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映画好きのkudos デザイナー工藤 司さんが愛してやまないベストサマームービーは何? 観ると夏ならではの高揚を感じたり、どこかに行きたくなる、そんな衝動に駆られる作品を熱い語りとともに紹介してもらった。
青春群像と夏の描き方に
共感の余白や救いを感じる
橋口亮輔監督の映画は、社会風刺の側面が強くなってしまいがちな内容をポップに昇華しているのがとても好きなところで。なかでも『渚のシンドバッド』は“夏の映画”として真っ先に思い浮かんだ作品でした。何度も観ている映画のひとつなんです。
『渚のシンドバッド』
©1995 TOHO CO., LTD.
この映画は同性の友達に恋をした伊藤が物語の中心になっていますが、彼が直面する問題や心の揺らぎを特別に際立てるのではなく、登場人物たちそれぞれの悩みをひとつずつ繊細に描いていく姿勢がステキだと思っていて。セクシュアリティについて悩む人もいれば、家族のことだったり友達のことだったりで誰にも言えない苦悩を抱える人がいる。誰もがその人にとって切実な問題で悩んでいて、伊藤だけでなく、同様に浜崎あゆみが演じる相原や他の人物の心の揺らぎに感情を動かされる場面もたくさんあって。みんな人生に絶望していたりするんだけど、彼らが交じり合ったある瞬間にひと筋の光が差し込むような青春群像劇としての構成に僕は勇気をもらったんですよね。夏特有のきらきらした海や波の音なんかにも救いを感じて。ラストはある意味放り投げられる感覚というか、きれいに解決しないでいてくれるのも共感の余白が残っていてグッときます。
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©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
『ザ・ビーチ』
「天候不良で帰れなくなった八丈島のホテルで、幻の島をめざすこの映画を観たのはいい思い出」。ディズニープラスのスターで配信中。
kudos デザイナー
工藤 司
大学卒業後、アントワープ王立芸術アカデミーに進学。帰国して、クードスやスドークをスタート。写真家としても活動する。
Photos:Kyouhei Yamamoto Text:Kohei Hara Shunsuke Kamigaito
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