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毎週月曜夜10時から放送中のドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』。メンズノンノモデル中川大輔がレギュラー出演しているということで、編集部がドラマの撮影現場へ潜入取材。
また、今回は主人公・上水流涼子をサポートする謎多き助手・貴山伸彦役を演じる松下洸平さんとのスペシャルインタビューも実現。絡みの多いふたりの、現場での話やちょっと真面目な仕事の話まで、深掘りした!
『合理的にあり得ない』はどんな作品?
合理的にあり得ない
~探偵・上水流涼子の解明~
元弁護士で頭脳明晰、変装を武器とする探偵・上水流涼子(天海祐希)が、IQ140の相棒・貴山伸彦(松下洸平)とタッグを組み、さまざまな依頼を超大胆な方法で解決していく。
不条理がまかり通る現代の“あり得ない”敵を、“あり得ない”手段で葬る、極上痛快エンターテインメント!
毎週月曜夜10時~放送中。
【出演】天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオルほか
『合理的にあり得ない』
松下洸平×中川大輔スペシャル対談!
みんなどこか欠落していて
そこに人間味がある
――おふたりのそれぞれの役どころについて改めて教えてください。
松下 じゃあまず、中川くんから。
中川 僕が演じる有田浩次は、歌舞伎町の若きリーダー役って役どころなんですけど…企画書を読んだときにもっとかっこいい感じなのかなと思ってました(笑)。
松下 可愛らしい感じが良かったよ。
中川 歌舞伎町、金髪、リーダーっていう要素から、(『IWGP』の)キングみたいなかっこいい感じかなと思っていたら、全然違った(笑)。自分のうまくいくポイントをさぐってたら、優しく明るいあんちゃんになってましたね。
――松下さん演じる、貴山伸彦はいかがでしたか?
松下 未だ何者か掴めないキャラではありますが、頭が良くて思考能力が高い青年ですよね。ただ、中川くんの浩次と同じように、貴山もかっこいい人ではないんです。一見、頭が良くて気配りもできて完璧なんですが、対人間関係はうまく築けなかったり…。このドラマに出てくる登場人物は、みんなどこか欠落しているところがあって、そこが人間味に変わっていくんです。
中川 完璧な人はひとりも出てこないですね。
松下 (天海さん演じる)涼子さんもかっこいいし引っ張ってくれるけど、後先考えずに行動してしまう人でもあったり。そこをみんなで補いながら生きている人達なんですよね。
――現場でのお話も教えてください。
松下 どうですか?
中川 僕が話してる間に考えてますよね?
松下 (笑)。
中川 僕、意外とひとりのシーンが多くて…。だから、上水流エージェンシーの事務所での撮影が楽しかったですね。細かいところでやり合ってましたよね、ちょっとした目の動きとかで、役を乗せ合ってる。
松下 ちっちゃいやつね(笑)。
中川 めちゃくちゃなアドリブではなく、細かい動きとかを、芝居で。浩次としてというよりも自分自身として、間近で見ていて面白かったです。
松下 現場はいつも楽しかったですね。ただ、セットがマルチっていう、5~6台のカメラでいっぺんに撮られる方法で撮影していたので、わりと長いシーンでも最初から最後まで1回で長回しで撮るんですよ。だから、我々の頭にセリフが入っているかにかかっているという。
中川 本番一個前までのカメラテストでは、みんなセリフを探り探り言うんですよ。誰が、とかじゃなくてみんな。なのに、本番始まると誰も間違えなくて、OK出ちゃうのがすごい。だまされてるのかな?って思いました(笑)。
松下 もちろん、セリフが100%完璧に入っているに越したことはないんです、誰の迷惑にもならないから(笑)。
