▼ WPの本文 ▼
編集部が気になる人に会いに行き、仕事のことからプライベートなことまで、じっくりインタビューする「WEEKEND INTERVIEWS」。第25週は、美しいブルーの髪色とホワイトのマスクが印象的なシンガーのyamaさんが登場。5月10日に3曲同時にリリースされた新曲の制作秘話やオフの過ごし方など、ヴェールに包まれた素顔に迫ります。
今回のレコーディングは
全て自宅に設けた防音室で
―5月10日に『slash』『いぶき』『ストロボ』と新曲が発表になりましたが、色の違う3曲を並行して制作するのは大変だったのでは?
3曲とも本当に色が違う楽曲なので、どうやって喜怒哀楽を敷き詰めていこうか悩みながらレコーディングを進めていきました。ありがたいことに色々とお仕事が重なったタイミングもあってゆっくり時間が取れず、すべて自宅の防音室でレコーディングしたんですけど、ジャッジする人がいないとなると、自分が納得できるまで、が基準になってくるので無茶苦茶時間がかかってしまって。どこで区切りをつけるのか迷ってしまい「もうちょっとなんで待ってください」って連絡しながら、朝方ぎりぎりまで機材に向かってましたね。
―『slash』がTVアニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」Season2のオープニングテーマに決まった時は驚きもあったのでは?
そうですね。人並みに話題になっている作品は見たりするんですけど、そんなにアニメに詳しいわけではなくて。でもそんな自分でもガンダムの名前はもちろん知っているし、たくさんのファンの方に愛されている「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のオープニングソングのお話いただいて、長い歴史を引き継ぐバトンを渡していただいたのは、とても光栄なことでした。だからこそ、とにかく自分ができる限りのことをしようと決意を持って歌った曲です。レコーディングも3曲の中で一番時間をかけたと思います。
―そんな歴史ある作品だからこそ意識したことはありますか?
主人公が持つ弱さだったり、葛藤、乗り越えなければならない壁に、自分自身も重ね合わせながら、心情というか、心の衝動みたいなものをちゃんと表現できるように気をつけましたね。特に自分に対する怒り、または他人に対する怒りや悲しみが色濃く出ている作品だと思うので、その感情がうまく伝わるように意識しました。
―その反面、2曲目に収録されている『いぶき』はすごく楽しげな曲に聞こえました!
この曲はピュレグミさんからお話をいただいて、トキメキっていうテーマがあったので、自分なりにトキメキとはなんだろうと考えながら制作した一曲です。自分にとってのトキメキのイメージが春に近かったので、桜が咲いている情景や少し暖かくなってきた優しい春の風を思い浮べながら、レコーディングしました。自宅だったこともあり、自然体かつ等身大な爽やかさや柔らかさが出ていたら嬉しいです。個人的にですが、自分がリリースしている楽曲の中で一番と言っていいくらいキラキラしています。
―『ストロボ』は作詞も作曲もyamaさんですが、どんな想いで曲作りされましたか?
自分、歌詞を書くのも等身大のことしか書けなくて。本当に体験したことだったり心に思ったことを曲にしているんですけど、今回の「ストロボ」に関しては、心が動くストロボみたいな瞬間を歌にしました。実は、すごく心配性で小さいことで悩んだりするんです。「どうしよう、これからどうやって歩いていこうかな」って悩んでいる時に、パッと思い浮かぶ過去の優しさにすごく助けられることがたくさんあって。
例えばこの人はこういう温かい愛をくれたなとか、救ってくれる言葉をかけてくれたなとか。エネルギーをくれた音楽や映画でもなんでもいいですけど、一瞬だけどかけがえのない記憶を「ストロボ」という言葉にかえて作りました。
―ありがとうございます。心配性っていうのがすごく意外でした!
心配性なんです。家出て歩いてて「鍵かけたかな」って、一回家に戻っちゃったりします(笑)。
人に勧められた詩集をきっかけに
読書が好きになりました
―yamaさんにとってエネルギーチャージに繋がるものって何ですか?
