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クルマにバイク、自転車、スケボーetc……など、大切な相棒にまつわるストーリーを深掘りして、東京のリアルな乗り物ライフに迫る! ノリモノ好き男子よ、集まれ!
小河昭太さん
AUTOBIANCHI A112 ABARTH(1983)
人生初のマイカーは、
エンジンのかからない不動車⁉︎
物心がつくずっと前からF1やラリーレースの中継を見るのが大好きでした。それから中学では漫画『イニシャルD』や『湾岸ミッドナイト』を読みあさり、高校へ上がってからはクルマへの思いはさらに加速。かつてのレースで活躍していたアウトビアンキの実物を見るべく、受験勉強の合間に免許もないのにクルマ屋さんに通っていました。そのお店では若いクルマ好きが珍しかったのか、店主の方によくしてもらって、高校を卒業するころにはかなり仲良くなっていましたね(笑)。だから免許を取得したらすぐにクルマを買おうと決めていて。とはいえ、大学生になったばかりの僕の貯金で購入できるクルマは限られており、憧れのアウトビアンキは完全に予算オーバー。なのでトヨタのセリカやプジョー106など、手元にあるお金で買えそうな車両を探していました。そんなときに、通っているクルマ屋さんから不動車のアウトビアンキが入荷したと連絡をもらったんです。それが今乗っているアウトビアンキ A112 アバルトでした。ちょうどよすぎるタイミングに運命を感じてしまい、勢いに任せて購入することに
師匠の知恵を借りながら、
自分の手で1年かけてレストア!
「人生初のマイカーを買ったはいいものの、全くの不動車。1年間は平日は大学へ通い、週末は購入先のクルマ屋さんの一角で作業する日々でした。店主=師匠と一緒に故障している場所、パーツの交換が必要な箇所を探しながら、その対処法をネットで徹底的に調べて。まずは自分でやってみろ、そんな昔気質の師匠にしごかれながら、油塗れになりながら手を動かしていました。地獄のような毎日でしたが、分からないことを理解していく工程が楽しかったですね。今思うと、プロの工具一式をお借りできたのもめちゃくちゃありがたかったなぁ(笑)。そうして初めてエンジンがかかった瞬間の感動は、一生忘れられません」(小河さん)
エアコンはなくとも、
走る気にさせる運転席!
「このアウトビアンキの特徴は、車重がとにかく軽いこと。だから必要最低限の装備しかついていません。快適に乗るのではなく、早く走るために設計されているから、もちろんエアコンもなし。それにシートも簡素だし、シートスペースも広くはありません。だけど不思議なことに、ここに座るだけでテンションが上がるんですよね。だから本来ならクルマじゃなくていい距離の用事でも、ついつい乗ってしまいます(笑)」(小河さん)
後編に続く。
Photos:Norito Ohazama Composition & Text:Kanta Hisajima
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