▼ WPの本文 ▼
アーティスティックな映像やポスター、時代を捉えたセンセーショナルなストーリー…最近気になる映画に枕ことばのようについている「A24」は、オシャレでイケてる作品を多数生み出す製作&配給会社だった! ファンも多いA24の魅力や秘密を深掘り!
映画好きから見る、
A24の魅力とは??
A24沼はけっこう深い。観客として作品の面白さはわかるけど、映画に携わるプロの目には、A24はどのように映っているのだろうか。A24作品を愛する映画監督・松本優作さんから見た魅力について聞いた!
Profile
映画監督 松本優作さん
1992年10月9日生まれ、兵庫県出身。23歳のときに自主制作の長編映画『Noise ノイズ』を発表。2022年に『ぜんぶ、ボクのせい』で商業映画デビューを果たす。最新映画『Winny』が3月10日より全国公開予定。
クリエイターの趣向を最優先した
新鮮で多様な作品に夢中になる
A24の作品を観ていて思うのは、日本ではおそらく通らないだろうなと思う過激な、または大胆な企画が、その世界観を貫きながらしっかり丁寧に作られているということ。広い層に刺さるものより、ある程度絞ったターゲットに絶対刺さるような作り方をしているんだと思います。
『ミッドサマー』(2019年製作)がひとつの象徴的な例ですが、日本のみならず多くの国の大手製作会社は手を出しづらいはず。テーマとしては自主制作映画では扱えますが、あの規模やクオリティでの撮影や編集は正直難しい。そういう意味で、A24は自主制作マインドを持ったインディーズの頂点のような存在といえます。
『WAVES/ウェイブス』(2019年製作)では、音楽のプレイリストから脚本を作るなど、慣習に縛られないアイデアをもって、映画作りのベースからアップデートする試みもしています。また、才能を感じる監督を積極的に起用し自由に撮ってもらう、クリエイターファーストの方針を持ち続けることで、A24が関わる作品は新鮮味のある、バラエティに富んだラインナップになっているんだと思います。
メンズノンノ読者に伝えるなら――これは僕の言葉ではなく恐縮ですが――「大手の製作会社は大型ショッピングモールで、A24はセレクトショップ」。小さいお店だけど、目利きのフィルターを通して、バイイングしたり、オリジナルを作ったりしている。僕も「これ以上当てはまる言葉はない!」とすごく納得しました(笑)。
また、大胆な企画を丁寧に作るというのは、作品作りだけではなく、その後のプロモーションにおいてもいえることなんです。
『エクス・マキナ』(2015年配給)では、マッチングサービスのティンダーと組んで、アンドロイドの主人公エヴァがマッチング画面に現れて、会話をするというPRを実施しました。
また、『ミッドサマー』では、オンラインセラピーの会社とともに、ホラー映画の本作を観て別れたカップルを対象に、セラピーを無料で提供するというキャンペーンも。マーケティングの能力も長(た)けているし、なにより発想が斬新ですよね。
A24は実際に世の中の宣伝担当者が参考にしているという話も聞きますし、僕にも映像の作り手として、作る前から公開した後までを考えながら動いていくことが大事なんだと教えてくれました。
おすすめの一作
『20センチュリー・ウーマン』
「1979年を舞台に、シングルマザーと息子の関係を描く小さな話だと思うんですけど、これは家族としての悩みをつづった、今の時代にもリンクする丁寧な物語ですね。時代や世代を超えて愛される名作だと思います」
DVD発売中 発売・販売元:バップ
©2016 MODERN PEOPLE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
Photo:Teppei Hoshida Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
▲ WPの本文 ▲