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SNSだけじゃわからない金沢21世紀美術館の魅力を、もっと知りたい! アート好きを公言する久間田琳加さんが、メンズノンノでも連載中の同館アシスタントキュレーター髙木遊さんのナビゲートで、美術館をじっくりレポートする企画が実現!
[左]アシスタントキュレーター 髙木 遊さん
[右]モデル・女優 久間田琳加さん
Rinka Kumada
久間田琳加●モデル、女優。2012年『nicola』オーディションでグランプリを受賞、同誌専属モデルに。以後2017年より『Seventeen』専属モデル、2022年より『non-no』専属モデル。上映中の映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』で主演・丹羽茜役を務める。
モデル・女優 久間田琳加もアート好き!
美術館に行くことは私にとって大切なインプット
幼い頃海外に住んでいたのもあり、両親がよく美術館に連れていってくれました。なのでアートに触れる機会は多かったですし、美術館という場所も身近な感覚があります。
女優のお仕事を始めてからは、お芝居でアウトプットをしすぎて、作品が終わる頃には自分が空っぽになっていることもあって…。美術館に足を運びたくなるのはそんなときです。行くとエネルギーをもらえるし、学びや気づきもたくさんある。作品をじっくり鑑賞しながらいろいろなことに思いを巡らせる時間は、私にとって大切なインプットになっているなと感じます。
忘れられない作品との出会いは、以前イタリアを旅行した際に見た《最後の晩餐(ばんさん)》。見るというより“見渡す”という言葉がしっくりくるような大きさで、圧倒されてしまいました。
今回おじゃました金沢21世紀美術館は、ずっと行きたかった場所! 新鮮な驚きが盛りだくさんで、とても充実した時間を過ごすことができました。(久間田さん)
金沢21世紀美術館の
\ 魅力をレポートします! /
PICKUP!
《まる》
2016年/SANAA(サナア)(妹島和世・西沢立衛)
金沢21世紀美術館の10周年を記念してつくられたパビリオン、《まる》。美術館を設計したのと同じ建築家ユニット、SANAAが手がけている。
PICKUP!
《スイミング・プール》
2004年/レアンドロ・エルリッヒ
ずっと来たかった念願が、かないました!
光の入り方によって表情が変わる!
日の光が差し込むと、ゆらめく水面が壁に反射し幻想的な世界に。「すごくきれいで、自然と一体化している感じがしました」(久間田さん)
きらきらに見とれる…
水の中だけど息できてる!?
\ 不思議な感覚 /
まずはよく見るあの作品から、美術館のナビゲートをスタート!
髙木 はじめまして。金沢21世紀美術館でアシスタントキュレーターを務める、髙木と申します。
久間田 はじめまして! 久間田琳加です。数年前にSNSでこの《スイミング・プール》の写真を見てからずっとここに来たかったので、今日この撮影をとっても楽しみにしてきました。
髙木 そうなんですね! ありがとうございます。早速ですが、実際にプールの中に入ってみて、いかがでしたか?
久間田 感動しました! 光が入ると本当にきれいで、ずっとあの中にいたくなっちゃうくらい(笑)。
髙木 それはよかったです(笑)。このプールの作品は開館当時からあって、作者であるレアンドロ・エルリッヒが直接ここに来て制作されたんですよ。エルリッヒは当時20代後半。そんな若い作家が登用されるのは、実はかなり珍しいことなんです。この作品がもしなかったら、美術館の在り方はまったく違っただろうなと思います。
久間田 そういう舞台裏を知ると、作品を見るのがより楽しくなりますよね。
髙木 あとでまた話しますが、光が降り注ぐこの《スイミング・プール》は、“開かれた美術館”をテーマとする金沢21世紀美術館を象徴するような位置づけの作品です。久間田さんの感想を聞くと、そんな作品の魅力をたっぷり感じてもらえたのがわかります。
PICKUP!
《ラビットチェア》
2004年/SANAA(妹島和世・西沢立衛)
「交流ゾーン」と呼ばれる、無料で入れるスペースにずらりと並んだ椅子。うさぎの耳のような形は、よく見ると左右非対称。
ぴょこぴょこ!
\ 琳加ラビットだよ /
PICKUP!
《カラー・アクティヴィティ・ハウス》
2010年/オラファー・エリアソン
まるで色の世界に迷い込んだみたい
美術館の外にある恒久展示作品で、デンマーク出身の作家オラファー・エリアソン制作のもの。「ふらっと立ち寄ってアートに触れられる、そんなところがこの美術館のよさです」(髙木さん)
PICKUP!
《緑の橋》
2004年/パトリック・ブラン
吹き抜けの空と緑の
\ コントラストがきれい /
美術館の中を歩いていくと中庭のような吹き抜けの空間が現れ、一面植物を植えた壁が登場。「作者のパトリック・ブランは植物学者で、金沢の気候に合った植物を選定しているんですよ」(髙木さん)
PICKUP!
