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映画好きのFACETASMデザイナー 落合宏理さんが愛してやまないベストサマームービーは何? 観ると夏ならではの高揚を感じたり、どこかに行きたくなる、そんな衝動に駆られる作品を熱い語りとともに紹介してもらった。
子どもから大人に成長した
10代のあの特別な夏の夜
制作会社のA24が作る映画には、どれも新しい世代の先進的な視点があって、ほとんどすべてチェックしています。そのなかでも『mid90s ミッドナインティーズ』は、映像・音楽・ファッション・アートのすべてがかみ合ったスタイリッシュな表現に衝撃を受けました。
『mid90s ミッドナインティーズ』
©2018 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.
家ではお兄ちゃんにいじめられてばかりな13歳の少年スティーヴィーが、スケートボードに興じる少し年上の少年グループと交流する過程で未知の経験を積み重ねていくこの映画。特に好きなのが、スティーヴィーが仲間と夜中まで黙々とスケボーの練習をして、そのまま公園の硬いベンチで寝ちゃって朝を迎える場面です。あの徹夜明けの朝に差し込んでくる日差しとか気だるさって、確かに僕も10代に経験したことで。友達と駐車場でだらだら朝までしゃべったりした、何げないけど特別だった時間。そういう、子どもから大人になる瞬間の高揚感や焦りみたいな感情を思い出す映画なんです。仲間内の中で誰かがフックアップされて、そのことによるねたみが生まれるような描写もリアルですよね。
冒頭の場面では『ストリートファイターⅡ』のTシャツを着ていたスティーヴィーが、気づけばカッコいいストリートファッションに身を包んでいる変化も最高で。ファッションに目覚めた頃、並行輸入店で目当ての品を探し回った個人的な記憶が蘇りました。この映画には、僕たちが10代のあの夏に経験した"初めて"がたくさん詰まっています。
この作品もおすすめ!
©2018 Muffed Up LLC. All Rights Reserved.
『Never Goin’ Back /
ネバー・ゴーイン・バック』
「これもA24。テキサスの夏を舞台に、貧乏な2人の女の子がビーチでのバカンスをめざして奮闘するぶっ飛び具合が最高!」。2022年日本公開。
FACETASM デザイナー
落合宏理
1977年生まれ。ファセッタズムを2007年にスタート。ファミリーマートの「コンビニエンスウェア」のデザインも手がけている。
Photos:Kyouhei Yamamoto Text:Kohei Hara Shunsuke Kamigaito
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