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第2回
「世界の見方が変わる」
体験ができるかも
現在、僕が金沢21世紀美術館に来てから、初めてキュレーションした展示が開催中です! そこでは「SCAN THE WORLD(STW)」を紹介しています。「STW」はアーティストの石毛健太とBIENの2人が始めた、街をハンディスキャナを使ってスキャニングするプロジェクトです。それは新しい路上での表現行為であり、新しい遊びでもあるんですが、誰が参加してもいい、不特定多数で作り続けるプロジェクトです。
アートというと、絵画や彫刻をイメージする方が多いかもしれません。しかし現代美術はプロセスや行為も含めて、「世界の見方が変わること」を作品とするものもたくさんあります。これもアートなんだ、とまずは気軽に参加してもらえたらうれしいです。
What’s STW?
「SCAN THE WORLD」とは? 2人組以上でひとりでは手が届かない街のテクスチャをハンドスキャナでスキャン。スキャンしに行くのが難しい場合は、写真を見ながら自分だったらどんなふうにそこをスキャンするかを考えてコラージュを制作する。スキャンした画像は、プロジェクトのサイトにUPし世界中の人々とつながったり、毎月まとめてZINEを作ったりも。この一連のプロセスと、参加してくれた人全員が作品だという。
Photo:たまえ
上でスキャンされた実際のデータ
Image from STW, 2022
僕がキュレーターとしてどんな役割を果たしているかというと、企画、予算立て、アーティストのマネジメントはもちろんですが、その展示や作家、そして作品が美術史の中でどんな文脈で語られるものなのかを考え、ひもづけていくこともしています。文脈化することで、時代や場所を超えて、作家と作品を見つけてもらうことができる大切な作業なんです。アーティストと共に動きつつも、客観性は失わないようにする必要があるので、難しいのですが…。
僕にとって初めての美術館での展示を「STW」にしたのは、若くてこれから活躍するアーティストによる、オンゴーイングなプロジェクトをこの場所できちんとフックアップしたかったから。これはこの美術館にとって、とても意義があることだと思っています。今回開催しているスペースは入場無料で誰でも入れる場所なので、必ずしも美術ファンではない方からのリアクションも多いです。意外な反応もたくさんあり、日々考えることだらけ。でも、ちゃんと人に届いているという手応えは感じています。
アーティスト
BIEN
1993年、東京都生まれ。
アーティスト
石毛健太
1994年、東京都生まれ。
展覧会場の巨大な石板と、STWのアーティスト石毛健太(右)とBIEN(左)
Photo:TAKAGI Yuu
石毛とBIENは、ともに同年代。アーティストって遠い存在のように思われがちですが、普通の同世代です。でもやっぱり、めちゃくちゃカッコイイ! と思うことも多いですけどね。
まずは「世界の見方が変わること」を体験してみてください。週末はアーティストと一緒にWS(ワークショップ)を開催しているので、遊びに来てくれたらうれしいです!
[BONUS STAGE : PURESU](ZINE制作ワークショップ)の様子
Photo:TAKAGI Yuu
[BONUS STAGE : PURESU]で制作したZINE
Photo:TAKAGI Yuu
アペルト17 SCAN THE WORLD [NEW GAME]
期間
開催中〜3月19日(日)
10:00〜18:00(月曜休場/金・土曜は20:00まで)
会場
金沢21世紀美術館
長期インスタレーションルーム
問い合わせ
金沢21世紀美術館 TEL:076(220)2800
髙木 遊
1994年、京都府生まれ。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科修了、ラリュス賞受賞。The 5th Floorキュレーターおよび金沢21世紀美術館アシスタントキュレーター。趣味はカメラ。キュレーションした展示の記録撮影を、自ら行うこともある。
アペルト17 SCAN THE WORLD [NEW GAME]、金沢21世紀美術館、2022年
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キュレーター髙木遊のアートってサイコー!!