中川 現場に立つと、やりとりだから、ポーンと飛んじゃったり、うまくかけあいができなかったりするんですけど。この現場の撮影は、本番に向けて全部作られて行くのをすごく感じました。
松下 セリフの入れ方って、人それぞれなんです。純度100%で全部入ってる人もいるんですが、僕の場合は70%くらい。現場のリハやテストで涼子さんとか浩次とかのセリフの言い方で調整してます。
100%にしちゃうとセリフが自分のものになりすぎちゃうというか、応用が利かなくなってしまうので、半透明くらいにしておいて、残しておく感じでしたね。
涼子さんはここでこんな感じでしゃべるんだ…と思うと、おのずと次の自分のセリフのしゃべり方とかトーンって変わってくる。最後に醤油一差しで味を変えられるくらいのものは残しておきたい。リハでやり取りを実際にやってみて、最後に仕上げ、盛り付け、みたいな(笑)。完璧にしないのは、そういうこともあるのかなと思う。立ち位置とかは、現場に入ってみないとわからないですしね。
中川 一緒のシーンで、僕のセリフを松下さんが繰り返すシーンがあったんですが、僕の言い方によって変わるのがすごくわかって。リハ時点での言い方と本番での言い方が違ったのを、両方とも僕の言い方通りに返してくださったりして。その場面ごとに生でやっているんだなということをすごく感じました。
――中川くんはあるプレッシャーを感じていたそうなのですが…
中川 みなさんベテランなので、撮影がすごくスピーディなんです。誰もNGを出さないから、間違えられないな…ってプレッシャーがありましたね。
松下 いやいやいやいやそんなことないです!いっぱい出してますよ…今日もね、さっき。セリフ言えなかったりとか(笑)。
中川 長回しのセットは緊張しますね。
松下 いよいよ次本番!っていうときにさ、みんながセットの隅っこのほうで本番前にセリフをぶつぶつ言うのが、舞台の稽古してるみたいな感じに近いなって(笑)。
――セリフが長回しなのってドラマだと珍しいんでしょうか?
松下 あそこまで最初から最後まで1本でやるっていうのはなかなかないかもしれないですね。
中川 すっごい気持ちいいですよね。
松下 成功したときね。カットして確認して、うまくいってたとき、みんながウエーイってなるところ(笑)。
中川 5分のシーンで、5分そのまま回したり…。結構新鮮でしたね。
松下 (敵役で)ゲストが毎回いらっしゃるドラマなのですが、ゲストの方が完璧にセリフを入れてきてくださっていることもあって、基本1回戦で終わるんです。俺たちはこういう現場だって慣れてるけど、1回本番撮ってOKが出て、「じゃ、次のシーンいきまーす」ってなると、ゲストはみんな「…終わり!?」って驚かれる(笑)。
中川 みなさんが現場に長くいないのがすごいですよね。1時間くらいで終わったり。思い返すと、僕もそんなに長くいなかったですね。でもそれがそのまま作品の勢いになっていましたよね。
中川くんだからできる浩次に
すごく助けられた
――演じていてお互いの印象はいかがでしたか?
中川 このドラマの撮影期間しかお会いしたことないので、(松下さんと貴山が)あんまり変わらないのかなって。
松下 あんなポーカーフェイスじゃないよ!
中川 そうなんですけど、優しく落ち着いている雰囲気とか。きれいめな服装でスッと立ってる姿を見ると、そこまで普段の松下さんと変わらないのかなと。
松下 普段はスーパーポンコツだよ。
中川 そんな瞬間が全く見えなかったから(笑)。役に関していえば、一貫して貴山は貴山でしたよね。
松下 そうだね。だからさ、このドラマで貴山としては1回も笑ってないんだよね。
中川 ええー!
松下 変装して潜入捜査してるとき、別の人物として敵をだますためににこっと笑ったりはしたんだけど、貴山としては笑わなかったかも。ただね、最終回のラストシーン、一番最後の貴山の寄りの場面で、(小声で)…1回だけ笑ったの。
中川 えー!それはもう、ふりまくってたってわけですね(笑)。楽しみだな~。
――松下さんから見て中川さんはいかがでしたか?
