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隠れた名作を探せ！「日本未公開」のサマームービー３選

2023.07.01

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日本では話題にならず劇場公開に至らなかった作品の中にも、隠れた名作は眠っている。誰もが知っている映画を観て語り合うのもいいけれど、この夏は自分しか知らないとっておきの作品を発掘してみるのはどう？

夏が終わる夜に
しんみり浸りたくなる

『ヴァスト・オブ・ナイト』

「ラジオDJと電話交換手の男女が主役で、ふたりが奇妙な電波を受信するところから物語が動き始めます。謎を解明するためにノスタルジックな街中を探検するシーンでは虫の鳴き声が響き、青春最後のワクワク感をかき立てるんですよね。未知のものへの期待と不安が入り交じっているという意味で、冒険と人生はよく似ているのかもしれません。もうすぐ夏が終わってしまう夜に、ひとりでしんみりと観たくなる映画ですね！」。Amazonプライム・ビデオで配信中。

新緑が世界の美しさを見せてくれる

『いま、輝くときに』

「卒業を控えた高校生の男の子が、自分とは違うタイプの女の子と出会って、自分自身を見つめ直していく物語です。彼は今が楽しければいいという価値観なのですが、女の子はそれではダメだと思っている。反対に女の子は一歩踏み出せない性格で、彼から与えられるものもあるんです。新緑の背景が鮮やかで、青春映画にしては少し重い設定ですが、同時に世界の美しさを見せてくれる作品でもあります」。Amazonプライム・ビデオなどで配信中。

前半と後半で
雰囲気が変わる奇妙な映画

『スムース・トーク』

「主人公は田舎町に住む少女で、前半はショッピングモールで遊んだり異性に関心を寄せたりと、青春映画らしい展開が続きます。しかし、後半になって怪しい男が少女の家を訪ねてくるところから雰囲気がガラッと変わります。男の正体はわかりませんが、ずっと玄関越しにしゃべっていてすごく嫌な感じなんです。まるで大人の世界に足を踏み出すことの怖さを暗示しているかのよう…。中古のVHSならどこかにあるかもしれないというレベルの超激レア映画です！」

楽しさと寂しさが交差する
夏と青春映画は相性抜群

日本では劇場公開されていない映画を中心に上映イベントを開催する「グッチーズ・フリースクール」を主宰しています。隠れた名作と出会うためには情報収集が欠かせません。海外の映画祭で話題になったものや日本の有識者が情報発信していたもの、ジャケットに惹かれたもの…。上映する作品は基本的に自分が面白いと感じたものばかりです。ただ、青春映画やフェミニズム映画など、各ジャンルの映画史において重要であるにもかかわらず日本で紹介されていない作品は、新旧を問わず積極的に取り上げるようにしています。

初めて上映したのは、夏休みのお泊まり会を描いた『アメリカン・スリープオーバー』という作品でした。Blu-rayで観たのですが、これが青春映画好きの私の心に刺さったんです。同時期に東京藝術大学の知人と共同で映画のイベントを企画しており、そのために用意されていたのが倉庫のような部屋でした。そこで寝袋にくるまりながらお泊まり会の映画を観るのは最高だと思ってこの作品を上映したんです。

今回はそんな『アメリカン・スリープオーバー』と同様に、日本では劇場未公開かつ夏を感じる映画を紹介しています。夏は少年少女が大人に変わっていく季節。特に海外では卒業シーズンが重なり、夏の終わりがそのまま青春の終わりにもなっています。青春最後の盛り上がりと、青春が終わってしまう寂しさ、その両方を感じられるところが、こうした映画の魅力なのではないでしょうか。