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我を忘れるくらい夢中になれるものがあるって、人として最強だ。自分だけの個性にするとともに、楽しく生きるためのエネルギーに変えてるんだから! そんな“沼”に溺れた人の実態を探るべく、話を聞きに行った!
刺しゅう沼
細い糸1本を使って細かい
絵柄に向き合う時間が好き
アーティスト ウルトラさん
「ヨーロッパをメインに、さまざまな自然やアート、音楽に触れ、制作の糧にしています。新作も続々発表中です」。作品の公開、販売もしているので、インスタアカウント(@embroidery_man_ultra)をチェック!
いつもの風景が美しく見えたら糸を使ってリアルに残したくなる
セミプロのサッカー選手として活動していたウルトラさん。「当時の尊敬するコーチに、アドバイスのひとつとして、『練習はもちろん大事だけど、感性を磨くことも忘れないように』と言われたんです。そんな中、コロナが流行り始め、生活が一変」
練習や試合をすることも、また美術館や演劇を観に行くことも突然できなくなり、感性を磨くためにひとりでできることを考え、実践していった。
「古着が好きだったので、服をリメイクしたいと思って、別の服との継ぎはぎやペイントも挑戦したけどうまくいかなくて…。残る手段として、試しに自分のスウェットに刺しゅうをしたら、思ったよりうまく縫えて手応えが。また、何年も体を動かしていて、静かに何かに集中することからしばらく離れていたので、すごく新鮮で楽しかったんです。モチーフは主に自然で、植物図鑑を見ながら縫い始めました。刺しゅうは色の移り変わりを繊細に作れて、糸によって質感やツヤ感を変えながら立体的に表現できて面白い」
並行して、海外でプレーしようと日本を飛び出した後も、刺しゅうを続けた。希望チームへの入団はかなわなかったが、そのまま感性を高めながら刺しゅうをする旅へと切り替えた。数か国を股にかけ、現在はチェコにいる。
「刺しゅうをしていると、いままで見逃していた何げない風景や現象が、細かく美しく見えるようになるんです。そんな感性の高まりを実感すると、ものの見方が変わり、また刺しゅうをしたくなって上達していく。その循環が自分には心地よくて、沼にハマり続けているんだと思います」
始めた頃もすごいけど
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最近は超繊細!
Photos:Norito Ohazama Composition & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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