アートライブラリー
交流ゾーンには「アートライブラリー」という、美術書や写真集を自由に読める施設も。「紙の本を読むことが好きなので、興味深かったです!」(久間田さん)
作品鑑賞の合間に、ここでひと休み
美術館の「市役所口」という入り口側には、大きな窓を望む長いベンチも置かれている。
美術館で本を読むって、
\ なんだか新鮮! /
訪れる人の憩いの場、「交流ゾーン」でも作品鑑賞ができる
久間田 いろいろな作品を見てきましたが、私はこの《緑の壁》とそこに通じるガラス張りの廊下が、特に好きかもしれないです!
髙木 ここも太陽の光が燦々(さんさん)と降り注いで、とても開放感がありますよね! 美術館と聞くと、もしかすると閉塞感のあるイメージを抱く人が多いんじゃないかと思うんです。
久間田 確かに、こんなに明るい空間は珍しいなと私も思いました。
髙木 ここ金沢21世紀美術館は、至るところに採光の工夫があります。それともうお気づきかと思いますが、建物が全面ガラス張りなのも大きな特徴のひとつ。美術館の“中”と“外”がシームレスにつながるように、という願いを込めてデザインされています!
久間田 日当たりがよくて入りやすいですよね。あと、私はアートを見ると「この作品はどういう意味なんだろう」と考えるタイプで、それがときに窮屈な感覚もあって。でも今日触れた作品は全部が体感型で、受け取り方も自由なのが印象的でした! 「作品鑑賞はこれでいいんだ」って、安心したというか。
髙木 視覚だけではなく、五感全部を使って楽しめる。作品による部分もありますが、それも現代アートの魅力です。今日回ってきた作品はほとんどが「交流ゾーン」という、誰もが無料で入れる、いわば公園のようなゾーンにあるもの。“美術館に行く”と気負わず、現代アートの入り口として、まずは来てみてもらえたらうれしいなと思います!
PICKUP!
展示室14
どこを切り取っても
\ 絵になってすてき /
館内にあるいくつもの展示室のひとつが、この「展示室14」。「アーティストのことをよく知っているキュレーターと建築家が組み、現代アートを取り扱うために趣向を凝らした美術館。いろいろな形状の展示室があります」(髙木さん)
雨の日も趣がありそうな白い空間
作品だけじゃない建物自体がアートな美術館
久間田 この丸い部屋は何ですか?
髙木 これは展示室14といって、作品を展示する部屋のひとつです。こんな形の展示室は、他の美術館を見ても珍しいと思います。
久間田 そういえば、他にも面白い展示室がありましたよね。展示室6は天井がものすごく高くて、驚きました!
髙木 金沢21世紀美術館は、実は「建築家とキュレーターが共同してつくった建築」としても知られているんです。その建築家というのが、SANAA。妹島和世と西沢立衛からなるユニットで、ルーヴル美術館の別館、「ルーヴル・ランス」も設計した方々です。
久間田 えっ、そうなんですね!
髙木 はい、だからここにしかない建築も見どころのひとつです! そして現代アートは、英語でいうと“コンテンポラリーアート”。コンテンポラリーは「同時代」という意味なので、同じ時代を生きる人々が生み出すアート、と訳すことができます。つまり、作家と同じ時代を共有するキュレーターは、現代アートを常に切り開いていく存在でもあるんです。そう考えると、この美術館自体も作品と捉えることができますよね。
久間田 確かに、白い壁や不思議な形の展示室、ガラス張りの外観などを見て、今までの私の美術館に対するイメージががらりと変わりました!
髙木 ここで働いていると、そんな開放感のある建築の重要性を、日々感じますよ。
PICKUP!
展示室6
目に飛び込んでくる、
\ 迫力の作品! /
大きな作品は、11月5日まで開催中の「コレクション展1 それは知っている:形が精神になるとき」より、松田将英《The Big Flat Now》2022年。
PICKUP!
ミュージアムショップ
開催中の展覧会グッズはもちろん、アートブックや金沢ゆかりのお菓子などを2つのスペースで販売。
どれにするか迷っちゃう
“りんくま”のお土産Choice!
「今日印象的だった場所のポストカードと、部屋に置きたいかわいらしいサイコロを選びました!」
Information
金沢21世紀美術館
2004年開館。国内でもトップクラスの年間来場者数を誇る、現代アートの美術館として知られる。10月7日から特別展「DXP(デジタル・トランスフォーメーション・プラネット)―次のインターフェースへ」を開催。
●石川県金沢市広坂1の2の1
☎076(220)2800(代表)
開館時間:展覧会ゾーン:10:00~18:00(金・土曜は20:00まで)/交流ゾーン:9:00〜22:00
※休館日および最新の情報は金沢21世紀美術館公式HPをご確認ください。
https://www.kanazawa21.jp/
Photos:Yuzo Touge Hair & Make-up:Mien[Lila] Stylist:Izumi Makabe Model:Rinka Kumada[non-no model]
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