松下 おもしろかったですよ。貴山みたいにクールにかっこよくやるのって、アプローチとしてはそこまで大変じゃないんです。それよりも今回中川くんがやっていたみたいに、テンション高くやる方が徹底的にカロリーを使うので大変だと思う。そこを見事に明るく、登場人物の誰にも似ていない、中川くんだからできる浩次にすごく助けられたというか。遠慮せずに思いっきりバットを振ってくれたので、すごいなあと思ったし、ありがたかったですね。
中川 うれしいです…。浩次は明るい役なので、クラスのお調子者が、ずっと勉強してるやつに絡みたがる感じのワクワク感があって、貴山に絡んでいました。
松下 中川くんは、元々が内気な感じではないよね。
中川 そうですね、人と話すの好きです。…(しみじみと)ああ、もっと現場セットにいたかったな〜。ひさしぶりに事務所のシーンにいくと、みんなが仲良くなってるんですよ。久実さんも丹波さんも…上水流メンバーが仲良くなってるのが見えてって、俺だけ取り残されてる感じがあったなあ。みなさんともっとしゃべりたかったなあって心残りです。
――2人が絡むシーンで印象的だった場面はありますか?
中川 最後ですかね。
松下 最後、なんか怒られてたねえ(笑)。最後、貴山に怒られちゃうシーンがあって。
中川 涼子ちんと踊ってるようなシーンで終わりたかったんですけど…。
松下 僕が覚えてるのは公園のシーン。台本上は、貴山に「だーれだ」って浩次が目隠ししてくるんですけど。歩いてる人に歩きながら「だーれだ」って目隠しするの、難しいよなあと思って。だから立ち止まらず歩き続けてみようと思って。ふたりで目隠ししながら歩き続けたりして、ついていっちゃうみたいなこととかしましたね。
中川 あと、あれも覚えてます。貴山に「うるさい!」って怒られてから、またじーっと見られたシーンが合って。なんで2回見てるんだろうなって(笑)。
松下 「うるせえ!」って怒って一度目線を外して、強く言いすぎちゃった…って顔だと思う(笑)。
中川 その目線が普通じゃなくて。2回目に見つめられる眼差しが優しかったですね。
松下さんは役に入っていく
力がすごい!
――中川くんが、松下さんに役者のお仕事について聞いてみたいことがあるそうで…
中川 松下さんの、役に入って行く力がすごいなと思っていて。どうやって役作りをしているんですか?
松下 僕だけでは決められないので、監督とよく話すことや台本に書かれてない情報を決める、っていうことを役作りでは大事にしています。台本に書かれている情報や展開以外のもっと細かい、年齢とか誕生日とかは書かれていなかったりするから。親の呼び方は「父さん」か「お父さん」か、妹にはなんて呼ばれているか、とか…。細かいディテールを攻めていくというか。なんとなく漠然としたイメージがあって、監督と衣装合わせのときに話して「この人ならこういうことしそうですよね」って、すり合わせていく。
撮影現場でのカメラテストの際、入念にスタッフと話し込む松下さん。
中川 松下さんしか知らない貴山の情報がいっぱいあるってことですね。気に入ってる設定はありますか?
松下 これはドラマを観ていて伝わるといいなと思ってやっていたんだけど、服を全部中にしまっちゃうところ。彼の性格的に、他人を警戒していて隙を見せたくないっていう気持ちや、涼子さんと出会ってからピシッとしなきゃ!という自覚も相まって、インするかなって。スタッフさんとも相談して、Vネックとかゆったりした感じじゃない、首が詰まった服を選ぶようにしました。
中川 今となってみるとアウトしてる貴山が想像できないですよね。
――逆に中川さんは何かやってましたか?
中川 なんだろう、歌舞伎町を歩き回ってました…(笑)。
松下 スタイリストさんが役のディテールに合わせた服選びをしてくださっていて、着ているだけでその役になれたよね。
中川 メンズノンノ的な視点からいうと、どれも結構いいブランドなんです。
松下 オシャレな歌舞伎町のチンピラだよね(笑)。
仕事脳を切り替える
魔法のルーティンがある?
――ちなみに中川さんからもうひとつ、ジャンルの違うお仕事の切り替えについて質問があるそうです。
中川 ライブに行かせていただいたのですが、その次の日に朝からドラマ撮影があったんです。僕もたまにファンイベントをやるんですが、たくさんの方とお話するだけで、エネルギーを使ってポーッてなっちゃうんです。僕の場合は台本を開くのにも時間がかかりそうだなって思ってて(笑)。でも本当はすぱっと台本を開けないと仕事的に両立が難しいじゃないですか。切り替わる魔法のルーティンがあるんでしょうか?
