▼ WPの本文 ▼
『東京卍リベンジャーズ』のヒットで再び脚光を浴びることになった「ヤンキー漫画」。80年代に始まり、現在まで脈々と続いている、このジャンルはなぜ人気を得てきたのか。その名作の数々を通じて、ヤンキー漫画の魅力を探る!
名作とともにひもとく!
ヤンキー漫画年代記
1980〜90年代のヒット作を一挙紹介!
1980年代
今日から俺は!!
西森博之/小学館
転校をきっかけに目立つためにツッパリになった三橋と伊藤。ケンカに明け暮れる二人は、いがみ合ってばかりだが、いざというときのコンビネーションでピンチを乗り切る。ギャグ満載の人気作品は2018年にドラマ化で人気を博し、若者にヤンキー文化を再び広めた。
ビー・バップ・ハイスクール
きうちかずひろ/講談社
主人公のヒロシとトオルが、ケンカや恋に没頭する姿を描く。学ラン、ギャグ、恋愛などというヤンキー漫画の基本となったモチーフが出てくる重要な作品。清水宏次朗と仲村トオルのW主演映画も大ヒットし、メディアミックスの先駆けに。
ろくでなしBLUES
森田まさのり/集英社
『週刊少年ジャンプ』の黄金期を支えた漫画。吉祥寺にある帝拳高校に入学した、前田太尊が学校同士の抗争に巻き込まれるも勝利を収め、やがてボクシングで頂点をめざす。一途(いちず)に太尊を思い続ける千秋との純愛も注目を集めた。
湘南爆走族(完全版)
𠮷田 聡/講談社
手芸部部長であり湘南爆走族の2代目リーダーでもある主人公。最初はひとりのチームだったが、各中学校で番を張っていた4人と出会い、やがて彼らも仲間となり濃厚な高校3年間を過ごす。ヤンキーの青春がぎゅっと詰まった1冊。
BADBOYS
田中 宏/少年画報社
男を磨くために不良になる決心をした主人公・桐木司。見た目は普通だが、ケンカでは凶暴な強さを発揮する。やがて暴走族「極楽蝶」の頭となり、広島TOP3の一角と呼ばれるほど成長。仲間とライバルたちと深い友情を築く。
1990年代
カメレオン
加瀬あつし/講談社
腕力も根性もない主人公が、高校進学を機に不良デビュー。次々とヤンキーとの抗争に巻き込まれるが、ハッタリと悪知恵で切り抜け、暴走族「OZ」の初代総長となり、やがて多くの不良たちを惹(ひ)きつける存在に。弱い主人公が成り上がっていくヤンキー漫画の嚆矢(こうし)となった作品。
疾風伝説 特攻の拓
原作:佐木飛朗斗 漫画:所 十三/講談社
いじめられっ子だった主人公が不良と出会ったことで自分自身の成長を願い、暴走族へ足を踏み入れていく。「特攻」を「ぶっこみ」と読ませるなど、独特のルビ使いも話題に。暴走族をテーマにした漫画の代表作。
クローズ
髙橋ヒロシ/秋田書店
吹きだまりのような男子高校へ転入した主人公は、徒党を組むことを嫌い一匹おおかみを自称するが、驚異的なケンカの強さから様々な抗争に巻き込まれていく。だが、ケンカ相手を一蹴して、さらに彼らを味方につけて、街の勢力図を一変させる。シリーズ累計8,000万部超。
GTO
藤沢とおる/講談社
元暴走族の不良、鬼塚英吉が学校教師となって様々な問題を解決していく物語。ネグレクトをはじめ、社会問題も題材として積極的に取り上げている。生徒ではなく、教師が主人公として描かれるヤンキー漫画。大人を信じられなくなった子どもたちに真っ正面からぶつかり力業で解決していく。
ヤンキー漫画
キーワード
1. 学園
学校生活は3年間という限りある時間なので、物語のゴールが設定しやすく、展開がつくりやすい。制服で敵味方を描き分けられるという利点も。続編で卒業後が描かれることも多いが、多くは社会人になったあとの苦悩が描かれる。
2. バイク
高校生にとって自在に街を走り回れるバイクは自由の象徴だった。ただ、暴走族になると大勢の中に主人公が埋没してしまう。『湘南爆走族』は5人という最小単位のチームで、それぞれのキャラクターをしっかりと描き分けている。
3. ケンカ
90年代前半までは好戦的な主人公と積極的な暴力シーンが多く見られたが、90年代後半からは誰かを守るため知らぬ間にいざこざに巻き込まれる展開が主流に。2000年代以降は勝ち負けよりも主人公の成長に重きが置かれるようになる。
4. ファッション
ファッションに強いこだわりを持ったヤンキーたちが好んだのがリーゼント。もとになったのはロカビリーで、80年代はポンパドールとダックテールが大流行。同時期に短ランも流行したが時代とともにトレンドは変化し続けている。
ヤンキー漫画年代記
監修
森田真功さん
ヤンキー漫画研究家
1974年生まれ。ライター。ヤンキー漫画研究の第一人者として、ヤンキー漫画論を執筆。『ヤンキー文化論序説』(河出書房新社)、『ヤンキーマンガ ガイドブック 文化系のためのヤンキーマンガ入門』(DU BOOKS)などにも寄稿している。
Composition & Text:Masataka Kin
▲ WPの本文 ▲