったんだろうな、と思いながら見て来ました。


『ノッティングヒルの恋人』
Blu-ray: 2,075 円/DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
よくある“スターと一般人の恋”だけど、ハマってしまった主演の魅力!

ハリウッドのスター女優とロンドンの本屋店主。こういう“スターと一般人の恋” みたいな設定って、ドラマや映画でけっこうありますよね。僕も何度か観たことがあるのですが、そのたびに“え~、なんか違う”となることが少なくなかったんです。ところが今から25年も前に作られたこの映画に関しては、素直に“いいなぁ”と思えました。その理由は、やっぱりジュリア・ロバーツの魅力が大きかった気がします。
ジュリア・ロバーツが演じるハリウッド女優のアナが、ヒュー・グラント扮するウィリアムが経営する小さな旅行書専門の本屋さんを訪れて、2人が出会うんです。アナが「なんか盗もうと思ったけど止めた」みたいな軽いジョークを言うのも素敵だなって思ったし、ウィリアムの方は女優のアナだと気づいて明らかに緊張しているけれど、もうなんかいい空気感の2人だと感じました。その出会いから始まり、終盤はもうキュンキュンでした。

どちらの気持ちもすごくわかって感情移入してしまう
僕はアナとウィリアム両方の視点で物語を見て、どっちの気持ちもすごく分かるなぁ、と。ウィリアムが、アナの撮影や取材の現場に行って、スターたちを見てドキドキする気持ちもすごく分かる。同時に、僕はアナみたいにパパラッチに始終追いかけ回されるわけではないけれど、この仕事をしていると、不自由なのも分かるし。例えばカメラマンに写真を撮られた時「ゴシップ紙に出ても、明日にはもうゴミになる」って言えちゃうか、「その記憶は永遠に残る」となるか、気持ちや状況の違いもすごく分かって。場面場面で2人の気持ち、どっちも分かるんですよね。

2人がキスするまでの流れは、ちょっと速すぎて、「え、もう!? 何で!?」ってなったけれど(笑)、少しキュンとなりました。後からアナには別に彼氏がいることが分かったり、ウィリアムはけっこうひどい扱いをされてますよね。そのたびにウィリアムは傷つくのですが、そんな姿もなんか愛おしくて。見ていて両方を応援したくなりました。

それにしても、やっぱり速すぎる(笑)! ハリウッド女優が、ちょっと素敵なイギリス男性を見て、気まぐれでしたチューなのかもしれないけれど、僕は気まぐれでもチューはできないタイプなので驚いちゃって(笑)。当時はネットもSNSもなかったから、スターはもっと自由に恋愛を謳歌していたのかもしれないですね。そう考えると、恋愛事情も昔と今ではだいぶ違うのかな。といっても僕自身は元から警戒心が強いので、逆に「もっと色んな人と付き合って輪を広げた方がいい」みたいに言われたりしています。
僕がいろんな意味でキュンキュンしたのは、初めてアナに「部屋に来る?」と言われるシーン。行ったら彼氏とはち合わせてしまってウィリアムは部屋から出てくるんですが、そこでアル・グリーンの「傷心の日々」という曲がかかるんです。有名な曲ですが、僕も元々好きな曲だったので、流れてきた瞬間に思わず“キタ~ッ”って拍手してしまいました。

スターだって恋をする。“一人の女性”としての素直な言葉が胸に刺さる
初めて一緒に過ごして朝ベッドで目を覚ましたシーンも、印象に残っていますね。アナがウィリアムに、リタ・ヘイワース(往年の女優)の言葉を引用して、「男たちはギルダ(自分の役名)と寝て、私と目覚める。夢と寝て、現実と共に目覚める」って言うんです。朝起きたら現実に幻滅するのよ、みたいな。そんな風に思われたくないなと思いつつ、僕も感覚的には“まさしく”と思いました。こういう仕事をしていると、色んなイメージで見られているからこそ、現実世界で会うと「あれ!?」となったりするんだよなって……。

終盤でアナも、それに似た、一人の女性としての素直な思いをウィリアムに伝えるのですが、その言葉も自分の中にストンと入って来て、「そうなんだよなぁ」となりました。「僕は普通の小市民だから、君と付き合うのはハートが持たない」と話したウィリアムに対して、アナが何を言うかも聞き逃さないでくださいね! 最高にキュンキュンするところなので。
本屋という静かなシチュエーションが、またいいんですよね。言ってみたら、2人とも相手の生活や環境に対する憧れ、みたいなものがあったんじゃないかな。かたや普通の生活をしている男性と、ハリウッドというキラキラした世界にいる女優さん。どこかでアナも静かで穏やかな生活に憧れがあったのかな、と。ないものねだりって、やっぱりあるんでしょうね。

