▼ WPの本文 ▼
第2回
なとり
20歳のシンガーソングライター。2021年、TikTok(@siritoriyowai_)にオリジナル曲を投稿し、音楽活動を開始。2022年に「Overdose」が、韓国、タイなどアジア5か国のSpotifyのバイラルチャートで1位を獲得。さらにSpotifyが選ぶ、注目の新人アーティストリスト「RADAR:Early Noise 2023」にも選出。
表現の引き出しの多さで、
独自の世界観をいくつもつくり出す
今月は、僕と同じタイミングでTikTok上にオリジナル曲を投稿し、音楽活動を開始したシンガーソングライター、なとりさんをピックアップ! 彼の魅力のひとつが歌声です。少し前までは、リスナーにパワーで衝撃を与えるハイトーンボイスが流行していましたが、最近は、藤井風さんを筆頭にニュアンスのある低音ボイスが支持を集めています。
Pickup
「Overdose」
“自室で制作された感”が刺さる
「主人公と相手だけのミニマルな関係の描写や少ない音数が、ベッドルームミュージック感を出しています」
なとりさんの歌声は、低音域だけど低すぎず、軽やかで芯がある。歌がスーッと体に染み渡るような聴きやすさがあります。そんな今を象徴する歌声を生かした曲が、「Overdose」。チョップした声をいくつも組み合わせて作られたイントロに、一瞬で心をつかまれます。その後もキャッチーな歌詞やメロディが続き、その唯一無二のセンスにさすがだなと。以前彼と話したとき、「ボカロを聴くのが好き」と聞いたことがあって。AメロやBメロの言葉の詰め方には、そういったルーツも感じられます。
Pickup
「猿芝居」(Demo)
古語やドラム音で醸す“和”
「古風な言葉遣いや、ドラムの打ち方に和を感じます。〈浅ましい、姦(かしま)しい、喧(やかま)しい〉の韻の踏み方は最高!」
ドラム、ベース、コーラスだけで作られた「猿芝居」には、言葉選びのセンスが発揮されています。古語を使ったり韻を踏んだりしても、物語が意味不明にならない語彙(ごい)力や構成力がうらやましい。彼は面白いフレーズを思いつくと書き留めているそう。それが、高い表現力の秘けつなのかも!?
Pickup
「EAT」(Demo)
多彩なドラムの表現が◎
「『Overdose』は打ち込み感、『猿芝居』は和風なドラムなのに対して、『EAT』は生の質感があるドラムが魅力的です」
バンドサウンドが際立つ「EAT」は、ギターとドラムで作られたシンプルな構成の曲。ドラム音の作り方を変えることで、前述の2曲とは全く違う世界観を打ち出す。その変幻自在な音楽性に彼の才能を感じるし、次作はどんな驚きをくれるのかという期待が膨らみます。機会があれば、一緒に楽曲制作してみたいです!
imase
2000年11月9日生まれ、岐阜県出身。2021年に「Have a nice day」でメジャーデビュー。TikTokの楽曲総再生回数は12億回超え。初の有観客ライヴのチケットが即完。5月10日に追加公演が決定。
Text:Rie Kaido
▲ WPの本文 ▲
imaseの今から聴きたいネクストBUZZアーティスト