▼ WPの本文 ▼
映画好きの女優・黒島結菜さんが愛してやまないベストサマームービーは何? 観ると夏ならではの高揚を感じたり、どこかに行きたくなる、そんな衝動に駆られる作品を熱い語りとともに紹介してもらった。
大好きな監督の新作映画から
幸せなバカンスに誘われて
4年前だったかな? ギヨーム・ブラック監督の映画がユーロスペースで何本も上映されたときがあって、そこで一気に観て好きになっちゃったんです。『女っ気なし』はすぐにDVDを買ったし、『7月の物語』も面白かったです。普段、映画を観に行くときってあんまり期待しないようにしていて。もし合わなかったら少し悲しくなるので。でも、『みんなのヴァカンス』だけは「ギヨーム・ブラックの新作なんて絶対にいいはず!」と思ってずっと楽しみにしていました。それで実際に観に行ったらほんとによかった…。劇場で観客のみんなが笑いながら観ている雰囲気も心地よくて、終わって劇場を出たときはなんだかすごく幸せな気持ちになってたんですよね。もう一度観たいので、早くDVD化されてほしいです。絶対買いますから!
『みんなのヴァカンス』
©2020 – Geko Films – ARTE France
『みんなのヴァカンス』は何も特別なことは起きないんだけど、私はそういう映画が好きで。日本でいったら沖田修一監督の映画なんかにも通じるところがあるのかなと思います。これは3人の男の子たちがある女性を追ってバカンスに行く映画なんですけど、お調子者タイプの2人に巻き込まれていくエドゥアールっていう男の子がおちゃめで面白くて。親のクルマを運転して南仏に向かっている途中、狭い道に入ったところでクルマを壁にこすっちゃったりするんです。慌ててお母さんに電話するのが頼りないけどかわいいんですよね。あと、エドゥアールは夜にマウスピースをつけて寝るんですけど、一緒のテントにいた男の子が寝る前に何度も話しかけてきて、そのたびにマウスピースを外して会話に応じる姿に笑っちゃいました。
そういうクスッとするシーンも含め、ギヨーム・ブラック監督の映画に出てくる人はみんな優しくて人間らしい。いろんな人種や属性の登場人物がフラットに交じり合って描かれているのもリアルな感じがして好きですね。その何げない日常の中にちょっとしたドラマもあったりして、繊細な感情描写にほっこりします。『レディ・プレイヤー1』とか『マッドマックス』みたいに、エンタメに振り切った派手な映画も好きなんですけどね(笑)。100分とかの上映時間もちょうどよくて、もうちょっと観たかったのに…! という絶妙なところで終わるのが、名残惜しいバカンスに似ていてステキです。
この映画で描かれるバカンスは海ではなくて川で。それもいいなって思います。実は私も最近、川が好きなんです。沖縄出身だから子どもの頃は頻繁に海に行ってたんですけど、上京してからは、山奥まで足を運んでキャンプしたりすることが増えました。海は暑いけど川は涼しいからいいですよね。映画の登場人物たちもどこか涼しげで気持ちよさそうだし、フランスのバカンスの文化にも憧れますよね。日本だとみんなずっと忙しく働いてるから、休むときはとことん休むっていう生活スタイルはうらやましい。実は今年の1月にフランスに行ったんですけど、冬は太陽がぜんぜん出なくて暗かったので、「ダメだ」と思ってポルトガルに移ったんですよ(笑)。だから今度は夏のフランスで、この映画で描かれているような地域に行ってバカンスしてみたい。ほんとに行ってみようかなぁ。いいな、夏が楽しみだな。
この作品もおすすめ!
『ヤンヤン 夏の想い出』
©AFLO
「台湾映画は夏の映画が多いですよね。エドワード・ヤン監督のこの映画はDVDを買ったので、今年の夏に観るのが楽しみです!」
『ゴーン・ガール』
©2023 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
「主人公のエイミーがサングラスをかけてクルマで逃走する場面が夏っぽくて超カッコいいです」。ディズニープラスのスターで配信中。
女優
黒島結菜 さん
1997年生まれ。2013年に俳優デビュー。出演作に連続テレビ小説『ちむどんどん』、ドラマ『クロサギ』、映画『明け方の若者たち』など。
Photos:Kyouhei Yamamoto Hair&Make-up:Niina Okuda Stylist:Ayano Nakai Text:Kohei Hara Shunsuke Kamigaito
▲ WPの本文 ▲