どの場面のどの表情もステキ。ジュリアがすごくて、一人で“祭り”状態に
本作最大の推しポイントは、やっぱり、とにかくジュリア・ロバーツがステキなこと! 僕はあんまり女優さんに注目して映画を見ることがなくて、いつもは男性の俳優さんにどうしても注目してしまうんです。でもジュリア・ロバーツに限っては、本当にすごい魅力を感じて。代表作の『プリティ・ウーマン』も続けて観たし、最近、配信された『終わらない週末』も観て。一人でジュリア・ロバーツ祭りをしていました。本作でも、カメラの前に立つスターとしてではない場面での、ごく普通の人として笑っている笑顔も本当に魅力的だったし、全部よかった! すっごい、いい女優さんだなぁって思いました。

逆にウィリアム役のヒュー・グラントのことは、ほとんど知らなかったんです。ラブコメの帝王って言われていたらしいですが、この映画が作られた1999年は僕まだ生まれていなかったので……。本作の序盤では正直それほど彼に惹かれなかったんです。でも段々と、例えばアナに会いに行ったら取材に巻き込まれてしまったり、アナと会話を交わしていく感じとか、観ているうちにカッコイイな、渋いな、と思って。彼がみんなに、「紅茶どう?」「紅茶どう?」とずっと紅茶を勧めていたのも、すごくイギリスっぽくて面白かったです(笑)。

ウィリアムの仲間たちーー妹をはじめ、同居人や友人らも、すごい個性豊か過ぎて面白かったです。最初、妹の誕生日会にみんな集まった時に、アナが来た時のみんなの反応もすごく良かったですね(笑)。確かに有名な人がいきなり現れたら、あんな風になるのかな、と。仲のいい友達たちがみんな集まってお互いのことに一喜一憂して騒ぐような普通の生活に、アナも憧れたのかな。そんな仲間の関係もすごくよかったです。終盤には、「え、そこがくっつくの!?」みたいな予想外の関係の展開もあるので、最後までお楽しみに!


やっぱり、イギリスっぽさ。ロンドンっぽさ。ロンドンのノッティングヒルという場所の素敵さがすごくいいんです。本作のモデルとなった本屋さんも含めて、建ち並んでいる建物がとってもカラフルで。カフェや洋服屋さん、本屋さんなどもあって、駅から散歩しながらブラブラ歩くのも楽しいんです。僕にとって本作は、聖地巡礼をした初めての映画だったので、巡礼してから映画を観るという順番は逆でしたが(笑)、映画を観ながら「ここ、行ったかも」「ここ、通ったかも」と感じるのも楽しかったです。



『ノッティングヒルの恋人』(1999)
バツイチのウィリアムは、ロンドン西部のノッティングヒルで旅行書専門の書店を営んでいる。そこへ、フラリとハリウッドのスター女優アナが訪れる。アナはすぐに本を買って立ち去るが、飲み物を買いに出かけたウィリアムと街角で衝突し、アナの服にオレンジジュースをかけてしまう。ウィリアムは、すぐ近くの自分のアパートで服を乾かしてもらうことにするが――。監督は、『恋とニュースのつくり方』『ゴヤの名画と優しい泥棒』のロジャー・ミッシェル。脚本は、後に『ラブ・アクチュアリー』などの監督として活躍するリチャード・カーティス。



先日、パリコレにラコステのショーを見に行くことをきっかけに、フランス、イギリス、スペインとヨーロッパの3ヵ国を回ってきました。その旅きっかけで本作の聖地巡礼に行きましたが、実は『ハリー・ポッター』シリーズの撮影現場にも行ってみようと思っていたんです。遠くて無理でしたが……。そのかわりビートルズのアルバムで有名なアビーロードに行き、横断歩道を渡ってきました。居合わせた日本人の方が写真を撮ってくれて(笑)。他にもロンドンではサッカーの試合観戦をしたり。最も記憶に残っているのは、スペインで訪れたサグラダファミリア。本当にスゴかったです!
Text:Chizuko Orita
▲ WPの本文 ▲