松下 僕が教えてほしい(笑)。切り替えていかなきゃいけないから、半ば強引に振っていく瞬間もあるけど。ひとつひとつの仕事に対してちゃんと区切りをつけていくっていうことかな。
ちょっと危険だなと思うのは、何かをやった後の余韻が楽しかったりするじゃん。遊んだ帰り道に、「あー今日楽しかったなー」って余韻に浸る時間が良かったり…。でも、そこを大事にしつつもあまり引きずらないようにしているかな。ライブの次の日に、車の中でちょこっとだけ余韻に浸る。そこで。(マル)をつける感じかな。
中川 味がしなくなるまで楽しんじゃうなあ。
浩次がよく噛んでいる謎のグミ。
松下 それも大事だよね(笑)。時にはそういうこともあるけど…。僕は、舞台をやってたのも大きいと思う。舞台って毎日同じことの繰り返しで、たとえばつらい役やハードな役を1日2回とか続く。それを引きずって2回目やっちゃうと、それだけでもう、ヘトヘトになっちゃう。
それを昔先輩に相談したら、「幕が降りたらもうおしまい。今日起きたことは全部忘れて、次!って思ってないと、舞台は務まらないよ」って言われて。そこからは、よし、ここまでやった!で次にいけるようになったかな。捨てるんじゃなくて、マルつける感じ。舞台をやってたからこそ、切り替えられる脳みそを多少養えたのかなと思う。
――じゃあこのドラマもピリオドを打たれて…
松下 さみしいよね。
中川 さみしい。ドラマって4ヶ月くらいで終わるじゃないですか。毎回、終わった感じがしないですよね。
松下 3ヶ月目くらいでみんなと仲良くなれるんです。最初はさぐりさぐりで。
中川 それがよくもありますけどね!
松下 やっと仲良くなれた!って、一番いいところで終わるからね。
――この記事が公開されるのは、ドラマも折り返しのタイミング。最後にドラマの見どころを教えてください!
中川 昨日最終回の撮影をしたんですが、自分の動きを松下さんのアイデアでやってみたんです。僕、かっこよくアクションするのかなと思ってたんですけど、言われてみたらそんなかっこよくキメられる状況じゃないなと思って、気づけば真逆のシーンになりました(笑)。モニターで見たときに自分で自分が面白かった、楽しみにしててください!
松下 ちょっとずつそれぞれの隠し事がわかってきて、お互い言えないことなどもわかってくるのが後半戦。後半戦は、ふざけるところが減ってきちゃったんです。バチバチにやり合うシーンが多くなったり、悲しいことが起きたり別れがあったり、色んな事があるんですよ。
でもこのドラマの面白いところって、さっきまでシリアスだと思ったら急にふざけ出したりする、そのオンオフが魅力だと思うので。残り、ちゃんとやるところはやって、ふざけて…という切り替えにも、ぜひ注目してみてください。
松下洸平
(まつした・こうへい)1987年3月6日生まれ、東京都出身。シンガーソングライター、俳優。NHK朝の連続ドラマ小説『スカーレット』(19)でヒロインの夫、八郎役で人気を博す。こまつ座「闇に咲く花」2023年8月紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA、9月地方公演予定。映画「ミステリと言う勿れ」9月15日公開予定。
Photos:Mai Shinya
【松下さん】ワークシャツ/ビームス プラス(ビームス プラス 原宿) バンドカラーシャツ/ビームス プラス(ビームス プラス 原宿) パンツ/UNITED TOKYO(UNITED TOKYO 神宮前店) シューズ/バーウィック(BMS(株)Berwick Japan事業部) ベルト/バーウィック(BMS(株)Berwick Japan事業部)【中川】ウエア/Onitsuka Tiger(オニツカタイガージャパン お客様相談室) パンツ/Onitsuka Tiger(オニツカタイガージャパン お客様相談室) シャツ/SHINYAKOZUKA(THE WALL SHOWROOM) シューズ・アクセサリー/スタイリスト私物
ビームス プラス 原宿 TEL:03-3746-5851
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