やっぱり一番自分にとってエネルギーに繋がっているなって思うのは、人と会話すること。例えば人とごはんに行って「ちょっと今こういうことやってて」とか「こういう作品が今面白いよ」とか、お互いに今夢中になっていることを共有しあったりして、自分が興味ある人や好きな人から刺激を受けるのが楽しいし、ちょっと安心しますね。
―わかります。価値観を共有している感覚も嬉しいですよね。
最近は仲の良い人に詩集を勧められて。一冊の本を貸してくれたんです。それまではあまり文字を読んでなかったんですけど、いいなと思って詩集を集め始めたりして。それがきっかけで、本当にちょっとずつですけど小説も読んでみたりとか。こんな言葉の組み合わせがあるのかと歌詞を書く時の参考にもなってくれています。朝起きて、好きな紅茶を飲みながら読むのが楽しかったり、散歩して近くの喫茶店での読むのがすごく癒されますね。
疲れた時の特効薬は
友達と過ごす時間
―疲れが溜まったり、悩んだりして気持ちが下向きになっている時の特効薬はありますか?
自分にとっての特効薬が人と会うことなんですよね。一人でいる方が楽というか、一人でいたいことが多くて。でも一人でいすぎると内にこもりすぎちゃうので、人に会うように意識しています。心許した人と笑い合うことで、心も元気になるので。
―友達とどこかに遊び行ったりもしますか?
神社、山、自然が好きで。ちょっと時間が空いたら、ハイキングしたり山登ろうよとか話したりします。高尾山に登ったりしますよ。歩きながら土や緑を感じて癒されています。本当は月イチペースで行きたいぐらいなんですけど、チャンスを見計らって行ける時は行こう!って感じで勢いで行きます(笑)。
去年、初めてのちゃんとした登山で富士山に登って、むっちゃ感動したんですよね。頂上からの御来光を見た時に、頂上まで登った自分にでなく、その景色に心を打たれちゃって。この地球という星は生命で、自分と同じように生きてるんだなって感じて。この星に触れている感覚がむっちゃいいなと思って。
疲れた時の特効薬は
気心知れた友達と過ごす時間
―登山に絶対欠かせないものはあります?
うーん、カメラかな。日記みたいな感覚で写真を撮るのが好きで、フィルムカメラも持っています。デジカメも好きで、カメラは登山にも持って行くし、いつも持ち歩いていますね。撮った写真を見返した時に言葉も出てくるというか、思い出してくるというか。「あ、この時こんな気持ちだったな」って後から言葉を綴ったりもします。歩きながら書くこともできるけど、パッと撮ったほうがラクなんで(笑)。
―写真で日記はぜひ真似したいです。では、今後チャレンジしていきたいことは?
顔色を伺う癖をやめたいですね。人に嫌われないようにしなきゃって、人の目を気にしてしまうことが多いので、自分の意見をそのまま言えない時も多くて。でも、なるべく等身大の自分軸で、その時思ったことをちゃんと言えるようになっていきたいなって思っています。「それは違うんじゃない?」とか「それはいいね!」って、誰の意見でも関係なく言えるようにしていって、作品たちやライブをよりいいものにしていきたいです。それが目標ですね。
―最後にメンズノンノ読者へメッセージをお願いします。
自分は結構悩みやすい性格で、色々臆病なところもあるんですけど、フィクションなく等身大でいいと思っています。
同じように悩んでいる方に向けても、無理せずに等身大でいいんだよってことを伝えたいし、悩んだり傷ついたりした経験も無駄ではないよっていうことを音楽で肯定していきたい。少しでも寄り添えたらいいなという気持ちです。
yama
SNSを中心にネット上で注目を集める新世代シンガー。2018年よりYouTubeをベースにカバー曲を公開し活動をスタート。2020年4月に自身初のオリジナル楽曲としてリリースされた「春を告げる」はSNSをきっかけに爆速的にリスナーの心を掴み、あらゆるヒットチャートでトップにランクイン。YouTube再生回数1.2億回、ストリーミングの累計再生回数が3億回を突破。
Photos : Ohmura Satoshi Stylist:Masataka Hattori(Hattori Pro.) Hair&Make:Mirai Uejo Interview & Text:Kohji Ogata
▲ WPの本文 ▲
ウィークエンド・インタビューズ