▼ WPの本文 ▼
『東京卍リベンジャーズ』のヒットで再び脚光を浴びることになった「ヤンキー漫画」。80年代に始まり、現在まで脈々と続いている、このジャンルはなぜ人気を得てきたのか。イラストレーター・師岡とおるさんへのインタビューを通じて、ヤンキー漫画の魅力を探る!
俺たちのバイブルがここにある!
あの人が語る、ヤンキー漫画愛
ヤンキー漫画に教わったのは人生観や処世術? 第一線で活躍するイラストレーター・師岡とおるさんは、どんな影響を受けたのか。これまで読んだ中で特に思い出に残った作品と、その好きなシーンを紹介してもらった。
イラストレーター
師岡とおるさん
1972年生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、イラストレーターに。様々な広告や雑誌などで活躍。どこかで見たような絵柄を自由自在に操る作風が人気を集める。学生時代に乱闘に巻き込まれ、すぐに音を上げたことも。
湘南爆走族(完全版)
𠮷田 聡/講談社
メンバーは少ないがナンバーワンの実力を誇る暴走族「湘南爆走族」たちによる、友情や恋愛などを描いたヤンキー漫画の金字塔。
仲間が嘘(ウソ)をついていると
知りながらも戦う権田の男気に涙
僕が生まれ育った東京都の小平市は、30年前、周りに不良しかいませんでした。中学の先輩もみんなワルだったけど、優しくて面白い人たちばかりで、彼らが愛読していたヤンキー漫画に自然となじんでいった感じですね。
『湘南爆走族』はギャグも多いけど、ストーリーでしっかりと読ませる名作だと思います。僕が大好きな権田二毛作は、主人公のライバルで、バイトしてバイクを買ったり、カッコ悪いことをしてへこんだり、人間味があって魅力的なんです。なかでも主役の江口と権田が対決するシーンが最高だった。仲間が嘘をついているのを知りながら、リーダーとしてライバルである江口と戦う。カッコ悪いことは絶対にしない古きよきヤンキー像を提示してくれました。
作者の𠮷田先生は作品中で、「暴走族は世間の鼻つまみ者なんだよ」ときちんと伝えようとしていたのがとても印象に残っています。僕の私見だけど、𠮷田先生は権田というキャラに自分自身を投影している気がするんです。
あの頃、熱心にヤンキー漫画を読んだおかげで、バイクの絵が描けるようになりました。バイクをメーカーごとに描き分けられるイラストレーターって意外と少ないようで、おかげさまで仕事につながっています。毎年イラストを担当している「氣志團万博」では(綾小路)翔やんともヤンキー漫画の話で盛り上がります。昔読んだ作品の話をすると読み返したくなりますよね。
当時は地元が嫌で仕方なかったけど、今でも同級生とつき合いはあります。当時の仲間は職人だったり実家を継いでしっかりと真面目に生きています。多感な時期に読んだ漫画から受けた影響はきっと大きかったんでしょう。ヤンキー漫画は、やっぱり人生の教科書なんです。
©𠮷田聡
高校生とは思えない風貌で、湘南爆走族と江口をライバル視する地獄の軍団総長・権田二毛作。学校では生徒会長とボクシング部主将を務める人気者で恋人もいる。愛車はもともと「RZ350(初期型)」だったが、江口とのレースで大破し「GPz400」に。
Composition & Text:Masataka Kin
▲ WPの本文 ▲