▼ WPの本文 ▼
瑞々しい光の中の被写体、そしてそこに流れる空気を、やさしいまなざしで切り取る写真家・川島小鳥。抜群の演技力で、独特の存在感を放つ注目の若手俳優・倉悠貴。互いに「会ってみたかった」という2人の特別なセッションが実現。少しずつ涼しい風が吹き始めた秋の海辺で、ゆっくりと自己紹介し合いながらセッションが始まった。
カメラマンと被写体の心地よいセッションから生まれる「いい写真」
小鳥 今日は、夏の終わりに一緒に海に来られてよかった。たくさんいい表情をしていたね。自然の中でスーツを着ているカットもカッコよかったし、光もきれいでどれも絵になった。
倉 僕もめちゃくちゃ楽しかったです。僕自身を撮っていただくということで、どういうふうにいたらいいのかなって思っていたんですが、"海が連れていってくれた"という感じがすごくしました。
小鳥 すてきだね。俳優さんを撮るのはいつも楽しくて、その場所に対してどう溶け込むかっていう反射神経がすばらしいと思う。倉くんも、空気みたいにそのままその場所に存在している姿を、一緒に作品にしていったという感じ。
倉 僕、スタジオでの撮影が少し苦手なんです。「ピン、カシャ」っていう音に緊張しちゃう。でも今日は風と波の音でシャッター音が聞こえなくて、すごく気持ちよくフラットにいられました。これを見せなきゃ、とか縛られるものが何もない中で、小鳥さんと会話するみたく撮れたと思います。
小鳥 実際は僕、人とコミュニケーションをとるのは得意じゃないし、初対面の被写体の方とも頑張ってしゃべろうって思わないほう。でも倉くんはそれが嫌じゃなさそうでうれしいなと思ったし、そんな僕たちが撮影することを"会話"って言うのが面白い。
倉 とても心地よかったです。小鳥さんは、いい写真ってどういうものだと思いますか?
小鳥 うわー、いきなり一番難しい質問(笑)。
倉 僕は役者なので、いい映画って何だろうってよく考えるんです。まだ結論は出ていないんですが…。映像は当たり前だけど、視覚と聴覚で楽しむものじゃないですか。でもそこに匂いや触感まで感じられるような作品はすてきだなって漠然と思っていて…。
小鳥 その世界が、生きてる!って感じる?
倉 そうです、そうです! 小鳥さんは写真に対してそういうの、ありますか?
小鳥 作り手のパーソナルな部分が見えたらすごく好きだなって思う。撮る人だけじゃなく、撮られている人とか、関わっている人たちとか、"あー、このとき、みんなの空気がいい感じだったんだろうな、のってるな!"っていうエネルギーが伝わると感動する。
倉 作り手のいい状態に、スチールにせよムービーにせよ、心動かされるのかもしれないですね。今日の写真はそういう意味でもばっちりですね。
小鳥 またぜひ撮影しよう。今度は旅しながら、とか!
Kotori Kawashima
1980年生まれ、東京都出身。2006年に第10回新風舎・平間至写真賞大賞を受賞。2015年には台湾の人々を3年にわたり撮影した『明星』で第40回木村伊兵衛写真賞を受賞した。メンズノンノでも坂口健太郎とのムック『坂道』やカバーの撮影、インタビュー記事などが大きな話題に。
Yuki Kura
1999年12月19日生まれ、大阪府出身。メンズノンノのヘアスナップに掲載されたことがきっかけでスカウトされ、現在の事務所に所属し、俳優としてデビュー。10月27日公開の映画『こいびとのみつけかた』、11月17日公開の品川ヒロシ監督作映画『OUT』でいずれも主演を務める。
Photos:Kotori Kawashima Hair & Make-up:NOBUKIYO Stylist:Yoshiaki Komatsu Model:Yuki Kura
▲ WPの本文 ▲